インディフィニト・ノート 11話
<前話までのあらすじ>
15時のおやつタイムにバームクーヘンと、お気に入りの紅茶を手に取った安藤。お気に入りの理由が懐かしいRPGゲームに登場するキャラに由来している。熱々の紅茶を冷ましている時に、たこ焼きを食べる番組をきっかけに関西人のツッコミを思い出しながら応接室のソファーで眠りに落ちた。
水泳部の後輩である里中との物語の続きを見ていく。都合の良い事に好きな夢を見られるのも安藤の特技であった。
1話は<1~5P>こちらから
10話は<46~50P>こちらから
11話<51~55P>
「えっ。オレっすか?」
部活の先輩であることは全体の挨拶時に顔を覚えていたので理解した里中だが直接話があるとは思っていなかったので声が裏返ってしまう。話があるにしても部活中だと勝手に思っていたので後手に回っている感は否めない。
「あんまり、先輩舐めてると学校生活終わるぞ!」
鼻先がもう少しで触れるんじゃないかという距離まで近づいており、怒気を含んだ声が教室中に響き渡る。只ならぬ異様な雰囲気の中、誰も仲裁に入ろうとする者は現れない。
「先輩、此処ではアレなんで屋上で良いですか?」
「あぁ、最初から、そのつもりだ」
「分かりました。付いてきます」
里中は直接的な暴力を振るわれた訳では、なかったが退路を塞がれた事に対して恐怖を感じていた。
51
それと同時に怒られた事に対して思い当たる原因が浮かび上がらないので困惑しながら席を立ちあがると教室の外へと移動した。
屋上に到着するとフェンスがある方に里中が追いやられて手前が安藤に、なった。
「安藤先輩、用事やったら部活中でも良かったじゃないですか? 何で教室の皆が居る所で大声出して僕を困らせるんですかっ」
皆の前ではオレ呼びだったが素は僕呼びだった事が判明する。意外と気弱なタイプなのかと一瞬思ったが安藤は追撃の手を緩めるつもりはなかった。
「俺は、お前の部室のロッカーを横取りされたせいで大恥かいたけどな」
「あっ。えっえーーーーーーっ。安藤先輩のロッカーだったんですか? 部活来ない人って聞いてたから、もう辞めてて空いてると思ってました!」
自分がした事が原因でエロ魔人と化して学校中、有名になった事をきちんと理解する。
52
と同時に流石に罪悪感が出始めていた里中。「本当は落とし前付けてもらいたいところやけど俺も鬼やない。一勝負しようじゃないか」
安藤は口喧嘩をしに来たわけじゃない事をアピールする。偶然居合わせた不良達も何事かと興味を持ち始めている。
「相手を殴り合うような喧嘩ルールとかは、勘弁して下さいよ」
別に安藤が喧嘩っ早いという噂があった訳ではなかったが売り言葉に冷静な判断が鈍って惨めな思いをするのだけは避けたいと思っていた。勝負論がある方が良いに決まってる。
「何か勘違いしているようだが俺も殴り合いは、好きな方じゃない。俺達が勝負するって言ったら水泳しかないだろう」
「えっ。オレと水泳ですか!?」
安藤の提案が予想していなかったので脳の処理が追い付かなかった。
「何だ、俺じゃ不服か?」
逆に安藤は相手の視線から目を離さない。
53
「いえ、その勝負、受けて立ちますよ!」
「なら決まりだな」
日程は、後日決める事となり、100m勝負に負けた方が部活を去るという安藤からの提案を里中が無条件で受けた。
少しは抵抗すると思っていただけに余程、自信があったのだろうとは思ったが本気を出してないのは、こちらも同じなので怖気づく事もなかった。
約束を守れなかった場合の話もしていた。当日、バックレた場合、相手の言う事(実現可能)を何でも聞く事だった。
確か兄貴の時代は、裸で逆立ちを一周するのが流行ってたと聞いた気がする。どう考えても現実的とは思えないし、後の学園生活を考えたら登校拒否
にすら成りうる件だろう。
それとも、その時代は鋼のメンタルの生徒が多かったのだろうか? 真面目に考えるのもバカらしくなって一日パシリ券くらいで済まそうと結論が出た。 もちろん急な体調不良、インフルエンザ等ならば延期という手段を用いることも話した。
54
怯えていた目は、もうそこには無かった。
安藤は里中の表情を確認すると普段の温厚な態度に戻り、後ろ手で挨拶しながら、その場を後にした。
里中は安藤の後姿をそっと見守りながら武者震いを止める事が出来ずに、しばらく、その場を動くことができなかった。
普段、路上の喧嘩と女子しか興味が無かった不良達もタイマン対決ならと下級生に日程はきちんと確認して報告してこいというようなやり取りが聞こえていた。幽霊部員になったとは言え、元エースだった安藤の本気が見れるかもしれない。
しかも相手は名門出身で最近、頭角を現わしている注目株の里中。先輩VS後輩の構図も相まって屋上でタバコなんか吸って、くっちゃべってる場合じゃないという事に不良軍団の中でも、なっていた。
この日は他校との喧嘩も一切禁止の気合の入りようだ。この水泳対決の噂は応援団にも耳に入る事となっていた。
55
11話<51~55P>
いいなと思ったら応援しよう!
父親(ドラクエマニア)から譲り受けた変速自転車(損傷)の部品交換代&おやつ代に当てたいと思います✨ あなたの応援が力になります! 