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CARAN D'ACHE カランダッシュ メカニカルペンシル 849

ひとつめに何を選ぶかいろいろと考えましたが、まずは文房具の中から選んでみようと思います。いま、一部の学生たちの間では高級文具がブームになっているそうです。実際いろんな場で見かけます。僕も気持ちよく波に乗せられてしまい、最近は文具熱が高くなってきています。

〈カランダッシュ(CARAN D'ACHE)〉というスイスの文具メーカーがあります。僕がはじめてここのペンを手に取ったのは、今から14〜5年ほど前。原宿にあった「WISM」というセレクトショップです。当時は、たしかアメトラブームが落ち着き始めたぐらいだったと思います。〈トム ブラウン〉や彼が手がけた〈ブルックス ブラザース〉の「ブラック フリース」というライン、〈バンド オブ アウトサイダーズ〉というブランドが、まだ勢いがあって、特にボタンダウンシャツが人気でした。(トリコロールのついたシャツが欲しかった。今はK-POPのガールズグループの衣装で目にしたりしますね。)

当時、僕はアメトラブームに少し疲れていて、〈シュプリーム〉のキャップを買ってみたり(人気が再燃する前だったので、割と普通に買えた)、太めのボトムを気にしてみたり、少しだけシフトチェンジしていました。
そんな中、大人のためのストリートスタイルを提案してスタートしたのが「WISM」でした。

仕掛け人は市之瀬智博さん。
元々はユナイテッドアローズの業態のひとつ「時しらず」というお店を手掛けていた方です。上質なんだけど、ちょっと皮肉ってるようなセレクトがとても好きなお店でした。そんな市之瀬さんによる新しい店ということで、初めてお邪魔するときは、かなり胸が熱くなりました。

「WISM」は、とにかく面白かった。アパレルに加えて文房具やスーベニアっぽい雑貨などが、大らかに混在していました(期中オープンということもあったそう)。この雑多感のある構成は、当時かなりフレッシュでした。
キース・ヘリングのお掃除グッズや「FU○K」ポーズをしたノーム(サンタっぽい見た目)のオブジェ、海外のピンバッジ。服の合間に心踊るものが差し込まれている。この“整理された雑多”という矛盾した印象が、たまらなくかっこよかった。

話は少し変わりますが、当時の職場の先輩がジャケットの胸ポケットに差していたのが、〈モンブラン〉のマイスターシュテックのボールペンでした。あれに少し憧れがありました。もともと文具好きというのも手伝って、自分にも手が届くペンが欲しいなというタイミング。そこで「WISM」で出会ったのが〈カランダッシュ〉のステーショナリーです。

ショーケースの中に展示されていて、確かボールペンとシャーペンと芯ホルダーがあったと思います。色は赤・青・黒、そして蛍光色のイエローがありました。中でも目を奪われたのが蛍光イエロー。オモチャっぽく転びそうな色なのに、しっかりと「良いもの」の品格がありました。さらにそっけない道具感もある。そのバランスが妙に新鮮で、衝撃的でした。むしろそのイエローの鮮やかさが、グッと活かされている。そんなふうに感じたんです。

当時、僕のオシャレな文房具の印象といえば〈ラミー〉とか〈カウェコ〉くらい。もちろん突き詰めればいろいろ知れたでしょうが、オシャレな文具店もなかったし、情報もそんなに溢れていなかった(と思う)。伊東屋に通う感じでもなかったし。
だから蛍光色を使っていても、子どもっぽくなくて、安っぽくない、凛とした佇まいの良さに一目惚れしました。メーカーとしても“知る人ぞ知る”という立ち位置だったのも琴線に触れたんだと思います。

僕が手に取ったのは、蛍光イエローのシャーペンとブラックの芯ホルダー。よく使ったのはシャーペンの方。持ちやすく書き心地も軽快でした。芯径は0.7mmだったからこその書き味だったのかな?  当時はフリクションも出始め。そこまで多用していなかったので、とにかく書き直しができるシャーペンが重宝しました。あと、いまはその感覚はなくなったけど、ボールペンならではの滑りすぎる書き味が苦手だったのも手伝いました。

カラバリはかなり豊富で、ポップな色でも品を感じさせます。BP・MP・芯ホルダー、サイズアップバージョンなど、さまざまなバリエーションで展開。伊東屋ではセミオーダー的に各パーツの配色を選べるサービスもあったはず。

849というモデルなのは、あとで知った。メーカーを代表するモデルで、鉛筆のような六角形の軸に、ロゴや型番を覆うようにシャープで繊細なフォルムのクリップが取り付けられている。このさりげない主張の仕方も洒落ていますね。アルミ素材ということもあり、持った印象や書き心地は、とても軽やか。

自分の周りでは、誰も使っていなくて。密かな自慢だったのを覚えています。まぁボールペンではなかったのと、少し照れ臭いのもあって、胸ポケットに入れたのは買った当日だけでした。でも、いまでも愛用しているし(実は壊れて2代目)、849は色褪せない魅力に溢れていると思います。

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