見出し画像

「ママ大好きだよ」と泣いた夜|お兄ちゃんになった3歳の優しさ

はじめに

8月の終わり、次男が生まれました。

そのときのことを、
忘れずに残しておきたいと思って、
この記事を書きます。

あの日、
僕は「家族が増える」という言葉の意味を、
初めて本当の意味で感じた気がします。

そして、
兄になる長男の姿を見て、
涙をこらえるのが精一杯でした。


いつも3人で過ごす時間が、少しずつ変わっていった

僕たち家族は、いつも一緒でした。

休日も、習い事も、買い物も。
食卓を囲むときも、「3人で」が当たり前でした。

僕は、3歳までの子育てを特に大事にしていて、
その時間を「家族の土台」だと思っていました。

だからこそ、
家族3人で過ごす時間が何より楽しくて、
何より好きでした。

たまに友達と出かける日もあったけど、
結局、妻と子どもと一緒にいたくて。
家に呼んで、
妻とも子どもとも仲良くなってもらって、
いつのまにか家族ぐるみの友達が増えていきました。

そんな毎日が、僕たちの当たり前でした。


少しずつ変わっていく「当たり前」

妻のお腹が大きくなるにつれて、
その当たり前が、少しずつ変わっていきました。

長男の妊娠のときは、安静が多かった妻。
でも今回は、
ぎりぎりまで長男と一緒に出かけてくれて、
本当にありがたかった。

それでも、外出が減り、
家で過ごす時間が増えると、
長男は小さな我慢を覚えはじめました。

僕とふたりで遊ぶときは笑っていたけれど、
その笑顔の奥に、
ほんの少しだけ寂しさが混ざっているのが、
ちゃんとわかりました。

「やっぱりママも一緒がいい」

その言葉を聞くたび、
「そうだよね」と、胸がきゅっとなりました。


「ママ大好きだよ」こらえきれなかった夜

出産が近づき、妻が産院に入院した夜。
ママと一緒に寝られなくなった長男は、
お見舞いの帰り道、
静かに車の助手席でつぶやきました。

泣きそうになりながら、
泣かないように我慢して、
小さな手で必死に目をこすっていました。

口をへの字にして、ぐっと唇をかみしめながら、
なんとか涙をこらえようとしていたんです。

その姿を見た瞬間、
こっちが泣きそうになったけど、
「息子が我慢してるのに、パパが泣くわけにいかない」と思って、
でも、心の中では号泣でした。

静かに言いました。

「我慢しなくていいんだよ」

その言葉で、決壊したように泣きじゃくる長男。

その夜は、妻の実家に泊まりました。
寝る前も「ママに会いたい」と何度も泣いて、
ようやく落ち着いたあと、
「パパ、一緒に寝よ」と言ってくれました。

いつも川の字で寝ていたけれど、
その日はママがいない。
その静けさが、痛いほど寂しかった。

小さなぬくもりを感じながら、
そっと背中をなでて眠りました。

それでも最後に、
寝る前に落ち着いたのは絵本があったから。

泣いたあと、次々と開いた絵本たちが、
小さな心をやさしく包み込んでくれていたと思います。


我慢の先に、やさしさが生まれていく

あの夜、僕は「兄になる」ということの重さを、
息子の姿を通して知りました。

ただ喜ぶだけじゃなくて、
「我慢」や「寂しさ」の先に、
優しさが生まれていくんだなって。


そして、兄になる瞬間を見た日

ついに次男が生まれる日。
長男は、僕と一緒に出産に立ち会いました。

実はその2日前、転んでおでこを3針縫ったばかり。
痛みも不安もあったと思うのに、
長男は最後まで泣かずに、
出産までの長い時間を
文句ひとつ言わずに頑張りました。

その日、分娩室での長男は、
いつもはおしゃべりなのに、
緊張からなのか、まったく話さず、
ただ、ママの手をぎゅっと握っていました。

何も言わないけれど、
その小さな手の中には、
「ママ頑張って」という気持ちが、
確かに込められていました。

赤ちゃんが生まれた瞬間、
僕の膝の上に、長男を抱っこしていました。
その少し先、ママの胸の上には、
産まれたばかりの次男がいました。

小さな体を僕の腕に預けたまま、
長男はじっとママと赤ちゃんを見つめていました。

「触っていいよ」と声をかけると、
しばらく迷ったあと、
僕の膝の上からそっと前に手を伸ばして、
おそるおそる、赤ちゃんのほっぺに触れました。

その指先は少し震えていて、
ほんの一瞬だけ、そっと触れたあと、
すぐに手を引っ込めました。

赤ちゃんはまだ油に包まれていて、
長男にとっては少しこわかったんだと思います。
でも、そのおそるおそるの中に、
小さな勇気がちゃんとありました。

そして、
出産を撮るために持ち込んでいた
ミラーレスカメラを構えて、
「僕が撮る!」と自分から言ってくれました。

出産を記録するカメラマンを買って出たのは、
他でもない、長男自身でした。

みんなで写真を撮る予定だったカメラと三脚を、
長男が自ら手に取って、
僕たちを撮ってくれていました。

まだ3歳。
三脚とカメラは重くて、
持つのも危なかったけれど、
小さな体で一生懸命、支えてくれていました。

その姿を見た瞬間、胸がいっぱいになりました。

出産の場にいた長男は、
「弟が生まれる=家族が増える瞬間」を見ていました。

でもそれと同時に、
「自分がお兄ちゃんになる瞬間」でもあったんです。

本人はまだ3歳だから、
それを言葉にできない。
けれど、

ママの手を握ったこと。
泣かずに見守ったこと。
カメラを持って撮ろうとしたこと。

そのすべてが、
お兄ちゃんとしての最初の行動でした。

だから僕が見たのは、
弟の誕生と、
その横でお兄ちゃんが生まれる瞬間でした。


やさしさのかたち

それから少しして、
赤ちゃん返りのような日もありました。
でも出産した次の日から、
弟のためにミルクをつくってくれた、
「すりきりだよね」って、何度も確認しながら、
温度もちゃんと測って、
いっしょにミルクをあげてくれました。

その小さな背中を見ながら、思いました。

家族が増えるって、
誰かが強くなることでもあるんだなって。

あの夜の涙も、出産の日の沈黙も、
ぜんぶが、優しさに変わっていった気がします。


おわりに

そして今、こうして書きながら思います。
この瞬間を、ちゃんと残しておけてよかった。
次男が生まれたときのことを、
僕はきっと、一生忘れません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます☺️
もし少しでも「わかるな」と感じてもらえたら、
スキやコメントで教えてもらえるとうれしいです。

読んでくださった皆さんが、
ほんの少しでもあたたかい気持ちになりますように。

いいなと思ったら応援しよう!