在るとき|村田雄平 × ハラヒロシ 二人展について
在るとき
写真を撮る理由を聞かれることがある。
綺麗な景色を残したいからなのか、誰かを記録したいからなのか、作品を作りたいからなのか。
もちろん、どれも間違いではないと思う。
でも、自分にとって写真は、
何かを「説明するため」のものではなく、
その瞬間に確かにそこに居た感覚を、
あとからもう一度触れるためのものなのかもしれない。
雪が降る街を歩く人。
気づけば消えていく光。
名前も知らない誰かの後ろ姿。
静かな海。
風に揺れる草。
ぼやけた夜の雑踏。
特別な出来事ではないはずなのに、
なぜか心に残ってしまうものがある。
それらはきっと、
意味を持つ前に、
ただ「在った」ということなのかもしれない。
今回の展示『在るとき』では、
ハラヒロシさんと僕、
二人がそれぞれ違う場所で見つめてきた
“在り方の断片”を並べています。
同じものを見ているわけではないし、
同じ撮り方をしているわけでもない。
けれど、
写真の奥に流れている感覚のようなものが、
どこか静かに重なっている気がしています。
街の中で、
旅先で、
日常の途中で。
立ち止まらなければ通り過ぎてしまうものたちを、
僕たちは何度も写真にしてきました。
たぶんそれは、
「作品を作る」というより、
自分が確かにそこにいたことを、
確認していたのだと思います。
最近は、
情報も、言葉も、答えも、
あまりに速く流れていく。
写真ですら、
“強い一枚”や“わかりやすさ”を求められることが増えました。
でも本当は、
言葉にならないまま残る感覚のほうが、
ずっと大事だったりする。
うまく説明できないけど、
なぜか忘れられない景色。
理由はないのに、
少しだけ救われる瞬間。
この展示が、
そんな感覚に静かに触れられる場所になったら嬉しいです。
会場は大きなギャラリーではありません。
だからこそ、
写真との距離が近いです。
プリントの質感や空気、
余白、
視線の流れまで含めて、
実際に“そこに在る”ものとして感じてもらえると思います。
もし最近、
少し疲れていたり、
何かを考え続けていたり、
ただ静かな時間が欲しかったりしたら。
ふらっと来てもらえたら嬉しいです。
きっと、
何か大きな答えがある展示ではありません。
でも、
帰る頃には少しだけ、
呼吸が深くなっているかもしれません。
村田雄平 × ハラヒロシ 二人展
『在るとき』
会期
2026.5.22 fri 15:00–19:00
2026.5.23 sat 10:00–19:00
2026.5.24 sun 10:00–18:00
会場
Gallery tentplant AOYAMA
東京都港区北青山3-1-6 316青山403
表参道駅・外苑前駅から徒歩圏内です。
入場無料。
どなたでもお気軽にお越しください。


