2026/01/20 捲土重来 冬の庭
赤に目を引かれた。
庭の鉢植えから、はみ出した細い枝が、薄い葉をねじらせて、ポツポツと赤い実をつけている。根元に、クランベリーと札がある。クランベリーといえば、昔読んだ小説だったか、誰かが瓶詰めのジュースを美味そうに飲んでいたな。そうか、それでこの鉢を買ったのか。札に記されているのは、別名のツルコケモモ…モモには見えない。
5ミリより少し大きい実を摘み取り、歯でこそぐ。赤い皮の下にうす黄色い種があった。歯の縁の果皮を舌に乗せて吸ってみる。
味は口に広がらない。
酸っぱいといえば酸っぱいが、汁気がない。
皮は飲み込まず、地に吐いた。なんとなく種は捨てるのに気が引けた。手につまんだ実を、鉢植えの土に埋めた。
かがみ込んで、気づく、鉢の外にも赤い実が落ちている。正月はじめに降った雪に押されて落ちたのだろう。雪解け水に運ばれたのか、実の赤がそこかしこ土や石の陰に隠れている。
目が色を引き出しはじめた。
日の当たる庭木の葉には、色がのっているが、日が当たらない葉は、影の形をしてくすんでいる。夏の頃の気配もない素寒貧の梔子は、なけなしのオレンジ色の実を灯している。ぱさりと落ちたその実は朽ちても色を保つ。雪に染みて小石に残した薄黄色が証拠だ。
ほかは。
南天、千両、万両、くじた柿が浮き上がる。
私の手など関係なく、冬の庭に皆、捲土重来を期して葉陰に隠れ地に伏せている。
