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【エッセイ】病院の待ち時間と混乱


~9時間40分~


皆様、これは何の時間かわかるでしょうか?









ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで
記録したアトラクション
(ハリウッドドリームザライド~バックドロップ~)の待ち時間だそうです。

アトラクションの待ち時間の
日本記録だそうです。


9時間40分って…

カップラーメンが193個作れますね…

1日の労働時間以上に待っていることにもなります。


果てしなさ過ぎます。

最後尾の人はとっても我慢強い人なのでしょう…


ところで
皆様は人生で一番待ったものと言ったら
何でしょうか?


遊園地のアトラクションだったり
ラーメン屋の列だったり
好きな人への告白の返事待ちだったり
人それぞれかもしれません。


そんな待ち時間にまつわる私のエピソードがありますので、どうか皆様お聞きいただけないでしょうか?











私が中学生の頃です。


当時、私の住んでいる地域で
インフルエンザが流行っていました。


そのため、母に連れられて近所の病院で
予防接種を受けに行くことになったのです。

病院の中は
私と同じようにインフルエンザの予防接種を受けに来た人達で溢れていました。


この田舎に、こんなにも人がいたのだと
びっくりしました。


予防接種待ちの人が大勢いるので
かなりの時間待たされました。


はーっ…

やれやれ、こんなにも待たされるなら
別に予防接種なんて受けなくてもいいんですよ…


私は、元気だけが取り柄です。

年に2,3回しか風邪を引きません。


だから、インフルエンザなんて余裕です。


それに、もしインフルエンザの人が
私に向かってクシャミや咳をしてきたとしても、私は避けれる自信があります。


自慢ではありませんが
学校の体育でおこなった反復横跳びは
クラスで一番でした。


インフルエンザの人の
クシャミや咳なんて反復横跳びで避けてみせます。


要するに、私に予防接種なんて必要ないのですよ。


さぁ、時間の無駄ですから
お母さん早く帰りましょ?









はい。


正直、注射が怖いのです。



打たなくていいなら
打ちたくないのです…


でも、今年のインフルエンザは
猛威とやらを振るに振るっているみたいで
どうしても打たなきゃいけないみたいなのです。


ちくしょー…インフルエンザめ…


なに猛威なんか振るってんだよ…



待てば待つほど
怖い気持ちが膨れ上がります。


受付の人が
1人1人名前を呼んでいます。


お爺さん、お婆さん、お兄さん、お姉さん、私と同じぐらいの中学生、私より年下の小学生。


次々と名前を呼ばれていきます。


みんな何食わぬ顔で向かっていきます。


でも、注射を打ち終わって戻ってくると
泣いてる子痛そうな顔をしている人もいます。





「もういやだ!!
俺は注射なんか打たねえええ!!!」


と言いたい気持ちをグッと抑え込んで
病院の中なので
私はお利口さんにして静かに待ちました。


待っている間
怖い気持ちを紛らわすために
別のことを考えるしか方法はありません。






例えば
インフルエンザ

シンプル便座
って響きが似てるなぁ…

とか

シンプル便座って今自分で思い付いた言葉だけど、
シンプル便座ってそもそもなんだよ?

とか

シンプル便座って
O型便座なのか?
U型便座なのか?
どっちだよ。

とか

そういえば、インフルエンザ
A型B型C型ってあるなぁ

とか

いや待てよ。そういえば…
人間も血液型でA型B型O型AB型って
あるぞ…

つまり、インフルエンザ便座人間も、誰かに勝手に型にはめられてしまった
可哀想な存在ってわけだ…

誰1人として同じ人間はいないのに…
何1つとして同じウイルスはいないのに…
どこのトイレにも同じ便座なんてありやしないのに…

勝手にA型とかB型とかO型とかU型とかって型にはめるんじゃないよ!

俺は俺なんだよ!






なんて意味不明なことを考えていると

母がトイレに行くと言って席を外しました。


一時的に1人で待つことになりました。

中学生の私にとって
注射待ちの病院で1人ぼっちというのは
心細いものです…







私1人で緊張しながら待っていると
どこからか
ブブブッブブブッと何かが震える音が聞こえました。


どうやら誰かの携帯がマナーモードで
震えているようです。



ブブブッブブブッ


しばらくバイブ音が病院内に響き渡りました。



ブブブッブブブッ



でも誰も出ません。


私は辺りを見回してみました。

待合室で待っている皆さんも
キョロキョロして携帯の持ち主を探しているようでした。




ブブブッブブブッ



耳を澄ましてみると…



ブブブッブブブッ







なんとなく私の近くで
鳴っているような気がします。







どうやら周りの皆さんも
私の近くで鳴っているのに気づいたみたいで、周囲の視線が私の方へと集まります。



なんかすごく気まずい感じです…


私は自分の携帯電話を確認しますが
着信は入っていません。


私の携帯ではありません。

離席している母の鞄も確認しますが
母の携帯にも着信は入っておりません。



ブブブッブブブッ




ずっとどこからか鳴り続けます。


周りの人の視線はずっと私の方に向かっています。


なにこれ?

みんな見ないでください!

このバイブ音は私のじゃないんです!!



すると、私の前列に座っていた
パンチパーマの中年女性
険しい顔をして振り向いてきました。


…やばい、もしかして私うるさいって怒られる?


違うんです!パンチパーマのおばさま!!
私のバイブ音ではないのです!!


私はパンチパーマの女性のどんどん険しくなる顔を見てアワアワしました。

ど、どうしよう…!!


ところが
パンチパーマの女性が話しかけたのは私にではなく
私の隣に座っている高齢の女性に向かってでした。



「あの、携帯鳴ってますよ」


パンチパーマの女性が聞きますが
高齢の女性は反応がありません。


恐らく耳が遠いのでしょう。


「あの!携帯が鳴ってますよ!」


パンチパーマの女性がさっきより大きな声で高齢女性に話しかけました。

でも高齢女性は目を閉じて下を向いています。

寝ているのかもしれません…




ブブブッブブブッ




でも、携帯は鳴り続けます。





「おばあちゃん!!
携帯鳴ってるよ!!!」




パンチパーマの女性はさらに大きな声を出しました。


高齢女性は相変わらず何も反応がありません。





ブブブッブブブッ






携帯は鳴り続けます。

パンチパーマの女性の顔がもっともっと険しくなっていくのがわかります。

病院の待合室には妙な緊張感が漂います。





ええええい!モンキーパンツ勇気を出せええ!!

隣に座っている私が
頑張ってこのお婆ちゃんに携帯電話が鳴っていることを教えるんだ!!!

じゃないと、このパンチパーマの女性の怒りが爆発してしまう!!








ブブブッブブブッ





私はドキドキしながらも
高齢女性の肩を優しく叩いて
「…あのー…携帯電話が鳴っていますよ」
と声をかけました。









ブブブッブブブッ



















「あ!





ちょっ、いやだも~!





ほんとごめんなさ~い!

鳴ってたの、私の携帯じゃないのよー!

もー!ほんと最近ダメだわ~私!

お婆ちゃんごめんなさいね~!

おほほほっ」






パンチパーマの女性が慌てた感じで言いました。


そして、携帯電話を握りしめて
パンチパーマの女性は外に出て行きました。


「もしもしー!出るの遅くなってごめんなさいねー!
全然気づかなかったわ~!」

外に出たパンチパーマの女性が
中まで聞こえる大きな声で通話します。


結局、ずっとバイブ音が鳴り響いていたのは私でもなく高齢女性のものでもなく
目の前に座っていたパンチパーマの女性の携帯だったのです。


なんともお騒がせな女性でした…


でも、これで一件落着…





と思って横を見ると





さっきまで眠っていた高齢女性が
私をつぶらな瞳で見つめています。







私は、なんて説明すればいいのか
わからなかったので「すみません…」
謝ることしかできませんでした。




そうこうしているうちに
母が戻ってきて名前を呼ばれ
地獄の注射を済ませました。



あとになって冷静に考えると
私は何も悪くないのになぜ謝ったのでしょうか?




【ご報告】
モンキーパンツの連載小説「街を廻せば」の第6話をTalesにて更新しました✨
読んで…読んで…読んでほしいでやんす…

【前回までのあらすじ】
 公園で出会った杖が折れた老婆を幸せにするため、オジサン(主人公)はおんぶをして家まで送ってあげることを提案する。
 だが老婆は以前、夫におんぶしてもらおうとした時にパイルドライバーをかけられたトラウマがあり「おんぶは絶対に嫌や」と断ってくる。
 オジサンは仕方なく杖の代わりになる物を探しに行く。
 出会った全員を幸せにしなければ今日の夜、オジサンは再び何者かに包丁で刺されて殺されてしまう…!

おもしろ~いよ~☝✨

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