どうにもとまらない

 夜更けのコンビニを出た瞬間、男の足が止まらなくなった。
「うわああ! 止まれぇ!」
 信号を無視し、噴水にダイブし、鹿と競走し、野良犬を引き連れて七日間爆走する。足の裏はマメだらけだ。
 海辺の町で砂浜に豪快に転がり込んだ瞬間、足がピタリと止まった。
 そこにいた幼なじみの彼女が、笑いながら抱きついてくる。
「人間掃除機みたい!」
 その途端、傷が光とともに癒え、体が軽くなった。
 どうにも止まらなかった暴走は、彼女のもとへ導く馬鹿馬鹿しいラブコールだった。
 それ以来、二人は海辺の町で毎日大笑い。止まらない足で町を駆け回り、野良犬たちと一緒に幸せな大騒ぎを続けた。
(終)

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