【院内研修スライド配布】急変の前兆とRRS―「まだ大丈夫」を見逃さない観察・報告・エスカレーション【SBAR・NEWS/MEWS対応/講師用原稿付き】
はじめに:あなたの病棟でも、今日「まだ大丈夫」は起きていないでしょうか
夜勤帯、患者さんの呼吸数がいつもより少し多い。SpO₂がじわじわ下がっている。それでも「いつもこういう方だから」「もう少し様子を見よう」と判断し、数時間後に急変が起きてしまった――このような場面は、医療・介護の現場に関わる方であれば、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
先行研究が繰り返し示しているのは、院内心停止の多くは決して「突然」ではないという事実です。Schein RMらによる1990年の報告以来、呼吸数・血圧・意識レベルの変化が心停止の数時間前から記録されていた事例が積み重なっており、Buist MDらによる2004年の研究でも同様の傾向が確認されています。急変を防ぐチャンスは、急変の「前」に存在している。それは分かっていても、現場では今日も「まだ大丈夫」が繰り返されがちです。その背景にあるのは、スタッフ個人の能力の問題ではなく、気づきを行動に変えるための仕組みと組織文化が整っていないことにあります。
本記事では、この課題に正面から向き合うために作成した**院内研修用スライド(PowerPoint・全10枚)と、そのまま読み上げて進行できる講師用読み上げ原稿(Word)**のセットを、有料コーナーにてご提供します。医師・看護師・リハビリスタッフ・介護職員など、患者に接するすべての多職種を対象とした45分完結型の研修パッケージです。
なぜ今、この研修資料が必要とされているのか
医療安全の文脈で「RRS(Rapid Response System)」「SBAR」「NEWS/MEWS」といった用語は広く知られるようになりましたが、これらを多職種にきちんと届けるための「すぐ使える教材」は、まだ十分に整備されていないのが現状です。実際に、以下のような悩みを抱える研修担当者・医療安全担当者は少なくありません。
急変対応研修を企画したいが、資料をゼロから作る時間が取れない
医師・看護師・リハビリ・介護職など、職種の異なる参加者全員に伝わる構成が思い浮かばない
担当講師が変わっても同じ質で伝えられる「原稿付き」の教材が欲しい
専任のRRT(Rapid Response Team)を持たない小規模病院・クリニックでも実装できる内容にしたい
本パッケージは、こうした声に応えるべく設計されています。スライドだけでなく、そのまま読み上げて進行できる講師用原稿をセットにすることで、研修準備の負担を大幅に軽減できる構成になっています。
研修パッケージの概要
対象:医師・看護師・リハビリスタッフ・介護職員など、患者に接するすべての職種
所要時間:45分(講義中心。ミニディスカッションを実施する場合は最大55分程度)
収録スライド数:全10枚(PowerPoint形式)
付属ドキュメント:講師用読み上げ原稿(Word形式・全スライド対応・想定Q&A付き)
3つの学習目標
本研修は、以下の3つのゴールに沿って構成されています。
急変前兆のサインを観察・言語化できるようになる——「なんとなくおかしい」という違和感を、具体的な言葉として臨床情報に落とし込む力を養います。
NEWS/MEWSのような早期警告スコアの考え方を理解する——単一の異常値ではなく、複数の軽度異常の組み合わせや経時的な変化のトレンドを重視する視点を身につけます。
SBARを用いて迷わず報告・エスカレーションできるようになる——忙しい現場でも要点を漏れなく簡潔に伝える報告フレームを習得します。
スライド構成ダイジェスト(全10枚)
スライドは10枚構成で、45分の研修枠にそのまま収まる設計になっています。各スライドには、読み上げるだけで進行できる講師用原稿が完全対応しています。
スライド1:タイトル・導入
参加者の多くが経験しているであろう「まだ大丈夫」という場面への問いかけから始まり、本日のメインメッセージ「急変は多くの場合、突然ではなく予兆を伴う」を共有します。対象職種と3つの学習目標を明示し、研修全体の方向性を提示します。
スライド2:急変は「突然」ではない
Schein RMら(1990年)、Buist MDら(2004年)の先行研究をもとに、院内心停止の多くで心停止の数時間前から呼吸数・血圧・意識レベルの異常所見が記録されていたことを解説します。国内の「医療安全全国共同行動」がこの分野を全国的な重要課題として位置づけている点にも触れ、テーマの重要性を共有します。

スライド3:「まだ大丈夫」が危険な場面
気づいていても対応が遅れてしまう背景にある4つの典型パターン——①正常性バイアス、②先延ばし、③権威勾配、④呼び出しへの不安——を整理します。これらが個人の資質の問題ではなく組織文化・システムの問題であることを明確に位置づけ、「空振りを許容する文化」の必要性を伝えます。
スライド4:観察すべき前兆サインと職種別の気づき
呼吸数・SpO₂・血圧・脈拍・心拍・意識レベル・尿量・皮膚所見といった具体的な観察項目を提示し、看護師・介護職員・リハビリスタッフ・医師それぞれの職種が持つ気づきの特性を整理します。多職種の視点を統合することで、単一の職種では拾えない前兆を捉えられることを伝えます。
スライド5:早期警告スコア(NEWS/MEWS)の考え方
複数のバイタルサインを点数化し合計するスコアリングの考え方を解説します。基本的な算出概念は以下のように表せます。
早期警告スコア=呼吸数+SpO2+体温+血圧+脈拍+意識レベル(各項目の点数の合計)
単一の異常値ではなく、複数の軽度異常の組み合わせや経時的なトレンドを重視するという考え方を共有し、スコアに応じた対応レベル(低:通常観察継続/中:観察頻度アップ・医師相談/高:RRSコール・緊急評価)の運用イメージも提示します。NEWSはRoyal College of Physiciansが2012年に公表し2017年に改訂したもの、MEWSはSubbeらの先行研究以降広く臨床導入されているスコアです。
スライド6:RRS(Rapid Response System)の全体像
DeVitaらが提唱するRRSの4要素——①アフェレント・アーム(検知)、②エフェレント・アーム(対応)、③管理・評価、④行政管理——を解説します。専任チーム(RRT/MET)がない施設でも、「誰に・どのタイミングで・どう連絡するか」を明文化し院内に掲示・周知すること自体がRRSの核心であることを伝え、小規模病院・クリニックでも実装可能であることを強調します。

スライド7:なぜ医師コール・報告が遅れるのか
報告が遅れる背景にある心理的要因(自信のなさ・権威勾配)と組織的要因(情報共有の断片化・基準の未明文化)を整理します。「呼吸数22→26回/分、SpO₂93%への低下を前に報告が先送りされ、数時間後に急変する」という典型的なケースパターンを示し、対策の3本柱(明文化・共通認識・医師側からの発信)を提示します。
スライド8:SBARで迷わず報告する
Kaiser PermanenteのMichael Leonard MDらが開発し、IHIを通じて国内外の医療安全教育で標準的に活用されているSBARフレームワークを、具体的な例文とともに解説します。
S(Situation・状況):「○号室の○○さん、呼吸数が28回、SpO₂が90%まで低下しています」
B(Background・背景):「肺炎で入院中、昨日まではSpO₂96%を維持していました」
A(Assessment・評価):「呼吸状態が急激に悪化している可能性があると考えます」
R(Recommendation・提案):「至急、診察をお願いできますか」
Assessmentは正確な診断でなくてよく、「いつもと違う気がする」という表現で十分であることも明示し、報告への心理的ハードルを下げる工夫がされています。
スライド9:事例比較+ミニディスカッション
実在事例ではなく典型パターンをもとにした架空の複合ケース2例を比較します。CASE A(経過観察ルート:慢性心不全78歳男性、報告先送りの末に心停止・救命困難)とCASE B(早期報告ルート:肺炎82歳女性、多職種連携と早期SBAR報告により重篤化回避)を対比し、初動の差が予後を変えることを示します。時間が許せば、自院マニュアルを用いたミニディスカッションやロールプレイも実施できる進行手順が用意されています。
スライド10:まとめ・行動目標
3つのメッセージ——①急変には多くの場合予兆がある、②早期警告スコアの考え方を活用する、③SBARでためらわず報告する——に集約し、「空振りを許容する文化を明日からの現場でつくる」というメッセージで締めくくります。
時間配分の目安(合計45分)
スライド 内容 所要時間 1 タイトル・導入 3分 2 急変は「突然」ではない 4分 3 「まだ大丈夫」が危険な場面 4分 4 観察前兆サイン・職種別の気づき 6分 5 NEWS/MEWSの考え方 5分 6 RRSの全体像 5分 7 報告・医師コールが遅れる背景 4分 8 SBARでの報告 6分 9 事例比較+ミニディスカッション 6分 10 まとめ・行動目標・質疑 2分 合計 45分
講師用読み上げ原稿について
付属のWordファイルには、各スライドに対応した、そのまま読み上げるだけで自然な話し言葉になる講師用原稿が収録されています。講師経験が浅い方でも安心して進行できるよう、以下の工夫が施されています。
スライドごとにナレーションが完結しており、担当講師が変わっても同じ質で研修を届けられる
施設固有の情報に差し替えるべき箇所には【施設固有の差し替えポイント】として明記
「小規模施設ではRRSは無理」「医師に怒られたことがあり報告しづらい」「SBARのAssessmentが難しい」といった、研修当日に想定される質問と回答例を付録として収録
研修後に各部署で確認・整備すべき推奨アクション(RRS起動基準の掲示、SBARシートの作成、早期警告スコアの導入検討など)を掲載
ダウンロードデータの内容
有料コーナーでは、以下の2ファイルをセットでダウンロードいただけます。
PowerPointスライド(.pptx・全10枚):図・ポイント・見出しなど院内研修用に最適化されたレイアウト。自院のロゴやRRSフロー図への差し替えもしやすい構成です。
講師用読み上げ原稿(.docx):スライドごとに完全対応した話し言葉の原稿。想定Q&Aと研修後の推奨アクション付き。
こんな方・施設におすすめです
急変対応・RRS研修の資料をゼロから作る時間が取れない看護師長・医療安全担当者の方
医師・看護師・リハビリ・介護職が混在する多職種合同研修を企画している方
講師経験が浅く、原稿があれば安心して進行できる方を育成したい教育担当者
「うちのような小規模施設ではRRSなんて作れない」と感じている病院・クリニックの方
RRSを導入したものの、多職種への浸透に苦労している施設
ご購入前に必ずお読みください(重要な注意事項)
本資料は、あくまで汎用的な研修テンプレートとして作成されています。ご購入・ご利用にあたっては、以下の点を必ずご確認のうえ、ご活用ください。
1. 各病院の実情に合わせてカスタマイズしてご使用ください
連絡フロー・RRS起動基準・観察項目の基準値などは施設ごとに異なります。本資料はあくまで「たたき台」であり、そのまま自院の公式マニュアルのように扱うのではなく、必ず自院の状況に合わせて編集・カスタマイズしたうえでご使用ください。
2. 各病院の実データ・マニュアルへの差し替えを推奨する内容を含んでいます
特に以下の箇所は、自院の情報への差し替えを強く推奨します。
NEWS/MEWSなど早期警告スコアの具体的な基準値(自院で導入済みの場合は自院基準表に差し替え、未導入の場合は既存の急変連絡基準を整理)
RRS起動基準・連絡先・時間帯ごとの連絡フロー
自院の「急変時対応マニュアル」「RRSコール手順」「夜間オンコール体制」
本テンプレートは一般的な例示として作成されているため、自院の公式基準と食い違う形での使用は避けてください。
3. 再販・他者への配布はお控えください(禁止事項)
ご購入いただいたデータの他者・他施設への再配布、有償・無償を問わない再販、複数施設間での共有は禁止いたします。院内での使用(研修での投影・院内配布など)は、自院での利用範囲内であれば問題ありません。
4. インターネット上へのアップロードは禁止です
自院のウェブサイト、公開設定のクラウドストレージ、SNS、ブログ、動画共有サイトなどへのスライド・原稿そのもののアップロード・再公開は固くお断りいたします。院内ポータルや、アクセス制限をかけた自院職員限定の教育用サイトなど、外部に公開されないクローズドな環境での利用は、自院利用の範囲として問題ありません。
5. 自院マニュアルをベースに運用することを推奨しています
本資料内でも繰り返し強調している通り、ミニディスカッションやロールプレイを実施する際は、必ず自院の「急変時対応マニュアル」「RRSコール手順」「夜間オンコール体制」を事前に配布し、それに沿って行ってください。本スライド・原稿は、あくまで自院マニュアルの内容を多職種に伝わる言葉と流れに翻訳するための支援ツールとしてご活用いただくことを想定しています。
出典・参考文献
本資料に収録された研究・ガイドラインの主な出典は以下の通りです。
Schein RM et al., 1990「Clinical antecedents to in-hospital cardiopulmonary arrest」
Buist MD et al., 2004(Medical Emergency Team関連研究)
医療安全全国共同行動(公式公開情報)
Royal College of Physicians「National Early Warning Score (NEWS)」(2012年発表・2017年改訂)
Modified Early Warning Score(MEWS):Subbeらの先行研究以降、広く臨床導入
DeVita MAらによるRapid Response System枠組み(afferent limb / efferent limb / quality improvement / administration)
SBAR:Kaiser PermanenteのMichael Leonard MDらによる開発、IHIなどを通じて標準化・普及
おわりに:「空振りを許容する文化」を、明日からつくる
「早めに呼んでくれてありがとう」と言える職場は、意識づけだけでは生まれません。仕組みが整い、基準が明文化され、それが文化として根づいたときにこそ、スタッフは安心して声を上げられるようになります。
急変を「防げなかった不幸な出来事」として片づけるのか、それとも「予兆の段階でつかまえにいく文化」を育てるのか——その分かれ道になるのは、「なんとなくおかしい」という違和感を多職種で拾い上げ、早期警告スコアの考え方で整理し、SBARでためらわず報告できるかどうかです。
このスライド・原稿セットが、皆さんの現場で「空振りを許容する文化」を言語化し、共有するための一助になれば幸いです。有料コーナーからダウンロードいただき、ぜひ次回の院内研修にお役立てください。
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