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オレンジ帽

息子が幼稚園の頃、夫が近所のスポーツ用品店のアウトレットコーナーで、鮮やかなオレンジ色のナイキのキャップを買ってきました。

息子はそれが、ものすごく気に入ったようで、「オレンジ帽」と名前をつけて、小学校を卒業するまで、出かける時はいつもかぶっていました。
登校するときは、さすがに黄色い通学帽でしたが。

この鮮やかなオレンジ色のキャップはとても役に立ちました。
オレンジ色の帽子の男の子は、あまり多くはなかったので、息子を探すのには便利でした。
また、ネットで知り合ったママ友と待ち合わせをしたときに、「オレンジ色の帽子の男の子」と言えばすぐに見つけてもらえました。

息子は、私設の学童に6年間行っていたのですが、卒業間近の頃、学童の友達がオレンジ色のキャップを指さして、「こっちが本体だったんじゃね?」と言ってきたそうです。

母も、外出先などで、オレンジ色のキャップをかぶった男の子を見ると、「こーちゃん(息子)に見える」と何度も言っていました。

息子はこのキャップを、文字通り、「いつも」かぶっていたので、なかなか洗うチャンスがありませんでした。いい加減洗わないとまずいなと思っていた頃、息子が、夫の実家に、泊まりがけで遊びに行ったことがありました。

帰宅した息子がかぶっていたオレンジ帽が、新品同様にきれいになっていたのを見た時には、ちょっと困ってしまいました。
息子は無邪気に「オレンジ帽、おばあちゃんが洗ってくれた!」と言っていましたが。

小学校の卒業式の後、「オレンジ帽、どうするの?」と息子に聞いたら、「大事だから、取っておきたい」という返事でした。
洗ってよく乾かしてから、押し入れの天袋に入れておきました。

先日、息子の卒業アルバムを出したときに、オレンジ帽の入った袋を見つけました。
息子に「オレンジ帽、まだあるけど、どうする? いらないなら、こっちで処分するよ」と話したところ、持ってきて欲しいと言うので、先日息子のアパートに持っていきました。

オレンジ帽と一緒に、友達からのメッセージが書かれた、小学校の黄色い通学帽も袋に入っていたので、それも持っていきました。
これらの帽子を、息子がどうするつもりなのかは分かりません。

* * * * * *

私は、幼稚園の時に祖母が買ってくれた、キャンディが入っていた入れ物を、大人になっても、ずっと持っていました。
蓋付きの小さな赤いカゴで、バラの花の飾りがついていて、ちょっと「おねえさん」の気分になれるものでした。

息子は小学校時代、学童のダンスチームに入っていて、オレンジ帽をかぶって舞台に立っていました。
私にとってのキャンディの赤いカゴと同じように、息子にとって、オレンジ帽は、何か特別な気分にさせてくれるものなのかもしれません。

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