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【習慣化の技術6−1】ポモドーロと20秒ルール【時間の制御】

はじめに:時間管理と「作業着手」の心理学(理論編)


これまで、行動を連鎖させる技術や、完璧主義を捨ててしなやかに継続するマインドセットについてお話ししてきました。

習慣化の精神的な土台が整ってきたところで、今回からは「時間」と「着手」のコントロールという、より実践的で物理的なテクニックに入っていきます。

どれほど立派な目標やルールを作っても、私たちは常に「始めるまでが一番面倒くさい」という巨大な壁に直面します。
今回は、その心理的抵抗を極限まで削ぎ落とし、いかにして自分を「作業のレール」に乗せるかという理論と実践をご紹介します。




パーキンソンの法則と時間の膨張


「仕事の量は、完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する」

これはイギリスの学者パーキンソンが提唱した「パーキンソンの法則」と呼ばれる有名な法則です。

例えば、1時間で終わるはずの事務作業やnoteの執筆であっても、「今日は1日休みだから、夜までに終わらせればいいや」と思った瞬間、その作業は本当に夜までかかってしまいます。

途中でネットサーフィンをしたり、マンガを読んだりして、無意識のうちに時間を引き伸ばしてしまうのです。

時間がたっぷりあると思うほど、人間は着手を先送りにしてしまいます。
だからこそ、私たちの行動には意図的な「時間的制限」を設ける必要があるのです。


作業興奮と「2分ルール」の残酷な現実


時間を区切ったところで、そもそも作業を始める気力が湧かないという問題があります。
これに対して心理学が用意している答えは「作業興奮」というメカニズムです。

やる気というものは、作業を始める前には存在しません。
実際に手足を動かして作業を「始めた後」に初めて脳が刺激され、やる気が後から湧いてくるようにできています。
「やる気が出ないからやらない」のではなく「やらないからやる気が出ない」というのが科学的な正解です。

そのため、多くの習慣化のノウハウでは「まずは2分だけでいいからやりなさい」と説かれています。
しかし、怠惰な人間を自認する私にとって、この「2分だけやる」というのは時としてあまりに残酷な要求です。

本当に気が乗らない日は、その2分すらもやりたくない……

そんな時、私はさらにハードルを下げて「次にやる準備だけをする」という行動に切り替えます。
例えば、テキストを本棚から出して机の角に置いておくだけ。
それ以上は一切やりません。

実を言うと、その「机にテキストを出して置く」という準備すらやりたくないこともよくあります。
(どんだけ怠惰なのか……)

その時はどうするか。
「まあ、そういうこともあるよね」とさっさと諦めます。
ここで自分を責めても無意味なので、潔く撤退して「知らんぷり」を決め込みます。


【もはや常連】ポモドーロ・テクニックの脳科学


さて、無事に作業に着手できたとして、その集中力をどう維持するか。
ここで登場するのが、パーキンソンの法則に対抗するための時間管理術「ポモドーロ・テクニック」です。

毎度おなじみのこの手法は、タイマーを使って「25分の作業」と「5分の休憩」を1つのセットとして繰り返すものです。
私の場合は、取り組む内容によって15分単位の短いブロックで回すこともあります。

人間の脳は、長時間の連続した集中に耐えられるようには設計されていません。
あえて「もう少しやりたい」と思う25分や15分という時間で強制的に作業を中断させることで、脳に心地よい渇望感を残します。
これが次のセットへの強力なモチベーションとなり、結果として1日トータルでの集中力を最大化してくれるのです。


20秒ルールの魔法と私の極端な環境設定


作業興奮を起こすための「着手」を極限まで容易にする。
そのための具体的な物理的アプローチが「20秒ルール」です。

これは、やりたい習慣に取りかかるための手間を、通常よりも20秒だけ短縮できるように工夫するというルールです。
人間は、取りかかるまでの工程が少しでも面倒だと感じると、すぐに別の安易な快楽に逃げてしまいます。

この20秒を削るため、私の自室の環境設定は少々極端なことになっています。
具体的な例をご紹介しましょう。

まず、趣味のギターですが、ケースにはしまわず、ラックに立てかけてデスクのすぐ右側に並べてあります。
(最近ニューギターを入手したので、思い切って5本立てかけられるラックを導入しました。そのうちレビューしたい)

さらに、電子譜面として使っているiPadは、常にデスクの上に出しっぱなしです。
それに連動して譜面をめくるためのフット式ページターナーも、足元に常に出しっぱなしにしています。
正直に言って、足元にあると普段とても邪魔なのですが、出す手間を省くためには我慢です。

毎朝の習慣である筋トレ用のインクラインベンチとダンベルも同様です。
部屋の隅に出しっぱなしにしています。

これも日常の生活動線においては非常に邪魔なのですが、「どこかから出してセッティングする」という手間が発生した瞬間に私の筋トレ習慣が死ぬことは確実なので、あえてそのままにしています。

デジタル環境においても20秒ルールは徹底しています。
重要なインプット源である電子書籍ビューアーアプリは、スマホのデスクトップの一番押しやすい場所に配置してあります。

また、仕事や執筆の拠点となるPCは、起動すると同時にブラウザのChrome、知識管理ツールのObsidian、そして作業用BGMのためのApple Musicが自動で立ち上がるように設定しています。
PCの電源を入れるだけで、すぐに執筆の世界に没入できる状態が完成しているのです。

「意志の力」を信じず、「環境の力」にすべてを委ねる。
これが、習慣を継続するための最も賢明な生存戦略です。



後編では、ポモドーロ・テクニックをさらに自分流にアレンジした独自の手法についてお話しします。

 

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