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児童自立支援施設に行ってきました

数カ月前になりますが、国立の児童自立支援施設「国立武蔵野学院」を見学させて頂く機会に恵まれました。

児童自立支援施設は、児童福祉法第44条にこのように説明されています。

「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」

全国には58箇所あるそうですが、国立は今回伺った武蔵野学院(男子)と、国立きぬ川学院(女子)の2箇所なのだそうです。

何らかの事案が起きて家庭裁判所を経て施設に入るケースがほとんどになりますが、少年院との違いはたくさんあります。

●所管:児童自立支援施設=厚生労働省/少年院=法務省
●目的:児童自立支援施設=自立支援/少年院=矯正教育・社会復帰支援
●入所の理由:児童自立支援施設=非行の他にも家庭環境などの理由で入所する児童も/少年院=非行を犯した少年が家庭裁判所の判断によって入所
●生活:児童自立支援施設=開放的で行動の自由あり/少年院=強制的
etc…

また、同じ児童自立施設の中でも、国立の場合は、いざというときに使われる「強制的措置寮」というのがあるのが特徴的です。
自傷他害行為や無断外出などがあった場合、クールダウンのために一時的に行動の自由を制限することができる、鍵付きの部屋です。ただし使用できるのは、あらかじめ家庭裁判所から許可を得た子のみとなります。
ここに入れられても、できるだけ長期化しないように職員さんたちがサポートし、多くは10日〜2週間程度で出ることができるのだそうです。

今回伺った武蔵野学院には、令和5年度に在籍していた子は34人。中学生が大半でした。
「どんな背景の子が多いのですか」と尋ねると、実のご両親が揃っている子は6分の1ほどで、シングルのご家庭が大半。またほとんどの子が虐待された経験を持っているとのことでした。
また、「多子家庭の子も多いですか?」と聞くと、その傾向はあるとのこと。
さらに知的指数については、平均的と言われる数値を下回る子が3分の1ほどで、いわゆるグレーゾーンの子が増えているのだそうです。

こうした要素は、無料塾に来る子たちにも重なるところが結構あるのですが、そこから非行につながるかどうかというのは、親がどうという話だけではなく、もう少しいろいろな側面があるのではないかなと思います。

施設を見学させて頂くと、子どもたちは外をランニングしていたり、夕食の時間が近づくと、大きなお鍋を台車でごろごろ運んでいたり、自然豊かな中で元気に動き回っていました。すれ違うときにはしっかり挨拶もしてくれます。
学校のように授業もあって、教室を見ると、後ろにはそれぞれの目標が貼り出されていて、とてもかわいかったです。先生の目標には「禁酒」というのもあって笑ってしまいました。掲示物の雰囲気からも、わりとのびのびした環境であることが伝わりました。

面白いなと思ったのは、ここの職員さんたちは、子どもたちと一緒にこの施設で暮らしているんです。
ご家族みんなで、職員さんのお子さんも一緒に。
だから、テニスコートを見ると、入所している中学生くらいの子と、もっと小さい6〜7歳くらいの子が一緒にわちゃわちゃしていて……。そういった交流も施設内で大事にされていることがわかりました。
何よりも子どもとのコミュニケーションが大切にされている施設で、それが子どもたちの心理的な安定や、未来を考える力につながっていくんですね。

でもそれは、逆に言えば、ここに入る前にはそうしたものにあまり触れてこられなかった子が多いということになるんですよね。

職員さんも、非行の背景には「孤立」という要素がとても強いのだということをおっしゃっていましたが、親からの虐待などハッキリとした大きなファクトだけでなく、周りの大人たちに見放されたり、学校の中で浮いてしまったり、「誰かが自分を温かい目で見てくれている」実感に欠けるというのは、人の心をとても蝕んでしまうのだと思います。
これは、無料塾を運営する中でもひとつ胸に刻んでおくべき点だと感じました。

たとえば、先ほど入所児童の知的指数について触れましたが、勉強が苦手とか、何らかの特性によって集中が難しいという子どもたちに、学校の先生など周りの大人が「なんで宿題をやってこないんだ」「テスト勉強をちゃんとしたのか」「授業をちゃんと聞け」と、その子の態度ばかりを責めてしまうと、その子は勉強という場面では確実に孤立するということを体感してしまいます。
その積み重ねで、「できるだけ孤立したくない」から「勉強ができないところを見せたくない」、「ふざけているフリをしよう」みたいな行動に移り、行きすぎると非行的な行動に移ってしまう。そんなことがあるんじゃないかなと思うのです。

そもそも家庭環境的に孤立感を感じてしまっているような子が、勉強という場面でさらに孤立を感じ、さらに今の世の中では「近所コミュニティ」みたいなものも失われているので、居場所が完全になくなっていく。そういうふうに追い込まれてしまってきた子たちが、この施設にいるんだろうなと私は想像しました。

では少年たちの非行を少しでも減らしていくために、無料塾では何ができるかというと、この「孤立」という感覚を少しでも減らしていくことなんだろうなと思います。
言語化がうまくできない子たちの表情やちょっとした言動から、できる限り不安や困り感を察知していくこと。これは何か資格があるからできるということでもなく、子どもたちに同じ人として向き合っていくことでできるんじゃないかなと思います。
友達や恋人が何かを抱えているときに「何かあった?」「笑ってるけど強がってない?」と察知する能力と同じです。そして、そんなふうに身近な人に言われると、ちょっと心があったかくなったり、打ち明け話をして気持ちが楽になったりしますよね。
何も、子どもたちの抱えている問題そのものを解決せよというわけではなく、「ちゃんと見てるよ」という姿勢を、周りの大人たちがどれだけ持っているかが大事なんじゃないかなと思うわけです。

と、いろんなことを考えさせられた見学でした。ありがとうございました!!

そうそう、追記。広大な敷地内には田んぼもあって、毎年みんなでお米を育てているのだそうです(タイトルの写真)。職員さんは、めちゃくちゃお米栽培に詳しくなっているとのこと!!!
「自分の仕事って農業だっけ」
と思うくらいなのだそうです(笑)。

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