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【実は危険】教育熱心な親が陥りがちなマルトリートメントの正体

「子どものために」と思ってかけた言葉が、逆に子どもの心を傷つけてしまった——。

そんな経験はありませんか?

教育熱心な親ほど、知らず知らずのうちに「マルトリートメント(不適切な養育)」に陥りやすいと言われています。これは決して一部の特別な家庭の問題ではなく、誰にでも起こり得る身近なリスクです。



1.その一言が「心の傷」に

「どうしてこんな簡単な問題ができないの?」
「また忘れたの?」
「さっきも言ったよね?」

こんな言葉を、つい子どもに投げかけてしまった経験はありませんか。

それ自体が深刻な虐待ではなくても、繰り返されることで子どもの脳と心をじわじわと傷つける可能性があります。

このような関わりを「マルトリートメント(不適切な養育)」、略して「マルトリ」と呼びます。

マルトリとは、子どもの発達を妨げてしまう関わり方の総称です。虐待のような極端なものだけでなく、ため息、否定的なまなざし、兄弟や友達との比較など、日常の些細な関わりにも潜んでいます。

私は長年教育現場で、多くの保護者や子どもと接してきました。そこで痛感するのは、「子どもへの想いが強い親ほど、知らず知らずのうちにマルトリに陥りやすい」という事実です。

そして、親の期待に応えようてしてもできない子どもは、だんだん「心の傷」が広がっていくのです。


2.脳への悪影響

マルトリの影響は「心の傷」だけにとどまりません。最新の脳科学研究は、不適切な養育が子どもの脳の構造や働きに影響を及ぼすことを示しています。

友田明美氏の研究(福井大学)によれば、虐待や不適切な養育を受けた子どもでは、

  • 前頭前野(思考・自制心をつかさどる領域)の容積が小さくなる傾向

  • 海馬(情動と記憶を司る部位)の容積減少や機能低下がみられる傾向

といった変化が確認されています。

前頭前野は考える力や気持ちを抑える力を担う場所です。ここが弱ると衝動的になったり、イライラしやすくなったりします。また集中が続かず、計画的に物事を進めるのが難しくなる傾向があります。

また、海馬は記憶や学習に大切な場所で、感情とも深く結びついています。ここが傷つくと新しいことが覚えにくく、勉強が身につきにくくなります。またストレスに弱く、不安を感じやすくなる傾向があります。

つまり、親の「何気ない一言」が、子どもの将来の可能性を狭めてしまう危険性があるのです。


3.負の連鎖

マルトリは、子どもだけの問題ではありません。

育児ストレスが強いと、親の脳内でもストレスホルモンや神経伝達物質のバランスが乱れ、感情処理や感覚の捉え方に影響を与えることが知られています。

その結果、

  • 子どもの泣き声や要求を過剰にネガティブに感じる

  • イライラや自己否定感が高まり、対応がぎこちなくなる

  • それがさらにストレスを生み、悪循環に陥る

といったパターンが生まれることがあります。

さらに、親自身がかつて受けたマルトリ体験が無意識に再現され、次世代に受け継がれてしまう「負の連鎖」も報告されています。

親自身が子どもの頃に不適切な関わり(マルトリ)を受ける
→その影響で「自分の感情をコントロールする力」や「子どもへの関わり方」が難しくなる
→子育て中にストレスや不安を抱えやすくなり、無意識に同じような言葉や態度を子どもに繰り返してしまう
→その子どもも心や脳に影響を受け、次の世代へと同じパターンが伝わる


ただし、ここで重要なのは 脳には「可塑性(修復・変化する力)」がある ということ。

傷ついても修復は可能です。その第一歩は「気づくこと」、そして「一人で抱え込まず、支援を得ること」です。


4.マルトリを減らす3つの実践

マルトリを完全にゼロにすることは難しいかもしれません。でも、減らすことは必ずできます。

  1. 「完璧な親」を目指さない
    子育ては失敗の連続。大切なのは「またやってしまった」と責めるのではなく、「次はどうすればいい?」と考える習慣です。

  2. 「親の脳のケア」も意識する
    睡眠不足・孤独・ストレスはマルトリのリスクを高めます。

    • ひとりの時間を持つ

    • 信頼できる人に話す

    • 地域の支援サービスを利用する

  3. 「心の安全基地」になる
    子どもが失敗しても、「あなたは大丈夫」と無条件の愛を伝えること。
    この安心感が、脳と心の健やかな発達の土台になります。


☆今日からできる小さな一歩

声をかける前に深呼吸をひとつする
感情的に言葉をぶつけるのを防ぎ、落ち着いて伝えられるようになります。子どもも安心して話を受け止めやすくなります。

1日1回は、「大丈夫だよ」と笑顔で伝える
子どもに「愛されている」「受け入れられている」という安心感を与え、自己肯定感を育みます。失敗を恐れにくくなります。

週に1回、自分のためだけの休息時間をつくる
親のストレスを減らし、心に余裕が生まれます。その余裕が子どもへの優しい関わりにつながります。


おわりに

マルトリは、すべての親に起こりうる問題です。しかし、それに気づくことができれば、親子関係は変わっていけます。

子どもとの関わりは、未来の脳への投資です。「どうすれば、もっと良い関係を築けるだろう?」と問いかけるその一歩が、きっと子どもと親の両方の未来を照らす力となるのです。



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