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フィードバックは、「タイミング」が9割

タイムリーであることが重要なのは、小さなフィードバックの話だ。

大きなフィードバック——特にリーダーシップや在り方に関わるもの——は、タイミングの見極めが、中身以上に重要になることがある。

優秀だから、マネージャーになっている

あるマネージャーが、ピープルマネジメントに苦しんでいた。

メンバーからの不満が、少しずつ上がってきていた。でも本人は、やる気十分だった。自分はうまくやれていると思っていたし、頑張っている自覚もあった。

すぐに指摘することもできた。でも、私はそうしなかった。

このマネージャーは、優秀だからマネージャーになった人だ。実績もある。自信もある。そういう人に、リーダーシップスタイルの話を正面からぶつけても、「そんなことはない」「でも自分は結果を出している」と跳ね返されるだけだ。最悪の場合、関係性そのものが壊れる。

こういう話は、腹をくくって向き合わないと、改善できない。だからこそ、タイミングを待った。

「どう思う?」——それだけを聞いた

1on1で、私はこう聞いた。

「最近、チームとの関係、どう思う?」

指摘はしなかった。答えも用意しなかった。ただ、それとなく聞いただけだ。

大事なのは、本人が「これ、ヤバいかもしれない。何とかしたい」と思い始めたタイミングだ。ただ「気になることがある」程度の温度では、まだ弱い。危機感として、自分の中で火がついた瞬間。そこで初めて、フィードバックは深く刺さる。

気づいた瞬間こそ、安心させる

本人の中に「ヤバい」という感覚が芽生えた瞬間、次にすべきことは、さらに追い込むことではない。

安心させることだ。

「心配しなくていい。それは、健全な悩みだよ」

そう伝えた。危機感を持てたこと自体が、成長の入り口に立てている証拠だ。ここで畳みかければ、せっかく開きかけた心が、また固く閉じてしまう。

自分で気づいたことと、ただ言われたことでは、受け取り方がまるで違う。自分の中の「ヤバい」という感覚を、安心して言葉にできたとき、人は「そうか、やっぱりそうだったのか」と腑に落ちる。そこから初めて、本当の変化が始まる。

これは、コーチングの本質とも重なる。答えを外から与えるのではなく、相手の中にある危機感を引き出し、それを安心して扱えるようにする。フィードバックも、同じだ。

伝えないことも、リーダーの判断だ

「気づいていないなら、早く言った方がいいのではないか」と思うかもしれない。

状況が良くないなら、すぐに手を打つべきだ——多くのリーダーは、そう考える。でも、待つこと自体が、立派なアクションだ。何もしていないわけではない。相手が受け取れる状態になるのを見極めながら、最適な瞬間を選んでいる。

まだ「ヤバい」と思えていない相手に、どんなに正確なフィードバックを届けても、意味がない。「そんなことはない」と跳ね返され、関係性を損なうリスクの方が大きい。

タイミングを待つことは、諦めではない。相手の中に「何とかしたい」という火が灯るのを待ち、そして灯った瞬間には追い込まず安心させる。それも、リーダーとしての大切な仕事だ。

あなたは、相手の「ヤバい」を待てていますか

正しいフィードバックを、正しいタイミングで届ける。

その両方が揃って初めて、フィードバックは相手に届く。中身がどれだけ的確でも、タイミングを誤れば、それは届かないどころか、関係を壊す。

あなたは最近、伝えたいことをすぐに口にしていないだろうか。それとも、相手の中に「何とかしたい」という火が灯るのを、待てているだろうか。


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