クチナシをあなたに
初夏、夜の庭で雨に濡れ、馨しい香りを漂わせ咲いていたのは、クチナシだった。
その花の存在に、はじめて気づいた瞬間だった。
闇の中で、白く上品な花が、ほんのりと浮き上がって見えた。
薄月夜 花くちなしの 匂ひけり
正岡子規
クチナシは "天使が地上に降ってきた花" ともいわれているらしい。
花びらは傷つきやすく、すぐに萎れてしまい短命なので切り花には向かないという。
透き通るような肌、濁りのない瞳をした
あなたは永遠に少年のようで
無垢で儚いクチナシが、あなたと重なる。
地上に降ってきた天使は
また、天へ還ったのだろうかーー

そぼ降る雨の中
クチナシが甘やかに薫る
匂いたつような
あなたの気配を感じて
ふと振り返る
優しく濡れた道
クチナシの花言葉
洗練
・
優雅
・
喜びを運ぶ
・
夢中
・
胸に秘めた愛
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