【習慣化の技術7−2】結果ではなく「行動」を愛する。記録という最強のエンターテインメント(実践編)
はじめに
前編では、目標という遠くの遅延報酬に頼る危うさと、行動そのものを今すぐの報酬に変える脳のメカニズムについて解説しました。
後編となる今回は、私が実践している具体的なアプローチとして、「記録」を自分にとって最高のエンターテインメントに仕立て上げる技術についてお話しします。
意志力に頼らずに物事を続けるための最後のピースは、日々の自分の動きをデータとして面白がることです。
500日連続投稿の景色
私がnoteでの発信を始めてから、気がつけば500日を超える連続投稿という景色を眺めることになりました。
ちなみにこの投稿で536日目です\(^o^)/
これほど長い期間にわたって毎日文章を書き続けることができた最大の原動力は、他でもない「積み上がっていく数字」そのものでした。
カレンダーに並ぶ連続達成のマークや、Obsidianの中に蓄積されていく記事ファイルの数が増えていくこと自体が、何物にも代えがたい快感を生み出してくれます。
最初は単なる義務感や練習のつもりで始めたとしても、記録が一定の量を超えたあたりから、それは自分だけのデジタル資産に化けていきます。
人間には、一度作り上げた連続記録を自分の手で途切れさせたくないという、強力な心理的バイアスが備わっています。
この保有効果や損失回避の性質を逆手に取ることで、記録を重ねること自体が次の行動を起こすための強力なエネルギー源になります。
500日という数字は、外から見れば大変な努力の結晶のように見えるかもしれませんが、私にとってはただ数字が積み上がるゲームを楽しんできた結果に過ぎません。
結果を追い求めるのではなく、カウントを増やすことそのものを楽しむマインドが、長期的な継続の土台を支えてくれます。
トラッキングの工夫と見返さない死蔵メモの山
日々の行動を楽しくトラッキングするためには、思考や気づきをその場で即座に固定するシステムが不可欠になります。
私はこれまでに数多くの方法を試してきましたが、紙の手帳や付箋といった手書きのメモはほぼ100パーセントの確率でどこかへ無くしてしまうことが分かりました。
そのため、現在の私のデジタル環境におけるメモの入り口は、Google Keepの一択という結論に落ち着いています。
Google Keepは、スマートフォンでもPCでも、アプリをタップした瞬間に爆速で立ち上がり、何の手間もなく一瞬でクラウドに同期されます。
思いついた noteのネタや、読書の感想、あるいは明日やるべきことのリストなど、あらゆる情報がこの瞬発力のあるツールに吸い込まれていきます。
しかし、ここで私のシステム、というか私自身に致命的とも言える大きな弱点が存在しています。
それは、私自身が「過去に取ったメモを後からあまり見返さない」という、極めて怠惰な性質を持っていることです。
おかげで、私のデジタル環境には、Google Keepだけでなく、Google Spreadsheet、Dynalist、そしてメイン拠点であるObsidianに至るまで、大量の「二度と見返されないメモ」が地層のように積み上がっています。
一般的な情報整理術の教科書を読めば、メモは定期的に見返して整理し、知識のネットワークを構築すべきだと厳しく叱られることでしょう。
ですが、私はこの弱点に対しても、不完全主義の精神で「まあ、見返さなくても別にいいか」と知らんぷりを決め込んでいます。
なぜなら、私にとって「その瞬間に考えていることを文字にして吐き出す行為」そのものが、脳のドーパミンを出すための即時報酬になっているからです。
書くことで脳のメモリが解放され、その瞬間に満足感を得られているのであれば、そのメモが将来役に立つかどうかは二の次で構わないのです。
(もちろん、本当はすごく役に立てたい、もったいないという気持ちはかなりありますが……)
小さな変化を見逃さないプログレッシブ・オーバーロード
記録のもう一つの重要な役割は、自分では気づかないほどの微細な変化を、客観的なデータとして教えてくれる点にあります。
例えば、毎朝の筋トレにおいて、鏡の前に立って自分の肉体を眺めたとしても、昨日と今日での変化を実感することはほぼ不可能です。
(下手すると「なんか昨日より腹でてるんですけど?」などと悲しくなったり。涙)
肉体の変化やダイエットの効果を実感するためには数ヶ月単位の長い時間が必要であり、脳にとっては最悪の遅延報酬となります。
しかし、トレーニングの記録を1セットごとに細かく記録していれば、小さな成長はすぐにその場で実感することができます。
先週は10回しか上がらなかった20キロのダンベルが、今日は11回上がったという事実は、数値として明確に目の前に現れます。
この、昨日より1回多く、あるいは500g重くという「プログレッシブ・オーバーロード(漸進性過負荷)」の考え方は、習慣化において極めて重要な視点です。
これは文章の執筆や資格の学習においても全く同じことが言えます。
過去の自分と今の自分を比較し、データの上で確かに前進していることを確認した瞬間に、私たちの自己効力感は大きく満たされます。
大きな結果を待つのではなく、記録用紙の中にある「小さな前進」を見つけて喜ぶことこそが、脳を飽きさせずに走らせ続けるコツなのです。
結果への執着を手放すマインドセット
習慣化の旅における究極の境地とは、目的や結果に対する過度な執着を完全に手放し、今日の1ステップそのものを愛することにあります。
現代社会は常に費用対効果や効率性を求め、何のためにそれをするのかという目的ばかりを強調しがちです。
しかし、目的に縛られすぎた行動は、思い通りの結果が出なかったときに、私たちに強い挫折感とストレスをもたらします。
だからこそ、私は毎日の行動の成果に対して、あえて少し冷めた、しかし最高にポジティブな割り切りを持つようにするのです。
今日もこうして無事に1本のnote記事を執筆して公開することができましたが、正直に言ってこれでお金がジャンジャン儲かっているわけではありません。
それでも、自分の頭の中にある思想を形にして世界に放り出すことができたという、そのプロセス自体が私にとっては最高の遊びです。
毎朝の筋トレにしても、何ヶ月も続けている割には、お腹の周りに劇的なシックスパックが出現しているわけでもありません。
それでも、今日のメニューを淡々とこなし、ダンベルを1回だけ多く持ち上げられたという事実だけで、私の朝のミッションは100点満点です。
Nintendo SwitchのFitBoxing feat.初音ミクをプレイして、リザルト画面でミクさんに「今日はフックが良かったよ!お手本レベルだね!」と言われた時も同様です。
これによってお腹の肉が今すぐ消えてなくなるわけではありませんが、大好きなレジェンド曲のノリに合わせて体を動かした時間は、純粋に最高に楽しい一時なのです。
結果が出ているかどうかは関係なく、今日も自分の決めたシステムを起動し、1ミリでも行動を進めることができた。
そのプロセスそのものを報酬として味わえるようになったとき、習慣化の技術はあなたの人生を自動的に進化させる最強のOSとなります。
完璧を求めず、小さな記録を面白がり、イレギュラーには肩をすくめ、できなかった日は知らんぷりをしてまた明日から始める。
このしなやかで図太い継続の技術を、ぜひみなさんもご自身の生活の中に少しずつ組み込んでみてください。

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