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「食べる」「話す」に違和感はありませんか?お口の衰えサイン「口腔機能低下症」とは

「最近、食事中にむせることが増えた」 「硬いものが噛みにくくなり、柔らかいものばかり選んでしまう」 「口の中が乾いて、おしゃべりがしづらい」

ご自身やご家族に、このような変化はありませんか? 「年齢のせいだから仕方がない」と見過ごしてしまいがちですが、実はこれらは「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」という、お口の機能が衰え始めているサインかもしれません。

今回は、近年歯科業界でも非常に注目されている「口腔機能低下症」について、その原因やセルフチェック方法、当院での対策などを分かりやすく解説します。

1. 口腔機能低下症とは?

口腔機能低下症とは、簡単に言うと「お口の筋肉や神経の働きが弱まり、噛む、飲み込む、話すなどの機能が低下した状態」のことです。

虫歯や歯周病のように「歯そのものが悪くなる病気」とは異なり、お口全体の「機能(動き)」がスムーズにいかなくなる病気です。主に加齢が原因で起こりますが、実は65歳以上のシニア世代だけでなく、お口を動かす機会が減った現代人にとっても身近な問題となっています。

「オーラルフレイル」との違いは?

よく似た言葉に「オーラルフレイル(お口の虚弱)」があります。

  • オーラルフレイル:お口の機能が「ちょっと衰えてきたかな?」という、前兆の段階(概念)

  • 口腔機能低下症:検査を行い、実際に機能低下が認められた「病気」の段階

つまり、口腔機能低下症はそのまま放置すると全身の健康悪化につながるため、治療やリハビリが必要な状態を指します。

2. 放置するとどうなる?全身への影響

「少しむせるくらい、大したことない」と思われがちですが、お口の衰えは全身の健康ドミノを倒すきっかけになります。

  • 低栄養と筋力低下:硬いものが食べられなくなると、お肉や野菜を避け、柔らかい炭水化物(うどんやおかゆなど)に偏りがちになります。その結果、タンパク質やビタミンが不足し、全身の筋力が低下する「フレイル(心身の虚弱)」につながります。

  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスク:飲み込む力が弱まると、食べ物や唾液が誤って気管に入りやすくなります。これがお年寄りの命に関わる「誤嚥性肺炎」を引き起こす大きな原因となります。

  • 閉じこもりや認知症のリスク:おしゃべりがしにくくなったり、外食を楽しめなくなったりすると、人と会うのが億劫になり、社会的に孤立してしまうことがあります。これが認知機能の低下を招くことも分かっています。

3. 【セルフチェック】お口の危険度を調べてみよう!

以下の項目に、当てはまるものはありますか?

  • 半年前に比べて、硬いものが食べにくくなった

  • お茶や汁物で、ときどき「むせる」ことがある

  • お口の乾き(ドライマウス)が気になる、水をよく飲む

  • 以前に比べて、滑舌が悪くなった、聞き返されることが増えた

  • 薬を飲み込みにくく感じることがある

  • 歯が抜けたまま、または合わない入れ歯をそのまま使っている

※3つ以上当てはまる場合、口腔機能低下症の可能性があります。 少しでも気になる点があれば、一度当院へご相談ください。

4. 歯科医院で行う「口腔機能の検査」

当院では、お口の機能がどのくらい維持されているかを専用の器具を使って数値化する検査を行っています(※条件を満たせば保険適用となります)。

具体的には、以下の7つの項目をチェックします。

  1. 口腔衛生状態:お口の中が清潔に保たれているか

  2. 口腔乾燥:お口の中が乾いていないか

  3. 咬合力(こうごうりょく):しっかり噛みしめる力があるか

  4. 舌口唇運動機能:舌やくちびるが素早く動かせるか

  5. 舌圧(ぜつあつ):食べ物を送り込む、舌の押し返す力があるか

  6. 咀嚼能力(そしゃくのうりょく):食べ物をどれくらい細かく噛み砕けるか

  7. 嚥下機能(えんげきのう):スムーズに飲み込めているか

これらの中から3つ以上基準を下回った場合に「口腔機能低下症」と診断されます。数値で今の状態がハッキリわかるため、「どこを鍛えればいいのか」が明確になります。

5. 今日からできる!お口のトレーニング

口腔機能低下症は、適切なトレーニングや治療を行うことで、機能を回復させたり、維持したりすることが十分に可能です。

① パタカラ体操(発音のトレーニング)

「パ」「タ」「カ」「ラ」の音を、それぞれ大きな声で、できるだけ早く5秒間ずつ発音します。

  • 「パ」:くちびるを閉じる力を鍛え、食べこぼしを防ぐ

  • 「タ」:舌の先を鍛え、食べ物を押し込む力をつける

  • 「カ」:舌の奥を鍛え、誤嚥を防ぐ(ゴックンする力)

  • 「ラ」:舌を丸める力を鍛え、食べ物をまとめる

② 唾液腺マッサージ

耳の下(耳下腺)、顎の角の内側(顎下腺)、顎の先の内側(舌下腺)を指の腹で優しくマッサージします。唾液の分泌が促され、お口の乾燥や話しにくさが改善します。

③ 定期検診と入れ歯の調整

そもそも、しっかり噛める歯の土台がなければ機能は発揮できません。虫歯や歯周病の治療はもちろん、合わない入れ歯の調整や、抜けた部分にインプラントやブリッジを入れることが最優先の対策になります。

まとめ:いつまでも美味しい食事とおしゃべりを楽しむために

お口の衰えは、ゆっくりと自覚症状がないまま進んでいきます。しかし、早く気づいてケアを始めれば、健康な状態に引き返すことができる病気です。

「年のせい」と諦めず、私たちと一緒に「噛めるお口」「話せるお口」を守っていきましょう。 当院では、口腔機能検査や、お一人おひとりに合わせたお口のリハビリ指導を行っています。「最近、ちょっと気になるな」と思ったら、いつでもお気軽にお声がけくださいね。

皆様のご来院を、スタッフ一同心よりお待ちしております。