インディフィニト・ノート 20話
<前話までのあらすじ>
西田は、山里の内部にあるプロレス好きスイッチを押すことに成功して、プロレス技の攻防で白熱していた。はたして数ある中で西田の選んだ技が決まってしまうのか?
1話は<1~5P>こちらから
19話は<91~95>こちらから
20話<96~100P>
「ギ、ギブアップっ」
「悪いな。こっちには負けられない理由がある」
脚にダメージが蓄積したように見せた西田の芝居の上手さも光った戦いだった。
「立てるか?」
西田は闘った相手に対してノーサイドの精神で対応する事を基本としているので嫌味なく自然に声を掛けた。
「何とか肩を借りれば大丈夫だと思う」
西田からのシェイクハンドで起き上がる事に成功した山里はロープに体を預けていた。他の奴の気配がした事に気付いた。お洒落な香水を漂わせているので仲間が助けに来たと思った。
「弱い仲間は要らないんだよね!」
「黒崎さんっ」
後ろ髪を束ねた黒崎と呼ばれた色黒が山里の横側から接近すると右脇の下から自分の右手を通して相手の首に添える。そして自分の左手を相手の腰に回して丸太のような腕で軽々と持ち上げると裏投げでマットに叩きつけた。
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受け身の取れないとされる危険な技で柔道の技にも存在するがオリンピックでも滅多に見ることはできない難易度の高い技だ。
「……」
山里は気を失っている。
「お前、イカれてるのか?」
西田は弱ってる仲間に制裁を加える行為を下劣だと認識しているので人差し指で、こめかみを叩く動作を2回行った。
「失礼だな君は」
黒崎はサングラスを外すと日焼けしたマッチョボディを惜しげもなく披露するべく胸筋を交互に動かしてパワーをアピールする。タンクトップにバンダナ姿で顎髭を蓄えている。とても高校生とは思えない貫禄があった。
西田は長話をすると疲れそうなタイプに見えたが、ご褒美のデートの為、仕方なしに会話を続けた。
「黒崎、お前みたいなタイプは、きっちりと止め刺さないと変わらないだろう」
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「ふーん。君は僕とシングルで闘う覚悟があると思っての発言かい?」
大の字で倒れている山里は眼中に無いのか、リングの中央、額が触れそうな程の距離で睨み合いが始まった。
「それはどうかな?」
質問を質問で返した西田はピューイと口笛を吹いた。そのタイミングで、どこから出て来たか分からない素早さで、エプロンサイドに姿を現わした奥島。
「それじゃぁ挨拶代わりに俺も参加させてもらうとするかっ」
奥島は、言い終わると同時に両手でロープを掴みながらジャンプして軽々とロープに飛び乗ると、そこから西田の背中目掛けてドロップキックを放った。
この技はスワンダイブ式ドロップキックという。何度も見たくなるような美しい技でもある。ギリギリまで死角を作った西田は当たる直前に横に交わして受け身を取った。
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死角から突然現れた蹴り(ドロップキック)に対して無防備な黒崎は踏んばる事が出来ずに吹っ飛ばされてしまう。このままの勢いなら間違いなく反対側のロープにぶつかって深刻なダメージが入る予定だったが突如、一人の
おデブちゃんが立ち塞がった。
「黒崎さんよ。油断したらイケないって口酸っぱく言ってますよね?」
「鶴居。マジでスマン。おかげで助かった」
大きな腹で黒崎の体を包み込んで衝撃を吸収してしまっていた鶴居。体重は140㎏前後、短足。頭のテッペンに約5cmのちょんぼがあり、サイドは刈り上げで丸眼鏡を掛けていた。
黒崎と対照的に色白だった。
「こりゃまた。バカでかい奴が出て来たな」
「イーアル〇ンフーに出てきそうなタイプだな。誰だと思う?」
西田は珍獣に出会ったかのように興奮して相棒に声を掛けて奥島が軽快に解答する。
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「そうだ。おれっちはチンと見たな」
「なら俺はタオだな」
二人して爆笑している。
「お前ら鶴居をあまり怒らせない方が良いぞ。でタッグマッチか? ルールはどうする?」
黒崎は言い終えるとムスっとしてる鶴居をなだめている。
「さてどうしたもんかな。場外を使うのは、得策じゃない事は分かるし奥島はどう思う?」
「そうだな。場外なしでタッグ技は、お互い1回までにしよう」
西田が振った話にロープに持たれて腕を組みながら答える奥島。西田は開脚したりしてストレッチで体をほぐしている。疲れは感じていない動きだった。
「……」
「レフリーが居ないんじゃ。3カウントは、出来ないな」
鶴居はルールに口出さないスタイルだが黒崎はプロレスをやりたがっている風にみえた。
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20話<96~100P>
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