THE BATMAN-ザ・バットマン- 原点回帰+今の時代感
今の時代のバットマンとは
今までに何度もバットマンは作られているが、今回はTHE BATMAN。真打登場といったところだろうか。
今の時代、善と悪という単純な構図のエンターティメントは作りづらくなっている。善が本当に善なのか疑わしいし、悪の背景にあるのは分断や貧困といった社会問題であるのも自明である。もう、能天気なヒーローものなど作れないのが時代の空気なのだ。バットマンシリーズでその道筋を明確にしたのは紛れもなく「ジョーカー」だった。

ヒーロー映画の中でもバットマンシリーズはダークな印象があるが、今回は過去のどのバットマンより暗い印象。ほとんどのシーンが夜や雨である物理的な要素もあるが、なんといっても今回からブルース・ウェイン役に抜擢されたロバート・パティンソンが暗い。というか、半端なく影がある。

そして、この新シリーズの最大の魅力がこのパティンソンのウェインといっても過言ではない。今までのブルース・ウェインとはイメージが異なり、一言で言うと育ちのいい影のあるお坊っちゃま。バットマンに変身しても超人ではなく生身の人間が感じられる。
キャットウーマンが魅力的で今後に期待
物語は権力者の汚職とその裏で暗躍するやくざに、汚職の権力者を殺していく殺人鬼というまあよくあるサスペンス物の構図なので物足りなさを感じずにはいられないが、今回からの主題は人間ドラマ。ゾーイ・クラヴィッツ演じる複雑な生い立ちのキャットウーマンは魅力的だし、バットマンとキャットウーマンのからみもこれからの期待が持てる。

根底に流れるテーマはいかなる人も殺してはいけない、復讐は悪のループを断ち切れないという事。自分の過去と重ね合わせる、殺された市長の息子とのエピソードが今の時代を反映した新しいヒーロー像を打ち出していて感動的だ。
