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発現 #毎週ショートショートnote

心臓移植をすると、提供者の心が残っているかのように性格が変わってしまうことがあるらしい。心臓に“こころ”が宿っているということだろうか。

事故により脳死判定を受けてしまったある若者の心臓は、本人の意思表示カードが確認され、家族への度重なる確認の末、奇しくも同年代と思われる男性に移植されることになった。

丸一日に及ぶ移植手術は成功した。若者の心臓は、新たな身体を得たように、否、これまでと変わらない力強さで、拍動していた。

正常な心臓としての機能が回復して間もなく、移植された若者に、変化が見られた。長い入院生活では見られなかった快活さが現れていた。

「あ、今日の担当は○○ちゃんか、よろしくー」

「上がり何時なの?上がったら、俺の部屋、来なよ。」

若者のベッドに回診に来た主治医は「ヤツの心臓のナンパ細胞がちゃんと生き残ったんだな」と苦笑いをした。

「そっすね。毛が生えた心臓を移植してくれたんすよね」若者も笑う。胸に手を当ててボソリと続けた。

「こんなに楽しいなら、もっと生きたいっすね」


(430文字)

#毎週ショートショートnote #ナンパ細胞  

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