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【心の声を聞く】子どもの予期不安は五感で治せる?驚きの新アプローチ

「明日の算数のテスト、もし100点が取れなかったらどうしよう…」
「体育の跳び箱、失敗したらみんなに笑われるかな…」

胸の奥で密かに広がるこの感情、実は「予期不安」という心理現象です。まだ起きていない未来の出来事に対して、過剰な不安や恐怖を感じる心の状態。それは、多くの子どもたちの心を縛りつけている、見えない鎖のようなものです。

文部科学省の2021年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、不登校の要因として「不安」を挙げる割合が増加傾向にあります。



1.予期不安が引き起こす「回避の罠」

予期不安は、単なる「心配」で終わることはありません。その最大の危険性は、不安から逃れるための「回避行動」という負の連鎖を生み出すことにあります。

たとえば、発表で間違えることへの不安を抱いた子がいたとします。この不安から逃れるため、その子は発表の機会を避けるようになります。先生に当てられないように下を向いたり、わざと発言しなくなったりするのです。

この回避行動は、一時的に不安を和らげますが、根本的な解決にはなりません。それどころか、発表の経験不足からさらに自信を失い、「どうせ自分には無理だ」という自己否定的な思考を強めてしまいます。

この悪循環は、心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感」の低下と深く関わっています。自己効力感とは、「自分ならできる」という自分自身を信じる力のこと。予期不安からくる回避行動は、成功体験の機会を奪い、この自己効力感を少しずつ蝕んでいくのです。


2.「感覚の再プログラミング」という新機軸

予期不安へのアプローチは、心理的な側面だけでなく、身体的な感覚に働きかけることで、意外な突破口が見つかります。

皆さんは、特定の場所や匂いが過去の感情を呼び覚ます「プルースト効果」という現象をご存知でしょうか?これは、記憶と感情を呼び起こす五感の力のことです。

たとえば、懐かしい場所の匂いを嗅ぐと、楽しかった記憶が鮮明によみがえるように、特定の感覚は記憶や感情と強く結びついています。この原理を、予期不安の克服に応用するのです。

たとえば、リラックス効果が科学的に証明されているラベンダーやカモミールの香りを、子どもが不安を感じやすい場所にさりげなく取り入れてみましょう。

これは、その場所と「安心」という新しい感情を結びつける、いわば「感覚の再プログラミング」です。不安を感じる保健室の前にアロマディフューザーを置いたり、テストの前にミントの香りを嗅がせたりすることで、子どもたちは無意識のうちに「この場所は安心できる」「この匂いは集中できる」という新しい条件付けを学ぶのです。

この方法は、従来の心理的アプローチに、感覚の力をプラスするアプローチです。特定の場所を「危険な場所」として認識している子どもたちのネガティブな関連付けを、好きな「香り」や安心できる「音」など、別の感覚刺激と組み合わせることで上書きします。

※その場所に香りを持って行くことが難しい場合には、「ハンカチなどに染み込ませてそれを嗅ぐ」でもいいですよ。


3.今すぐできる4つの支援

予期不安を抱える子どもたちに、私たちが今日からできる具体的な支援をご紹介します。

①感情の「見える化」

「何が不安なの?」と尋ねても、子どもはうまく言葉にできないことがほとんどです。そんな時は、抽象的な感情を目に見える形にすることを促してみましょう。怖い感情を鬼の絵に描いてみる、不安の大きさを「10段階でいくつ?」と数字にしてみる。このプロセスを通じて、子どもは漠然とした不安の正体を客観的に捉え、感情をコントロールする第一歩を踏み出すことができます。

②「身体感覚」への意識付け

予期不安が強まると、心臓がドキドキしたり、呼吸が浅くなったりと、身体は正直に反応します。このサインを逆手に取り、意識を呼吸や身体の感覚に向けさせましょう。たとえば、「3秒かけて鼻から吸い、6秒かけて口からゆっくり吐く」という簡単な呼吸法を一緒に行うだけで、副交感神経が優位になり、心身が落ち着いていきます。ガムを噛むことも効果的です。咀嚼のリズミカルな運動が、脳の扁桃体(不安や恐怖を司る部位)の活動を抑制し、リラックス効果をもたらすことが知られています。

③小さな「成功体験」の積み重ね

「失敗するかも」という予期不安を乗り越えるには、成功体験を積み重ねることが不可欠です。しかし、いきなり大きな目標を立てる必要はありません。目標を細分化し、小さな一歩から始めることが大切です。たとえば、「クラス全員の前で発表する」のが不安なら、「まずは先生にだけ、話してみよう」と提案する。この小さな成功体験の積み重ねこそが、子どもたちの自己効力感を少しずつ回復させ、予期不安の克服へとつながる確かな道筋なのです。

④「経験学習」による不安の軽減

予期不安を減らすには、実際に体験しながら「できる自分」を確かめることが大切です。たとえば、本番の発表に向けて小さなロールプレイを繰り返すことで、不安が少しずつ和らぎ、成功体験が積み重なります。また、友達や先生が上手に発表している姿を見ることも効果的です。「あの子にできたなら、自分にもできるかも」という気持ちが芽生え、挑戦へのハードルが下がります。自分の体験と他者の体験、両方の学びを組み合わせることで、不安を小さくし、自己効力感を高めることができるのです。


おわりに

小学生の予期不安は、決して甘えや気のせいではありません。彼らが抱える不安に寄り添い、適切にアプローチすることは、健全な心の成長を促す上で非常に重要です。

この記事でご紹介した具体的な方法が、一人でも多くの子どもたちの未来の可能性を広げる一助となれば幸いです。



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