インディフィニト・ノート 19話
<前話までのあらすじ>
西田は、細川からの電話で今回の全中戦争に参加する生徒の攻略データを
生徒手帳に記載して胸ポケットに入れてあると報告された。中身を見ていくと想像を超える詳細が書かれていた。情報を得た西田は待たせている山里に声を掛けて、いよいよ激突の瞬間が来ようとしていた。
1話は<1~5P>こちらから
18話は<86~90>こちらから
19話<91~95P>
「東洋の格闘技全般を指してるんだ。ジークンドーが入っていても何ら問題はない」
西田は、混乱させるべく、ジークンドーのステップを使ったに過ぎない。来ると分かっている攻撃ほど、脆いものはないという自論の元、日々精進している。
「そうかよ。じゃあ勝手にしろっ」
言葉とは、裏腹に山里の中で迷いが生じた。ジークンドーにはボクシングのリードジャブとは違う軌道のストレートリード(縦拳)がある。その独特の動きは、初見では交わしにくく最速の動きと称される事もあるくらいだ。
文献や動画で見て頭ではイメージ出来ているが実際に起きた時に即座に対応できるかと言われれば少なからず誤差が生まれる。そこを付け込まれたら秒殺もありえると動きが硬くなっていた。そこを西田は見逃さずに右のローキックを2発続けて打つ。
「どした。動きが固いぞ?」
「うるせぇ。先制攻撃が当たっただけで良い気
になってるんじゃねぇぞコラっ」
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西田に煽られながら平静を装うも額からの汗が止まらなかった山里。日々の鍛錬の一環で、学校終わりには、格闘技ジムでプロデビュー間近の打撃の選手とのスパーリングも積極的に行っており、打撃による痛みには耐性があったので顔面だけに注意して高めにガードを固めている。
西田は左ハイキックを狙うが読んでいた山里が大きく前に出る事に成功して腿の位置が当たる超接近戦になった為、特にダメージを与える事が出来なかった。
「その首、貰ったぁー」
そこから組み技を警戒して後ろに下がりながら延髄切りの大技を狙いに、行く西田。
「来ると分かってる攻撃に意味なんかねぇよ!」
山里は、頭を下げて即座に対応すると西田の大技は空を切りバランスを崩しながらも、うつ伏せの状態をキープする事に成功した。
正直、並みの運動神経なら体が流れて受け身を取る事さえ出来なかったはずだ。ここで手帳にストロングスタイルが好きと書いてた事を思い出した。
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山里は、あまりにも無防備な状態のうつ伏せを目の当たりにして頭の中にあるプロレス技が二種類浮かんでいた。STF(ステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェィスロック)とリバース・インディアン・デスロックだ。
前述は闘魂三銃士で黒のカリスマと呼ばれている人の必殺技である。後述は、日本プロレス二大巨頭の一人で燃える闘魂でお馴染みの方が使う得意技だ。昭和のプロレスが好きな人は一度は見た事があるのではないだろうか。
1秒迷った結果、西田の脚を交差させてダブル・レッグ・ロックから自分の左脚を相手の交差した両脚に入れながら、逃げられないようにその状態をキープする。
「西田よ。そろそろ反撃の時間だぜっ」
そのまま後ろへ受け身を取って相手にダメージ与える技『リバース・インディアン・デスロック』を発動させた。
本当は観客を盛り上げる為に両手を叩く動作があるのだが気付いてない。
「イテェっ。プロレス技にハマった世代か?」
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「父親が大好きで勉強よりプロレスを観る事がが我が家の娯楽だった」
山里はプロレスの言葉で脳にスイッチが入ってしまう。
「やるなら本格的にやらないと意味ねぇな~」
「お前に言われるまでもないわ。ちょっと興奮し過ぎちまっただけだ」
両手を叩きながら観客を盛り上げ、派手に後ろへ倒れこむ動きは、本人が逆襲に転じる際の大きな見せ場の一つとなっていた。
なので本人に成りきって同じ動作を始める。ポイントは手元で交差してる両手を大きく広げながらマットを叩くところだ。見方を変えれば柔道の後ろ受け身に似ていると言えなくもないだろう。
「イウェーっ。もういっちょ来い!」
脚へのダメージが蓄積しているが弱みを見せたら付け込まれると分かっている西田は煽る選択肢を取った。ここまで来たら読み合いだ。
「言われなくてもロックは外さないっ」
すっかり、その気になっている山里。
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この流れから鎌固めへと移行する事をイメージするが柔術の休憩中にプロレスごっこをしてる時も上手く行った記憶はなかった。しかし相手が、プロレスを理解して耐久力があると直感で分かったからこそ、初めて決まるかもしれないと武者震いしていた。
憧れの連携技に王手が掛かっている。
「山里、興奮してるところ悪いが、ここからはおれっちのターンだ」
プッシュアップ(腕立て伏せ)で状態を起こすと同時に脚にも力を入れると山里の体勢のバランスが崩れ始めた。
その瞬間を逃さずにローリングクレイドルの技で相手が方向感覚を失うであろう所まで回転し続けた。
「……」
山里は、何が起きているのか全く理解できないまま三半規管が鈍くなっている感覚に陥っていた。
そこから技を外した西田は山里をうつ伏せにしてスタンディング式のアンクルホールド(足関節)を決めると徐々に力を込めていく。
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