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思い出拾い

《牛窓》という土地にはこれまで2回来た記憶がある。
約40年前!「あんのん族」に続く「ペンションブーム」があった。
萩や尾道やちょっとした小京都や、長野の高原や牛窓のような、
女子好みのロマンチック風?町が流行った。

「結婚したらきっと幸せになれるはず」と思い込んだだけの
勝手に夢を押し付けた幼い結婚生活
地味な生活だったので旅行も少なく、しかしたまに行くか!という時
普通にミーハーだった私は、尾道、倉敷、そして牛窓などを選んだ。

牛窓に行ったのは息子が1歳くらいの時・・・
まだ家族が幸せな「はず」と信じていた時代
なにより「形」にはめることが大事だった。
「家族の幸せな小旅行」を演出したのだ。

海が見えるなだらかな丘で寛ぐ幸せの図を完成したかった。
白い家に赤い屋根、左右に開くフランス風窓
外の芝生で遊ぶ夫と子どもを珈琲片手に眺める幸せな妻
食堂ではオーナー夫妻の手作り洋風料理が並び、ちょっとだけよそいき

現在あの数多いペンション村はどうなったのか?
バブル崩壊であちらこちらのホテルや事業が消滅したとも聞く。
私たちの結婚生活も崩壊した。可愛かった息子の人生も半崩壊している。
なんでもお金や形で手に入るという時代だったのか?

そんな元夫も昨年、亡くなったと聞いた。
形と夢に振り回して私が不幸にした。全ては思い出の泡となった。
ただ残るのは、老婆の記憶の片隅に
しあわせごっこが成功した小さな家族の図

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