【女大学宝箱】(10)念珠屋


念珠屋は、京大坂に多し。つねのは雜木をもてつくる。或は、菩提樹の実、あるひは、水晶、琥珀のるい。婦人のもつは、百八箇のうち半は黒檀の顆に水精をもちゆ。これを 半装束の数珠 といふなり。
※ 「水精」は、水晶。
※ 「半装束の数珠」は、水晶の珠に黒檀や琥珀などを混ぜて作った数珠のこと。『山州名跡志』の橋寺の記述に「水晶黒柿半装束ノ珠数」と見えます。

山伏の用る所は、顆に直角あり。これを「いらたか」といふ。近年は、百万遍の数珠といふあり。
※ 「いらたか」は、いらたか念珠。修験者が用いる珠がそろばん玉のように平たくて角が高い形をした数珠のこと。
※ 「百万遍の数珠」は、百万遍念仏で用いられる数珠のことと思われます。

もと念珠のことは、百八煩悩をやむるの説あれども、又、此百八の数は、七十二候に十二月と二十四節とをそへてつくれりといふ。是『古今原始』といふ物のはじまりの書にあり。
※ 「此百八の数は、七十二候に十二月と二十四節とをそへてつくれり」は、72+12+24=108。
※ 「二十四節」は、二十四節気。一年を二十四に分けた季節の節目。
※ 「七十二候」は、二十四節をさらに三つに分けたもの。
※ 「古今原始」は、明の時代に描かれた『古今原始』でしょうか。参考:『古今原始』(国立公文書館デジタルアーカイブ)

参考:『古事類苑 第29冊(山州名跡志)』『通俗仏教百科全書 第3巻(半装束珠数の事)』『狂斎百狂(だふけ百萬遍)』『日本大蔵経 第38巻 宗典部 修験道章疏 3(四十八平形念數)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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