マンガは私にとって最強最後のメンタルヘルスソリューションだった 前編
はじめに:仕事のストレスと「私」を襲った危機
若さゆえでしょうか。
昔はどんなにつらいことがあっても、「自分なら乗り越えられる」と特に根拠もなく信じていました。
これまでも仕事のストレスで多少落ち込むことはありましたが、最終的にはどうにかなると根拠のない自信を持っていたのです。
しかし、そんな私でも、メンタルがかなりどん底まで落ち込んだ時期がありました。
主な原因は、あまり好きではない仕事を、「子どもたちが巣立つまで頑張ろう」という一心で続けていたことです。
いいパパだなと自画自賛したい気分もありますが、今にして思えば無理をして心身をすり減らしていたということだったのでしょう。
不思議なことに、大きなストレスをもたらすトラブルは、仕事上あるいは生活上に限らず、なぜか複数同時にやってくるのです。
当時の私に、まるで私の耐久性を試すかのように同時並行的に次々と問題が降りかかってきました。
これにはさすがの私も耐えられず、心身ともに深い疲労を感じ、どうしていいかわからない状況に陥りました。
この時初めて、「自分は今、危機的な状況にある」と認識したのです。
効果が長続きしないストレス解消法たち
仕事からくる大きなストレスに直面した私は、何とかしてこの苦しい状況から逃れたいと、様々なストレス解消法を試しました。
それは、まるで自分に効く薬を探すかのような必死な日々でした。
退職や転職という選択肢も当然脳裏に何度も浮かびましたが、当時は現実的ではないという判断で却下しました。
ゲーム
まず試したのは、ゲームです。
私は元々ゲームが好きなので、熱中すれば何もかも忘れられるだろうと考えました。
確かにゲームの世界に没頭している間は、現実の嫌なことを忘れられました。
しかし、コントローラーを置いた瞬間に、現実は何も変わっていないことを突きつけられます。
爽快感は多少残るものの、根本的なストレスは解消されませんでした。
やがて、コントコンローラーを手に取ることすら苦痛になりました。
アルコール
次に手をつけたのが、お酒です。
もともと晩酌として家族との夕食時に軽く缶ビールを1本程度は嗜んでいましたが、それを自室に戻ってからも飲むようになってしまいました。
嫌なことを忘れるには、手っ取り早い方法だと思ったのです。
ところが、これが最悪でした。
確かに酔っている間は気分が紛れますが、やはり翌朝には何の問題も解決していないことに気づかされます。
二日酔いになるほどは飲みませんでしたが、あきらかに睡眠の質の悪さをもたらし、おつまみによる過剰なカロリーも蓄積していったはずです。
お酒は、私にとってストレス解消どころか、新たなストレスの元になってしまったのです。
愚痴を吐き出す
友人と会って仕事の不満を聞いてもらったり、SNSに匿名で書き込んだりしました。
これは、その瞬間のガス抜きにはなりました。「わかる、わかる」と共感してもらうと、気持ちが少し楽になります。
しかし、それも本当に一瞬だけでした。
愚痴は、心の傷口に絆創膏を貼るだけで、治癒には至らないことに気づきました。
口にしてしまったあとの嫌悪感も、悪い印象として残りました。
運動と趣味
歌うことも試しました。
ひとりカラオケボックスに挑戦したり、車の中で大きな声で歌ったりしました。
これは、体を使った発散でもあるので少し効果はあったと思います。
しかし、これも効果は一過性のもので、根本的な解決にはつながりませんでした。
また、以前は気分転換になっていたはずのギターの練習には、まったくやる気が起きませんでした。
なぜか手に取ることすらできなかったのです。
心に余裕がないと、前向きなこと、つまり新しいことを覚えたり集中して何かを成し遂げたりすること自体が負担になるのだと知りました。
公園を散歩することは、実体験からも大きな効果があることはわかっていました。
しかし、なぜかその一歩が踏み出せないのです。
もちろんその他のスポーツなども、まったくやる気がおきません。
その他の方法
他にも、物理的に気分を変えようと様々なことを試しました。
本屋でいつも読まないジャンルの本を立ち読みをしたり、いつもよりちょっといいランチを食べたり、焼肉屋に行って肉だけを思いっきり食べたてみたり。
これらの方法は、確かに気分転換にはなりました。しかし、その効果は長くは続きませんでした。
ランチや肉を食べ終えれば胸焼けしたまま午後の仕事が待っていますし、帰宅すればまたストレスの原因が頭をよぎります。
私を救った唯一の「命綱」
このように、様々なストレス解消法を試しては、その効果の限定さに落胆する日々が続きました。
心は疲れ切っているのに、何をしていいかわからない。
そんな中で、唯一、常に私を救ってくれたものがありました。
それがマンガです。
マンガを読んでいる間は、不思議なことに、仕事のことも、将来への不安も、頭の中から完全に消え去りました。
そしてその効果は読後もしばらく持続したのです。
これは、これまで試してきたどのストレス解消法とも違う感覚でした。
ゲームも現実を忘れさせてくれましたが、それはコントローラーを握っている間のことだけです。
やがて、そのゲームを起動することすら苦痛になりました。
しかし、マンガは違いました。
手に取るのさえ面倒だという気持ちなどまったく起きません。
ページをめくるたびに、登場人物の感情や物語の展開に引き込まれ、読み終えた後もその余韻が長く続きました。
ストレス解消の効果が、マンガが一番長続きするという実感がありました。
「とりあえずマンガを読んでると、なんとかなるな……。なぜかはわからないけど」
これが正直な感想です。
ということで、後編「マンガはなぜ最強のメンタルソリューションになったのか」に続きます。
