見出し画像

【短編小説】知らぬが仏

あるところに仲の良い夫婦がいました。
買い物も一緒に歩き、いつも楽しそうに笑っている。そんな夫婦。


ですが、お嫁さんには一つだけ悩みがありました。
旦那さんはとてもいい人なのですが、カレーだけはどうしても実家の味でないと納得しませんでした。


お嫁さんは色々と試しましたが、どうにも旦那さんの気にいる味にならりませんでした。


母さんの味じゃない
母さんのはもっと奥深い味だった
母さんのカレーが食べたい

作るたびにそう言われ続け奥さんもついには疲弊してしまいます。



ある時、旦那さんの実家へお義父さんの法事へ行く機会があり。お嫁さんはお義母さんに相談します。

お義母さんはとても優しく良い人で、私の亡くなった旦那もそうでしたよ。困ったもんでそこは遺伝したんですねぇ。愛してましたがそこだけは少し気持ちが悪いと思っていたんですよ。と冗談めいて笑っておりました。


お義母さんはレシピを教えてあげますよ。とカレーを作り始めます。
肉を炒めて野菜を入れて。私と同じ手順。




すると、勝手口に置いてある小さいお家のカタチの入れ物から黒い〇〇を取り出すと潰して潰してカレーに放り込みました。


うちの旦那はこれが好きでねぇ。あの子もこの味で育ってしまったのかしら。と笑っておりました。



夕飯のカレーを旦那だけがとても美味しそうに食べておりました。隠し味がわかった私はお義母さんを見つめました。とても優しい笑顔でした。

お義母さんはとても優しい人。
旦那の嫌なところも黙ってつつみ込んでいた。とてもとても優しいお義母さん。

私も帰ったら旦那さんを愛そう。憎らしい部分も含めて愛してみましょうお義母さん。

いいなと思ったら応援しよう!

佐伯由羅(伏見もなか) とても、とても嬉しく思います。