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Pearl Jam特集③アルバムレビュー(11)『Gigaton』 ~ 枯れるにはまだ早い


2020年発表の11作目『Gigaton』。

2017年にロックの殿堂入りを果たしたPearl Jam。90sの初頭にデビューして早30年近く。かつてX世代の代弁者と呼ばれた血気盛んな若者は、いまやロック界の大御所としての地位を確固たるものにしました。

かといって守りに入るような連中じゃない。まだ俺たちにしかできないことがあると、彼らは考えていたに違いない。パンデミック期間中の2020年に7年ぶり通算11作目となるニュー・アルバム『Gigaton』を発表しました。

本作のプロデューサーを務めたのはジョシュ・エバンスという人物。僕は初めて目にする名前で、過去にどういう仕事をしてきた人なのか、どういう経緯でプロデューサーに抜擢されたのかはよくわかってない。

アルバムに先駆けて公開された新曲"Dance of the Clairvoyants"には意表を突かれました。Pearl Jamがポストパンク?ここへきて、まさかの新展開。とはいえDevoやTalking Headsをフェイバリットに挙げる彼らのこと、いつかこういうタイプの曲もやってみたいと考えてたのかもしれません。

アルバムは彼ららしいアップテンポなロックンロール曲"Who Ever Said"で幕を開けます。続く"Superblood Wolfmoon"は小気味よい曲調もさることながら、バンドを模したコミカルなアニメーションのMVも楽しい。

上述の"Dance of the Clairvoyants"を挟んで、ここから更にバリエーション豊かな攻めを披露します。圧巻のスケールを誇るアリーナ・ロックの"Quick Escape"、壮大なメロディが胸に迫る"Seven O'Clock"、フォーキーで温かかみのある"Retrograde"など、聴きどころはそこかしこに。

アルバム全体を通して聴いた印象としては、これまでのキャリアの集大成的な色合いが強い。そのうえで自分たちらしさ、バンドの強みは抜け目なくアップデートしています。緩急を上手く使い分ける手捌き、懐の深さはキャリアの賜物ですね。

前作『Lightning Bolt』で彼らは年齢を受け入れ始めました。ただ、それは落ち着くとか枯れるという意味ではない。90sの頃と比べたら最大出力は及ばないかもしれないが、その時点の自分たちの力を目一杯出し切ること。本作におけるガッツ溢れる歌や演奏がまさにそれを物語ってます。

あと本作の着目すべき点として、音の録り方がすごくいい。演奏のライヴ感、楽器一つ一つの鳴りを生々しくダイレクトに届ける臨場感たっぷりの音像が素晴らしい。これはもしかしたらプロデューサーのジョシュ・エバンスの功績なのかもしれない。

といった具合に、ロック・バンドとして長きに渡って戦い続けてきたキャリア、酸いも甘いも知る大人の豊かな人生経験を落とし込んだ『Gigaton』。貫禄を示した一作といえるのではないでしょうか。

Pearl Jam "Superblood Wolfmoon"


Pearl Jam "Dance Of The Clairvoyants"


Pearl Jam "Quick Escape"





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