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なぜ、まじめな人ほど「調べるだけ」で1時間が終わるのか

夜、スマホで調べものを始める。

定年後のお金のこと。
体のこと。
これからの働き方のこと。

「ちゃんと調べておかないと」と思って読み始めて、
気づくと、1時間が過ぎている。

そして、何も始まっていない。

意志が弱いわけじゃない。
サボっているわけでもない。
むしろ、まじめな人ほどこうなるんだと思う。


「調べておかないと」で始まる夜

私も、同じでした。

夕食後、くつろぐときにテレビを観る。
今日は面白いテレビ番組がない。
もう少ししてから風呂に入ろう。

30分くらい時間ができた。
何かを始めるには、ちょうどいい長さだ。

その30分で、私はスマホを開いた。
時間の使い方について、調べるために。

空いた時間の使い方を調べているうちに、
空いた30分のほうが、先に終わった。

調べることの厄介なところは、
悪いことに見えない点にある。

ゲームなら、罪悪感が出る。
動画なら、途中でわれに返る瞬間がある。

でも「調べもの」は、準備に見える。
前に進んでいる感じがする。

だから、止まらない。
ブックマークした記事だけが、たまっていく。

しかも、50代の調べものは切実だ。
定年後の生活費。健康。親のこと。
「知らないとまずい」ことばかりだから、
やめる理由が見つからない。

調べること自体は、間違っていない。
知らずに決めて、あとで泣くのは避けたい年齢だ。

けど、問題は、そこじゃない。

調べれば調べるほど、
今日の持ち時間だけが減っていく。


集めるほど、動けなくなる仕組み

なぜ、まじめな人ほど止まらなくなるのか。

不安があるとき、人は情報を集める。
そして、集めているあいだだけ、不安が少し静かになる。

つまり、調べる時間は「不安の置き場所」になっている。

50代向けの「定年準備」の記事は、
探せばいくらでも出てくる。

読んでいるあいだは、備えている気持ちになれる。
でも、読み終わって何かが動いたかというと、
私の場合、ほとんど動いていなかった。

準備している「つもり」の時間が、
いちばん静かに積み上がっていく。

だとすると、「情報が足りたら終わる」ということは起きない。
不安が湧くかぎり、「もう少し調べたい」も湧いてくるからだ。

もうひとつ、ある。

調べものには、「満腹」がないことだ。

食事なら、腹が満ちれば箸を置ける。
でも「もう十分知った」という感覚は、なかなか来ない。
知れば知るほど、知らないことのほうが増えていくからだ。

満腹が来ないから、
やめどきも、向こうからは来ない。

調べても調べても動き出せないのは、
まじめな人ほどはまる仕組みの話だ。
性格でも、意志でもない。

だから、自分を責めても、ここは変わらない。
変えられるのは、調べる時間の「終わり方」のほうだ。


折り返し点は、量じゃなく行動で決める

ここが、いちばん伝えたいところです。

「1日30分まで」と、時間で区切る方法もある。
ただ、私の場合、時間の線は「もう少しだけ」に弱かった。

時間が来ても、開いている記事は読み切りたい。
そして次の記事が、また面白そうに見える。

いま置いているのは、行動の線だ。

ひとつ試したら、今日は閉じる。

調べることを減らすんじゃない。
調べる時間に、折り返し点を置く。

行きだけの道は、どこまでも歩けてしまう。
折り返す地点が決まっている道は、ちゃんと帰ってこられる。

37年、受験生を見てきた。
勉強法を調べ続ける受講生より、
決めた一冊を最後まで回す受講生のほうが、結局伸びていく。

集めた情報の量は、成績にならない。
使った情報だけが、成績になる。

本も、同じだった。

線を引いて満足して、
そのまま本棚に戻した本が、何冊もある。

いま試しているのは、
読み終える前でもいいから、
書いてあることをひとつだけ生活で試すこと。

試した1行だけが、
自分の中に残っていく。

発信を始めてから、私の調べ方も変わった。
集めるためじゃなく、使うために調べるようになった。

「ここまで調べたら、ひとつ書く」。
そう決めてから、調べたことが、
下書き1本ぶんの言葉になって残るようになった。

情報との関係を変えることは、
時間の主導権を取り戻すことでもある。


おわりに

ここまで読んでくださった方へ。

今夜、また何かを調べ始めたら、
終わる前に、ひとつだけ試してみてほしい。

保存したままのレシピを、ひとつ作ってみる。
気になっていた場所の、行き方だけ決めてみる。
調べていた手続きの、最初の書類だけ出してみる。

どんなに小さくてもいい。
ひとつ試したら、今日は閉じる。

調べた時間は、試した瞬間に、
初めて自分の時間になる。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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