言い訳飛び交う旅行がいちばん楽しい。《サフィール踊り子個室の旅》
三十路に突入して、より日常に創意工夫を求めるようになった。
労働も全てがつまらないわけではない。
辛い一面もあるが、楽しい一面もある。
ただし、基本労働には秘匿性が求められる。
せっかく創意工夫して世に出たものでも
自分を主語にして発信することは流石に憚られる。
だからせめて休日は、創意工夫を凝らした遊びに全力で取り組む。
そしてそれを面白く発信できたならば、
自分の創意工夫欲は満たされていく気がする。そういう人生にしていきたい。
サフィール踊り子 6人個室 エクストリーム遠足 (2026.4.4)

ぶっちゃけ、桜はもう想像を超えた感動を自分に与えてくれることはないだろうなと思っている。
お花見というのは桜をみることが目的というより、
「今年も咲いてよかったね、めでたいし集まろっか」という、
誰かと会って楽しみたい欲を満たすのにちょうどいい行事だと思う。
綺麗だな、というより
桜を見るとなんだか安心する、というのが最近の桜に対して抱く感情である。
「桜も咲く季節だし、誰かとどこかに出かけたいな」
「せっかくなら貴重な体験を友達と共有したいな」
という二軸の欲を満たすため、
友人を誘って特急列車「サフィール踊り子」の個室を押さえ、車内で豪遊する
という計画を立てた。
みどりの窓口に救われる。
サフィール踊り子の6人個室は、一台に二部屋しかなく
一ヶ月前の予約開始日早朝にすぐ購入しないと、絶対に入手できないプレミアチケット。
休みを調整しやすい自分と後輩の2人で、別々のチケット売り場に並び
争奪戦に参加。
東京駅で並んでいた自分は、特急券販売機に並び
購入開始5分前8:55から、チケット購入方法がわからない客を演じてチケット売り場に居座った。
9:00になった瞬間、購入ボタンを押す。しかし、売り切れ。
一瞬だとは思っていたが、まさかそんなに早いとは。
軽く諦めていたところに、後輩からメッセージが届く。
「取れました!」
みどりの窓口で、シゴデキ風お姉さんが一瞬でおさえてくれたようだ。
我々の勝利だ。楽しみな予定ができたことがまず嬉しい。
大人数旅行、弁当選びにちょっと気を使う。
発車45分前、東京駅集合。
サフィール踊り子の車内販売メニューは異様に高く、ミスドの飲茶サイズのご飯が2,000円を超えてくる。
ということで、東京駅で各々駅弁を購入し
乗車10分前にホーム集合することになった。
東京駅は弁当の選択肢が多く、かなり迷った。
朝ごはんを食べてなかったこともあり、本当はオーベルジーヌのカレー弁当にしたかったのだが
踊り子号にカレーの臭いを撒き散らすわけには行かない。伊豆の踊り子が、インドの踊り子になっちゃう。
散々悩んだ挙句、天むす弁当を購入。
後輩から日本酒ミニボトルを3本購入したとの報告が入った。
もう楽しい。
パブリックビューイング宴会スタート

6人個室は思ったよりも広く、ソファーも革貼でふかふか。
窓がとても大きく、ホームから中の様子が覗き込める仕様。
出発前にはキャビンアテンダントさんが来てくれて、車両の説明をしてくれた。
ホテルみたいに、扉に印をかけておけば、駆けつけてくれるらしい。
皆で買ってきたものをテーブルに並べる。
お弁当、お菓子、そしてお酒。
これぞ大人の遠足、エクストリーム遠足。
出発とともに乾杯し、伊豆高原に向けて出発。
主要駅のホームからパブリックビューイングされながら、弁当・お酒をたらふく楽しんだ。
天むすが意外と多かった。日本酒の勢いでお菓子もたくさん食べてしまった。
伊豆高原に着いたら、もう目的は果たしちゃってんだよね

伊豆高原着。
残念ながらこの日の天気は小雨。
晴れていたら見晴らしのいいエリアまでバスで向かったのかもしれないが
雨なので景色は期待できない。
桜並木も満開だったが、曇り空と桜の相性ってあまりよくない。
とりあえず海鮮でしょ。
ということで近場のレストランに向かった。
皆が海鮮丼を頼む中、天むすでお腹いっぱいだった自分は
タコとイカのお刺身を注文。
せっかくの旅行なのに、ここでセーブしてしまった自分を
「ちょっと面白くなかったな」と反省。
ただ海鮮丼選択メンバーも、それはそれで満腹になったそうで
しばらくレストランから動けなかった。
というより、もう特にやることがない。
「列車がメインだから、伊豆高原に何も求めてはいないんだよね」と各々言い訳し、
ダラダラする。
でもこういう休日が、結構求めていたものだったりした。
みんなで言い訳しあうのって、すごく楽しい。
さすがに軽く運動してからお風呂に入ろうとなり、
徒歩20分ほどかけて、伊豆高原の海岸付近まで向かった。
途中で野生のリスに遭遇したり、ちょうどいい運動だった。
海鮮レストラン横の銭湯に入り、ある程度ダラダラし
夕方には東京に帰ることになった。
趣味に苦悩しなくてもいいじゃん
帰りは特急は使わず、グリーン車でゆっくり帰京することになった。
ボックス席と、2人席に分かれ、自分は2人席側。
後輩の女の子と、2時間半ずっと喋っていた。
その子とはよく遊ぶ仲だが、じっくり話したことはあまりなかった。
「私は趣味が少なくて、でも先輩には趣味がちゃんとあってすごいと思います」
「すごい」と言ってくれることに驚く。
自分は声を使ったいろんなことに挑戦しているけど、
中途半端なところがあったり、結果がついてこないことについて最近すごく悩んでいた。
でも実は、楽しそうに見えているらしい。
結果が出ないことについては引き続き苦悩しているが、
取り組んでいる時は確かに楽しんでいる。
別に結果が出ないことを、創意工夫で乗り越えようとすることを
楽しんでみてもいいんじゃないか?
気を許せる友人たちとの旅行で、
やりたい放題やって硬くなっていた気持ちが緩やかになったし
もっとゆるく楽しんで生きてみようとも思った。
【いつかラジオブースで#45】

