PCC試験に落ちてから合格。443点から468点までの50日間
5月16日、テストセンターの結果を、しばらく眺めていた。
落ちた。
コーチングの実践時間は、自分のセッションログを数えると650時間。PCCの申請要件は500時間だから、だいぶ超えている。セッションは月に何本もやっている。
それでも、落ちた。443点。合格ラインは460だから、17点足りない。
正直、ショックというより混乱だった。手応えはあったし、コーチングの判断に迷った記憶もなかった。なのに点が足りない。何が起きたのかわからなかった。
50日後の7月5日、リテイクで合格した。ICF PCCホルダーになった。
この記事は、その50日間にやったことの全部です。PCC試験(ICF Credentialing Exam)の日本語の受験情報はほとんど流通していなくて、僕自身、手探りでかなり遠回りをした。これから受ける人が同じ遠回りをしなくて済むように、落ちた原因の分析から、リテイクまでの学習設計、当日の頭の使い方まで書きます。
対象はこんな人です。
PCC試験をこれから受ける人、リテイクを控えている人
コーチングを学び始めて、いずれICF資格を取りたいと思っている人
実践経験は十分あるのに、筆記で落ちた人(僕です)
この試験の正体を、まず知ってほしい
この記事は、2026年5月・7月に僕が受験した「現行の」ICF Credentialing Examの記録です。
2026年11月10日から新しいPCC-MCC Exam(80問・状況判断44問+知識問題36問)が始まります。2027年3月31日までは移行期間で、どちらを受けるか選べます。以降の形式・問題数の説明は、すべて現行試験のものです。
PCC試験は知識のテストじゃない。判断のテストです。
形式を簡単に。問題は78問(39問×2セクション)。うち10問は採点されないフィールドテスト問題で、どれがそれかは受験者には分かりません。各問に現実的なコーチング場面のシナリオが提示されて、コーチが取り得る4つの行動から「最良の行動(BEST)」と「最悪の行動(WORST)」を両方選ぶ。1問で2回判断する形式です。スコアは200〜600のスケールで、合格ラインは460。
「コンピテンシーを暗記すれば受かる」と思っていると、たぶん落ちます。暗記した知識をそのまま当てはめるだけでは、答えにくいからです。問われるのは「この場面で、ICFが最も望むコーチの行動はどれか」という優先順位の判断。しかも、4つの選択肢のうち複数が「適切な対応」だったりする。その中から「最も良い」を選ぶ。
そしてここが落とし穴なんですが、BESTとWORSTでは、使う筋肉が違います。
落ちた理由は、スコアレポートに書いてあった
ICFは不合格のとき、領域ごとの評価も返してくれます。僕のはこうでした。
Foundation(基盤)── 基準をやや下回る
Co-Creating the Relationship(関係性の共創)── 基準を満たす
Communicating Effectively(効果的なコミュニケーション)── 要改善
Cultivating Learning and Growth(学習と成長)── 基準をやや下回る
いちばん低かったのが、コミュニケーションの領域でした。積極的傾聴が入っているところです。650時間やってきて、そこが「要改善」だった。
思い返すと、兆候はありました。初回受験の前日に、SolutionsAcademyというところが公開している模擬試験(ICF Credentialing Exam Simulator、53問)を解いていたんですが、そのときから傾向は出ていた。BESTはほぼ取れるのに、WORSTがまるで取れない。当時はそれを「まあ本番は大丈夫だろう」で流していました。
コーチングの「正しい方向」は身体化できていた。でも「最悪の行動」を見抜く目が、育っていなかった。
なんでそんなことが起きるのか。実践には「最悪の選択肢を4つの中から選ぶ」場面がないからだと思います。僕の場合、現場でBESTを選ぶ筋肉はかなり鍛えられていた。でも「複数の悪い選択肢から最悪を選ぶ」訓練は、ほとんどしてこなかった。
少なくとも僕は、「実践経験があるから大丈夫」という感覚が、この問題を見えにくくしていました。
もうひとつ、僕にあった罠が「実践ではこうする」というバイアスです。現場では、目の前のクライアントとの関係や、それまでのセッションの文脈も含めて判断します。でも試験で与えられるのは、問題文に書かれた情報だけ。その外側の文脈を勝手に補って「自分ならこうする」と考えると、ICFが問う判断からずれることがある。
試験中は「自分ならどうするか」ではなく、「この問題文の情報だけを使ったとき、ICFが最も望む対応は何か」で考える。この切り替えができるかどうかが大きい。
443点から468点に変わった50日間で、いちばん大きく変えたのがここでした。
ここから先は、WORSTの筋肉をどう鍛えたか、具体的な設計を全部書きます。
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