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多職歴の50代会社員が語る「働きすぎない」健康術【前編】

はじめに


ワークライフバランス。
最近の私はすっかりライフの方に傾きましたが、それでも未だに大きな関心事です。
50代後半を迎えた一人の会社員として、これらの言葉をメディアで見聞きするたびに、改めてワークライフバランスと自分自身の健康について深く考えさせられます。

これまでの人生を振り返ると、私のキャリアは実に変遷に富んだものでした。
メーカーの生産管理から始まり、写真店のオペレーター、保険営業、建設会社の公式サイト運営、保育士として現場に立つなど、多岐にわたる職種と業界を経験してきました。
(この仕事間のシナジーのなさに自分でも呆れます(^_^;)が、それはまた別の話)

その激動の職業人生の中で、私が一貫して自問自答し、追い求めてきたテーマが「働きすぎない」。
その上で健康術をいかにして身につけ実践するか、という問いです。

この問いへの答えは、決して一朝一夕に見つかるものではありませんでした。
目の前の仕事に没頭するあまり、時には限界を超えて無理を重ね、心身をすり減らす日々もありました。
しかし、50代後半ともなると、若い頃とは明らかに違う「身体の声」が聞こえてくるようになります。

この全3回の連載では、私の多職歴から得た教訓、国や企業の制度を活用する方法、そして私を支える趣味の力についてお話しします。
まずこの【前編】では、過去の過酷な労働環境での失敗談と、そこから学んだ「心身のSOSサイン」についてじっくりとお話ししたいと思います。



1. メーカーの生産管理時代:慢性的な過重労働がもたらした「最初の強制終了」


若い頃は「体力と気力さえあれば、どんな修羅場も何とかなる」と盲信していましたが、今振り返れば、あの頃から身体は無数のSOSを発信していたのだと痛感します。

最初に大きな壁にぶつかったのは、新卒で入社したメーカーでの生産管理という仕事でした。
生産日程の緻密な組み立てから予算管理、現場の突発的なトラブル処理まで業務は多岐にわたり、常に時間に追われる日々でした。
慢性的な残業や休日出勤は当たり前。
「工場のラインが止まれば全責任が自分にのしかかる」というプレッシャー(本当はそんなことないのですが。上司からはそういう圧力がありました)は相当なものでした。

当時は若さゆえに「これぐらいのハードワークは当然だ」と自分に言い聞かせ、慢性的な肩こり、しつこい頭痛、集中力の低下、寝ても取れない倦怠感といった初期のサインを完全に軽視していました。
「週末に寝れば治る」と無理を重ねた結果、ある日の朝、突然身体が鉛のように重くなり、布団から起き上がれなくなってしまったのです。

幸い数日の休息で回復しましたが、今思えばあれは脳と身体が限界を迎えた「過重労働による最終警告」でした。
50代になった今の私がもし同じ状況に置かれれば、確実に大病を患っていたでしょう。



2. 保険営業時代:数字の重圧が引き起こした「心の酸欠状態」


その後写真関係勤務を経て、心機一転して保険営業の世界に飛び込んだ時には、また性質の異なる「精神的な重圧」を経験しました。
ここでは、毎月の目標達成へのプレッシャー、多様な顧客との人間関係、そして自動車事故などの緊急対応が日常茶飯事として押し寄せてきました。

損保大学資格などの資格を取得し、専門知識を深めてお客様の役に立つこと自体にはやりがいを感じていました。
しかし、常に追いかけてくる数字や、断られることへの恐怖が、目に見えないストレスとなって心に蓄積していきました。

やがて夜中に何度も目が覚める不眠症状に悩まされるようになり、些細なことでイライラしたり、食欲が減退したり、朝ベッドの中で深い無気力感に襲われたりすることもありました。
この精神的なサインもまた、心が限界を告げる危険信号、いわば「心の酸欠状態」だったのです。


3. 50代の今実践する、自分の「健康の限界点」を客観視するセルフマネジメント


これらの手痛い失敗経験から私が学んだのは、自分の「健康の限界点」をいかに早く、客観的に見つけるかというスキルです。
50代の今、私は毎朝目覚めた瞬間に、以下の「自分の状態」を観察することを日課にしています。

  • 朝起きた瞬間の気分の度合い(晴れやかか、どんよりしているか)

  • 昨晩の睡眠の質(ぐっすり眠れた感覚があるか)

  • 食事をおいしく食べられるか(食欲の有無)

  • 身体にいつもと違う妙な痛みや違和感はないか

「いつもの元気な自分」と「なんかちょっと違う自分」の差分を客観的に観察するのです。

私は毎晩の睡眠時間や毎朝の運動などの継続している習慣を、Spreadsheetで簡単なログをつけています。
主観だけに頼らずデータとして自分を客観視することは、無理を未然に防ぐ上で極めて有効な手段です。

そして、少しでも「なんかおかしいな」と感じたら、絶対に無理をしない勇気を持つこと。
すぐに休息を取る、身体をほぐす、あらかじめ用意しておいたストレス対策法を試すなど、自分なりの「初期消火の対処法」を用意しておくことが大切です。

これは決して弱さではなく、長く健康的に働き続けるための賢い生存戦略なのだと、私は心からそう思います。


次回の【中編】では、こうした個人の意識改革を踏まえた上で、会社が用意している「制度」を自分を守る防具としてどう使い倒すか、という実践的なお話をします。

(中編へ続く)


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