地球の仲間たち
はじめまして。森野灯です。
雨上がりの庭で、小さな命の動きを見ていた時に、この景色を書き留めたくなりました。
摩天楼の沈黙と憂鬱
霧に沈む上階
黒雲の空が泣いて
人まばらな街に
通り雨
鉄の龍が
駅の中へ潜り込み
色とりどりの傘のボールたちが
駅からコロコロ流れ出した
トリック、トリック
雨粒のつぶてが
花の碧い砦を叩く
踊る葉脈
重い花頭
雨が去って、虹
葉先を落ちる雫
太陽光がうねる
葉の上の水滴は
太陽を孕む水晶玉
根を炙る
熱の波動
ジリジリ
みみずが身をよじり
芋虫が悶える
年老いた葉は
茶色く縮れ
若い葉は
空へ伸びる
吹き抜ける風、一陣
無人のふらここが目覚める
揺れる枝葉
枝先を駆け上がり
雲を抜け
地球を見下ろす
草いきれ
蜂が飛び
蝶が舞う
土山を
ダンゴムシが登る
無数の脚を動かして
今日も歩く。
歩く。
歩く。
「ねえ、君」
「君たちはいつからこの星にいるの?」
小さな丸い背中が答えた
小さな声で
「ずうっと、ずうーーーっと、前からだよ」
「雨も、太陽も、風も、虫も、花も、星も。
みーんな
古い仲間さ」
「じゃあ、またねぇ。
こう見えて、忙しいんだ、僕。
あぁ、忙しい、忙しい……」
くるりと振り返り
ゆっくり
ゆっくり
歩き去る
ヨチヨチヨチヨチ
ヨチヨチヨチヨチ
土に残る
4億年前とよく似た足跡
・・・・・・・
*「ふらここ」とは、ブランコのことだそうです。
ご覧いただき、ありがとうございました。
