In case of crisis or warーー超訳:危機や戦争が起きたら)|第7回
スウェーデン政府が全世帯に配布している冊子『
Om krisen eller kriget kommer (In case of crisis or war)(邦訳:危機や戦争が起きたら)』の超訳です。

第1ページ:表紙
スウェーデンの全居住者への重要情報
危機や戦争が起きたら

第2ページ:発行にあたって
この冊子は、スウェーデン政府に代わってスウェーデンの全世帯に配布されています。内容はスウェーデン社会保護・危機管理庁(MSB)が責任を負っています。 本書はスウェーデン語、簡易スウェーデン語、英語で注文可能であり、その他多くの言語でデジタル版をダウンロードできます。また、手話、音声形式、点字でも利用可能です。詳細は msb.se をご覧ください。
この冊子を安全な場所に保管してください。

第3ページ:スウェーデンの全居住者へ
私たちは不確実な時代に生きています。世界の片隅では現在、武力紛争が起きています。テロ、サイバー攻撃、そしてディスインフォメーション(偽情報)工作が、私たちを弱体化させ、影響を及ぼすために利用されています。
これらの脅威に抵抗するため、私たちは団結しなければなりません。もしスウェーデンが攻撃されたら、誰もがスウェーデンの独立と民主主義を守るために、自分の役割を果たさなければなりません。
私たちは、愛する人、同僚、友人、隣人とともに、日々レジリエンス(回復力)を築いています。この冊子では、危機や戦争が起きた際、どのように備え、行動すべきかを学びます。
あなたは、スウェーデンの総力防衛(Total Defence)の一部なのです。
【高坂陽の解読:『守ってもらう客』から『運営スタッフ』への強制配属】 これまで、国と国民の関係は「税金を払う代わりに、平和というサービスを受け取る」という、レストランの客と店主のような関係でした。しかし、この一文でその関係は終了しました。これからは、「国という店を潰さないために、あなたも厨房に入って皿を洗い、入り口で棒を持って立っていなさい」という、全員参加の運営スタッフへの切り替えが宣言されているのです。「お客様」という甘えをパージ(排除)する、冷徹な通知です。

第4ページ:目次
不確実な時代、備えが重要である (5ページ)
共にスウェーデンを強くする (6ページ)
スウェーデンの防衛 (7ページ)
警戒態勢の強化 (8ページ)
総力防衛義務 (9ページ)
警報システム (10ページ)
空襲時の避難 (12ページ)
家庭での備え (15ページ)
避難(エバキュエーション) (19ページ)
民間防衛シェルター (20ページ)
心理的防衛 (22ページ)
デジタル・セキュリティ (23ページ)
テロ攻撃 (24ページ)
止血の方法 (25ページ)
異常気象 (26ページ)
病原体 (27ページ)
特別な支援が必要な場合 (28ページ)
ペットを飼っている場合 (29ページ)
不安を感じたら / 子供への話し方 (30ページ)
重要な電話番号と詳細情報 (31-32ページ)

第5ページ:不確実な時代、備えが重要である
軍事的な脅威レベルは高まっています。私たちは、スウェーデンへの武力攻撃という「最悪のシナリオ」に備えなければなりません。
戦争 ―― 私たちの自由に対する究極の脅威
軍事的な暴力が私たちを支配するために行使されるとき、自由で独立した生活を送る権利が脅かされます。 しかし、武力紛争以外にも、サイバー攻撃、偽情報工作、テロ、サボタージュ(破壊工作)など、私たちの社会に影響を与え、弱体化させる方法は存在します。これらの攻撃はいつでも起こり得ます。今、この瞬間にも起きているものもあります。
私たちは、自由を当たり前のものと思ってはいけません。私たちの開かれた社会を守るための勇気と意志は不可欠であり、たとえそれが一定の犠牲を私たちに要求するものであっても、果たさなければなりません。
もしスウェーデンが攻撃されたら、私たちは決して降伏しません。これに反するいかなる指示も、すべて偽物です。
その他の深刻な脅威
私たちは、以下のような他の深刻なリスクや脅威に対してもレジリエンスを強化する必要があります。
異常気象
危険な病原体
重要なITシステムの停止
組織犯罪

第6ページ:共にスウェーデンを強くする
レジリエンス(回復力)とは、私たちが困難に直面した際に、どれだけ耐え、元の状態に戻れるかという能力のことです。
私たちの共通のレジリエンス もし私たちの電気、ITシステム、あるいは供給ルートが攻撃を受ければ、社会はすぐには機能しなくなります。そのような時、私たちは互いに助け合わなければなりません。 あなたが自分のこと、そして身近な人のことをケアできれば、国や自治体は最も支援を必要とする人々(病院や高齢者など)にリソースを集中させることができます。
あなたにできること:
準備する: 家庭での備えを確認し、強化する。
関与する: 近隣住民と知り合い、地域コミュニティや非営利団体に参加する。
学ぶ: 応急処置や消火方法、心理的防衛について学ぶ。

第7ページ:スウェーデンの防衛
スウェーデンの防衛は、「軍事防衛(Military Defence)」と「民間防衛(Civil Defence)」の二本の柱で構成される「総力防衛(Total Defence)」です。
軍事防衛: スウェーデン軍(Försvarsmakten)が主導し、スウェーデンの領土と主権を武力攻撃から守ります。
民間防衛: 社会の重要な機能を維持し、民間人を保護し、軍の活動を支援します。これには政府機関、自治体、民間企業、そしてすべての居住者が含まれます。
【高坂陽の解読:就職した瞬間に決まる『戦時の持ち場』】
ここが日本人の感覚と最も乖離する点です。スウェーデンでは、インフラエンジニアや物流、医療といった重要職種に就いた時点で、「有事にはこの場所で、この業務を継続せよ」という国家からの待機命令(アサイン)がセットで付いてきます。
転職してスキルを身につけることは、単に年収を上げることではありません。それは、国家防衛という巨大なマシンの、より「急所(ボトルネック)」に近いパーツとして自分を磨くことに他ならないのです。あなたの専門知識は、平時は「仕事」ですが、有事には「義務」へと強制的に書き換えられます。

第8ページ:警戒態勢の強化(High Readiness)
スウェーデン政府は、戦争の脅威が高まった際、あるいは開戦時に「警戒態勢の強化」を宣言します。これにより、社会全体が防衛モードへと切り替わります。
警戒態勢が宣言されると:
法律が変わり、政府が迅速な意思決定を行えるようになります。
経済やインフラのリソースが防衛のために優先配分されます。
すべての「総力防衛義務」が有効になります。

第9ページ:総力防衛義務(Total Defence Duty)
スウェーデンに居住する16歳から70歳までのすべての人は、法律に基づき総力防衛の義務を負います。
3つの義務形態:
兵役(Värnplikt): 訓練を受け、軍隊の一部として任務に就く。
民事役(Civilplikt): 医療、電力、交通、警察、消防など、社会の重要インフラを維持する役割。
一般奉仕義務(Allmän tjänsteplikt): 緊急時に必要な労働(食料の配給、物資の運搬、清掃など)を提供し、社会を止めない役割。
【高坂陽の解読:内定通知書に隠された『徴用条項』】
日本の会社員が「有事なら会社は休みかな」と考える甘さを、彼らは許しません。ITエンジニア、トラック運転手、インフラ担当者……あなたがプロとして契約を結んだ瞬間、そのスキルは国家の「戦略物資」としてリストアップされます。
ITエンジニア: 「今の会社」のサーバーではなく、国家のサイバー防壁を死守する。
トラック運転手: 宅配便ではなく、最前線への弾薬や食料の輸送ラインに組み込まれる。
「仕事内容を選べる自由」は、平和というインフラが正常に稼働している時だけの期間限定ライセンスです。有事というプログラムが走れば、あなたのスキルは自動的に「国家防衛用」へと強制リブート(再起動)されるのです。

第10ページ:警報システム(Warning Systems)
有事や重大な危険が迫った際、政府は以下の方法で国民に警告を発します。
VMA(重要な公衆メッセージ): ラジオ、テレビ、インターネット、SMSを通じて送信されます。
屋外警報(Hesa Fredrik): 屋外のサイレンが鳴り響きます。
「重大な危険」の合図: 7秒間の吹鳴、14秒間の休止を1分間繰り返す。
「解除」の合図: 30秒間の連続吹鳴。
サイレンが聞こえたら:
屋内に入り、ドアと窓を閉める。
換気扇を止める。
ラジオ(P4)やテレビ、ウェブサイト(krisinformation.se)で情報を確認する。

第11ページ:空襲警報(Air Raid Warning)
敵の航空機やミサイルによる攻撃が差し迫っている場合、空襲警報が発令されます。
空襲警報の合図:
短い吹鳴(2秒)を繰り返し、計1分間鳴り響きます。
警報が聞こえたら、直ちに:
防空壕(シェルター)、または建物の地下室など、最も安全な場所へ避難してください。
爆弾の爆風、破片、放射性降下物、熱波から身を守るための行動をとってください。
シェルターマップ

第12ページ:空襲時の避難(Protection against air raids)
避難の準備は、平時に行っておく必要があります。
防空壕(Skyddsrum)を探す: 自分の家や職場の近くに、どの防空壕があるか、オレンジと青のマークを目印に事前に確認してください。
地下室を利用する: 近くに防空壕がない場合は、頑丈な建物の地下室や、窓のない中央の部屋、あるいはトンネルなどを利用してください。
伏せる: 屋外で攻撃に遭遇し、避難場所がない場合は、地面に伏せて頭を両手で守ってください。

第13ページ:民間防衛シェルター(防空壕)の詳細
スウェーデン全土には約65,000の防空壕があり、約700万人を収容可能です。
誰でも利用可能: 防空壕は、その建物に住んでいるかどうかにかかわらず、警報時に近くにいるすべての人のためのものです。
48時間の転換: 平時は駐輪場や倉庫として使われている場所もありますが、警戒態勢が宣言された場合、48時間以内に避難場所として機能するように準備(転換)されなければなりません。
持ち込めるもの: 水、食料、衛生用品、暖かい衣類、貴重品、懐中電灯など、最小限の荷物。
ペットは不可: アレルギーやスペースの問題から、防空壕にペットを持ち込むことはできません(専用の避難場所が必要です)。

第14ページ:家庭での備え(Hemberedskap)
もし社会が正常に機能しなくなった場合、あなたは最低でも1週間(7日間)、政府の支援なしに自力で生存できるよう準備しておかなければなりません。
なぜ1週間なのか: あなたが自立していれば、国家は救助が必要な病院、高齢者、子供といった「脆弱なノード(弱点)」に、限られたリソースを優先的に投入できるからです。

第15ページ:家庭での備え ―― 水(Water)
水が止まれば、生存は一気に困難になります。
必要量: 一人につき1日最低3リットルの水。これは飲用だけでなく、最低限の衛生のためにも必要です。
保管方法: 清潔な容器(プラスチック製のタンクなど)に水を詰め、冷暗所に保管してください。定期的に入れ替える必要があります。
浄水: 水を煮沸する手段、あるいは浄水剤やフィルターを準備してください。
トイレ: 水洗トイレが使えなくなった場合に備え、丈夫なゴミ袋と猫砂(またはおがくず)を準備してください。

第16ページ:家庭での備え ―― 食料(Food)
エネルギー効率が良く、調理が簡単で、常温保存が可能なものを備蓄してください。
備蓄のポイント:
素早く調理できるもの、または調理不要なもの。
家族全員の好みに合い、栄養価が高いもの。
リスト例: パスタ、米、インスタントマッシュポテト、豆の缶詰、肉・魚の缶詰、スープ(粉末・液体)、油脂(オイル)、硬いパン(クラッカー)、蜂蜜、ナッツ、チョコレート、コーヒー、紅茶。
調理器具: キャンプ用のストーブや燃料。屋外で調理する場合は、火災に十分注意してください。

第17ページ:家庭での備え ―― 暖房(Warmth)
北欧の冬、暖房が止まることは死に直結します。
体温を保つ: ウール(羊毛)の衣類、重ね着、帽子、手袋。寝袋や毛布。
部屋を限定する: 家族全員で一つの部屋に集まり、ドアを閉め、床にラグを敷きます。窓を毛布や断熱材で覆ってください。
補助暖房: 石油ストーブやガスストーブ。換気には細心の注意を払い、火災や一酸化炭素中毒を防いでください。

第18ページ:家庭での備え ―― 通信(Communication)
情報の遮断はパニックを生みます。正しい情報を得るための手段を確保してください。
ラジオ: 電池式、手回し式、またはソーラー充電式のラジオ。スウェーデン放送(SR)のP4チャンネルが、有事の際の公式情報源となります。
物理的なバックアップ: 現金(デジタル決済が停止した場合のため)。重要な連絡先(家族、親戚、隣人、病院、自治体)のメモ。
モバイルバッテリー: スマートフォンやパソコンの充電用。
【高坂陽の解読:行政サービスの『セルフサービス化』】
水や電気、食料の配給といった、かつては国が提供していた「インフラ・サービス」の責任を、国は一気に手放しました。これは「自分で自分の面倒を見る」という美談ではありません。「国があなたに割くリソースをゼロにする」という、徹底した効率化です。自分の命を自分でメンテナンスすることで、ようやく国は「敵への反撃」という本来の業務に専念できるようになる。備蓄とは、国に対する「究極の気遣い」なのです。

第19ページ:避難(Evacuation)
政府や自治体が「避難」を命じる場合があります。これは、あなたがいる場所がもはや安全ではないという判断(Kessai)に基づいています。
避難の指示が出たら:
直ちに従ってください。自分で判断を遅らせることは、救助のリソースを無駄にする行為です。
家族にどこへ行くかを伝え、貴重品、身分証明書、暖かい服、飲料水、食料を持って出発してください。
自宅を離れる前に: 電気や水を止め、窓を閉めて施錠してください。
【高坂陽の解読:『空気の読めない個体』のパージ】
この「直ちに従え」という言葉の裏には、「あなたが迷うことで、救助隊という貴重な運営コストを浪費させるな」という強い警告が込められています。災害時に「まだ大丈夫だろう」と居残る人は、自由な個人ではなく、「システム全体の処理速度を落とすバグ」として扱われる。自分の命を自分で管理できない個体は、集団の生存確率を下げる「リスク資産」として、厳しく切り分けられるのです。

第20ページ:民間防衛シェルター ―― Q&A(補足)
よくある質問への回答です。
シェルターはどこにありますか?: MSBの「防空壕マップ」で事前に検索可能です。
誰が管理していますか?: 建物の所有者が維持管理の責任を負っていますが、有事の準備は全居住者の義務です。
シェルターに入れない場合は?: 地下室、階段井戸、あるいは「窓のない頑丈な部屋」を探してください。

第21ページ:心理的防衛(Psychological Defence)
私たちの敵は、偽情報(ディスインフォメーション)を使って、私たちの意志をくじき、社会に混乱と不信を招こうとします。
情報の真偽を見極める: 敵は、私たちの恐怖や怒りといった感情を刺激する情報を流します。
「誰がこの情報を発信しているのか?」「その目的は何か?」を常に問いかけてください。
情報の拡散を止める: 不確かな情報、出所不明なニュースをSNSで共有しないでください。あなたが情報を精査せずに拡散することは、敵の攻撃に加担することと同じです。
公式情報を信頼する: 有事の際は、ラジオ(P4)、政府のウェブサイト(krisinformation.se)、自治体の公式発表を確認してください。

第22ページ:心理的防衛 ―― 6つのチェックポイント
情報の罠に落ちないためのセルフ・チェックリストです。
ソース(情報源)はどこか?: 信頼できる組織か、それとも正体不明の個人か。
証拠はあるか?: 他の信頼できる複数のメディアも報じているか。
古くないか?: 過去の出来事の写真や動画を、今起きていることのように見せていないか。
なぜ今、この情報なのか?: あなたの感情を操作しようとしていないか。
偏っていないか?: 一方的な主張だけを並べていないか。
偽造されていないか?: AIによるフェイク画像や動画、巧妙な加工ではないか。
【高坂陽の解読:『無意識のアルバイト』の禁止】
SNSで「これ、ひどい!」と感情的にリポストする行為。スウェーデン政府はそれを、「敵に雇われた無給の工作員」の仕事だと断じています。あなたが情報の「検品(ファクトチェック)」を怠ることは、オフィスの共有サーバーにウイルス付きのメールを転送するのと同じ。善意だろうが正義感だろうが、結果としてシステムを汚染したなら、それは「加害者」である。あなたの指先には、常に「国家防衛」という重い責任(権限)が紐付けられているのです。

第23ページ:デジタル・セキュリティ(Digital Security)
ITシステムへの攻撃は、私たちの日常生活を麻痺させる強力な武器となります。
パスワードの管理: 強力なパスワード(パスフレーズ)を使用し、多要素認証(MFA)を有効にしてください。
アップデート: オペレーティングシステムやアプリを常に最新の状態に保ち、セキュリティの脆弱性を塞いでください。
バックアップ: 重要な写真、書類、連絡先は、インターネットから切り離された場所(オフライン)にもバックアップをとっておいてください。
不審なリンク: メールやSMSの不審なリンクや添付ファイルを決して開かないでください。
【高坂陽の解読:『クラウド信仰』の全否定】
便利すぎるデジタル・プラットフォーム(GAFAや政府のクラウド)が、ある日突然「敵の領土」に変わることを、彼らは確信しています。だからこそ、最後には「紙のメモ」や「現金の束」という、ハッキング不可能なアナログ技術を推奨する。「最先端を走り続けるために、常に石器時代のバックアップを隠し持っておけ」という、エンジニアリング的な二重化(リフレクション)の知恵です。

第24ページ:テロ攻撃(Terrorist Attacks)
攻撃に遭遇した際の基本行動は「逃げる・隠れる・知らせる」です。
逃げる(Fly): 現場から直ちに離れてください。
隠れる(Sök skydd): 逃げられない場合は、頑丈な壁の裏などに隠れ、スマートフォンを消音にし、静かにしてください。
知らせる(Larma): 安全が確保され次第、緊急通報ダイヤル「112」に連絡してください。
情報を探さない: 野次馬根性で現場に近づいたり、情報をSNSにアップしたりしないでください。それは救助の妨げになり、さらなる危険を招きます。
【高坂陽の解読:『野次馬』という名の不法占拠】
多くの人は、事件が起きると「何が起きたか知りたい」という消費者の顔をしてスマホを向けます。しかし有事において、現場に付加価値を生まない人間が居座ることは、「救助ルートという帯域(バンド幅)の不法占拠」です。知る権利よりも、システムを復旧させる権利が優先される。冷徹ですが、「役に立たないなら、その場から消えろ」という、極めてプロフェッショナルな現場の論理です。

第25ページ:止血の方法(Stop the bleeding)
重傷を負った際、救急車がすぐに来るとは限りません。
圧迫: 傷口を清潔な布などで強く押し続けてください。
止血帯(ターニケット): 手足からの大量出血が止まらない場合、傷口より心臓に近い位置をベルトや布で強く縛り上げてください。
体温保持: 怪我をした人はショック状態になりやすく、体温が奪われます。毛布などで暖かく保ってください。

第26ページ:異常気象(Extreme Weather)
気候変動は、私たちの供給網やインフラに深刻なダメージを与えます。
洪水・大雪・熱波: 停電や断水が長期化することを前提に、家庭での備蓄(第15-18ページ参照)を常に機能させておいてください。
自治体や気象庁の発する警告(VMA)に耳を傾け、避難の指示には即座に従ってください。
助け合い: 高齢者や障害を持つ隣人が、熱波や大雪の中で孤立していないか確認してください。

第27ページ:危険な病原体(Dangerous Pathogens)
感染症の拡大は、社会の機能を麻痺させ、人々をパニックに陥れます。
拡散を防ぐ: 定期的な手洗い、混雑した場所の回避。体調が悪い時は自宅に留まること。
正確な情報: 公衆衛生当局の指示に従ってください。デマ(トイレットペーパーがなくなる、特定の食品が効く等)に惑わされないでください。
ワクチンの接種: 推奨されるワクチンを接種することは、自分を守るだけでなく、社会全体の「免疫力」を高める防衛行動です。

第28ページ:特別な支援が必要な場合(Extra Support)
あなたが、あるいはあなたの身近な人が障害や疾患を持っている場合。
事前の計画: 有事の際、誰が助けてくれるのか、どのような補助具(予備の電池、薬、処方箋のコピー)が必要かをリスト化し、周囲と共有しておいてください。
自分が助ける側であれば、近隣にどのような支援が必要な人がいるかを知っておいてください。

第29ページ:ペットを飼っている場合(Pets)
ペットは家族ですが、防衛OS上は別のプロトコルが必要です。
避難の際: ほとんどの防空壕(シェルター)にはペットを連れて行けません。
ペット同伴可能な避難所を事前に調べるか、親戚・友人に預ける段取りをつけてください。
備蓄: ペット用の食料、水、必要な薬、リードやキャリーケースを「家庭での備え」に含めてください。
【高坂陽の解読:システムの『冗長性』からの除外】
これは、この冊子の中で最も「人間の感情」が試される仕様(スペック)です。スウェーデンというシステムが有事に守る対象は、あくまで「システムを維持できる構成部品(人間)」に限定されています。アレルギーのリスクやスペースの無駄を排除するために、家族同然のペットであっても、防衛OSの保護対象からは冷酷に除外される。「感情をパージしなければ、論理的な生存は不可能である」という、北欧流のリアリズムがここに極まっています。

第30ページ:不安を感じたら / 子供への話し方(Anxiety and Children)
不確実な時代は、心に負担をかけます。
不安への対処: 信頼できる人と話すこと。ニュースを見続けるのをやめ、日常のルーチンを維持すること。
子供に対して: 子供の質問を無視せず、年齢に応じた言葉で正直に伝えてください。
「大人が事態をコントロールしており、あなたを守る準備はできている」と伝え、安心させてください。
【高坂陽の解読:心の『稼働率(アップタイム)』の維持】
国民がパニックに陥り、メンタルがダウンすることは、国家OSの「稼働率」が下がることを意味します。だからこそ、メンタルケアを「優しさ」ではなく、「システムを落とさないための保守運用(メンテナンス)」として推奨しているのです。子供を安心させるのも、次世代という「将来のリソース」を壊さないための、極めて長期的な先行投資なのです。

第31ページ:重要な電話番号(Important Phone Numbers)
この番号をスマートフォンに登録し、紙にも書いて貼っておいてください。
112: 生命に関わる緊急事態(警察、消防、救急)。
114 14: 緊急ではない警察への相談。
1177: 医療相談(24時間)。
113 13: 危機や事故に関する情報の提供・受領(非緊急)。
Krisinformation.se: 複数当局からの公式情報を集約したウェブサイト。

第32ページ:最後のチェック(Final Checklist)
あなたは、準備ができていますか?
□ ラジオ、予備の電池、懐中電灯。
□ 水(3リットル/日)と、数日分の食料。
□ 現金。
□ 暖かい服、寝袋、毛布。
□ 衛生用品、薬、応急処置キット。
スウェーデンを守るために、誰もが重要です。
☕ 思考のブレンド(今回の参考資料)
以下のリンクから『
Om krisen eller kriget kommer (In case of crisis or war)(邦訳:危機や戦争が起きたら)』をダウンロードできます。
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