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Everclear 『Sparkle and Fade』 ~ ポスト・グランジ時代に苦労人が咲かせた一輪の花

「ポスト・グランジ」というカテゴリーについて。グランジというとNirvanaやPearl Jam、Soundgarden、Alice In Chainsという(俗に四天王と呼ばれる)代表格が君臨しています。そのフォロワーだったり少しタイミングが遅れて登場したバンドに名付けられることが多いのがポスト・グランジというジャンル。

90sの中期あたりに台頭し、時代の潮流に乗って商業的成功を収めたケースも多い反面、批評媒体からは軽んじられる傾向にあります。たしかにトレンドに便乗しただけみたいなバンドも目立ちましたが、過小評価されるには惜しい良作も実は少なくない。本稿で取り上げるのも、そんな月見草のような得難い魅力を備えた一枚。


Everclear 『Sparkle and Fade』(1995年)

Everclearはオレゴン州ポートランドで結成されたロック・バンド。ヴォーカルとギター、作曲を務めるアート・アレクサキスは1962年生まれ、メジャー・デビューした時はすでに三十路を過ぎていた遅咲きの苦労人。

アートについての話をもう少し。経済的に困窮する家庭で育ち、少年時代にドラッグに溺れる。重度の中毒で幾度となく死線を彷徨ったが、27歳できっぱりドラッグと縁を断ち切る。1996年に掲載されたクロスビート誌のインタビュー記事で「アルコールやカフェインでもハイになってしまうから水しか飲まない」と語っていました。

『Sparkle and Fade』は1995年にキャピトルからリリースされたメジャー・デビュー・アルバム。シングル"Santa Monica"がスマッシュヒットして好機を掴み、アルバムも全米チャートで最高25位まで上昇。バンドの存在を世に知らしめた出世作となりました。

翌1996年に日本盤CDが発売され、音楽誌の隅っこに掲載されたレビュー記事を読んでなんとなく興味が湧き、買ってみたらホームランだったというね。こういう出会いは今思うとCD全盛時代の醍醐味だった気がします。

まずは1stシングルになった"Heroin Girl"が強烈なインパクト。パンキッシュな疾走感がカッコいい名刺代わりの一曲。タイトルで連想されますが、オーヴァードーズで亡くなったアートの元恋人が曲のモチーフと言われています。

ラウドなギター・サウンドはいかにもポスト・グランジな意匠ですが、決して大味にはならず、ダイナミックなプロダクションの細部まで配慮された丁寧な仕事ぶりが光る。

バンドのメンバーは強面だけど、楽曲はメロディック。"Heroin Girl"のようなファスト・チューンからメロウなバラッドまでレンジは広く、曲作りの腕前はかなりのもの。とりわけヒット曲"Santa Monica"みたいなテンポを落とした曲ではアートの味わい深い歌心が炸裂する。

曲の表情こそポップながら、その背景にあるのはドラッグ問題(それによる兄や恋人の死、またアート自身の希死念慮)。そもそもグランジはX世代の若者が抱える苦悩を歌うことで支持を集めました。壮絶な半生をサヴァイヴしたアートの経験が反映された歌世界は90sという時代のムードとも合致したのでしょう。

本作がロングヒットを記録し、人気バンドの仲間入りを果たしたEverclear。ポスト・グランジにカテゴライズされる他のバンドと同様に過小評価されがちですが、『Sparkle and Fade』が放つ輝きはFoo FightersやWeezerにだってひけをとらない。90sという時代に咲いた一輪の花、その力強い生命力を感じてほしい。

Everclear "Heroin Girl"


Everclear "Santa Monica"


Everclear "Pale Green Stars"




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