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多職歴の50代会社員が語る「働きすぎない」健康術【中編】

はじめに


前編では、私がこれまでのキャリアの中で経験した過酷な労働環境と、そこから学んだ「心身のSOSサイン」をキャッチする重要性についてお話ししました。
自分自身の状態を客観視できるようになることは、働きすぎを防ぐための大前提です。

しかし、個人の心がけだけで防ぎきれないのが、組織の仕組みや過度な業務量という壁です。
そこで重要になってくるのが、国や企業が用意している「労働者を守るための制度」を、いかに賢く活用していくかという視点です。

この【中編】では、私がかつて建設会社でバックオフィス業務に携わっていた際の実感をもとに、社内の制度を「自分を守る防具」として使い倒すための具体的なアプローチと、職場で勇気を持って「声を上げる」ことの真意について掘り下げていきたいと思います。




1. 制度は「お作法」ではなく「自分を守るツール」である


国や企業が「業務量管理」や「健康確保措置」といった制度を推進していることは、私たち労働者にとって非常に心強い潮流です。
しかし、どれほど立派な制度が作られても、私たちが実際に活用しなければただの「絵に描いた餅」に過ぎません。
これらをどう主体的に活用していくかが、現代の会社員には問われています。

私はかつて建設会社に身を置き、社長や役員のサポート業務として、会社の公式サイトの運営や、パンフレットなどの広報物制作に携わっていた時期がありました。
経営陣の近くで働き、企業の内側から情報を発信する側にいたからこそ気づいたことがあります。
それは、「企業が発信する公式アナウンスの中にこそ、働き方を改善するためのヒントが隠されている」という事実です。

会社の就業規則や社内ポータルを覗いてみてください。
そこには以下のような、健康確保措置に関する重要な情報が必ず明記されているはずです。

  • 定期健康診断の確実な受診義務と、その後のフォローアップ体制

  • 一定の時間外労働(残業)を超えた際に申請できる「産業医面談」の機会

  • ハラスメントやメンタルヘルスの悩みを匿名で受け付ける各種相談窓口

  • 有給休暇の計画的付与や、リフレッシュのための特別休暇制度


これらは、会社から与えられた単なるルールではありません。
労働者が心身の健康を維持するために、正々堂々と行使できる「権利」であり「強力なツール」なのです。
まずは、ご自身の勤務先がどのような制度を持っているのか、改めて能動的に調べてみることをお勧めします。


なお、会社の就業規則は必ず社員が自由に閲覧できるようにして置かなければなりません。

かつて私が務めた某社は鍵のかかったファイルボックスに入っていました(法令違反)。
よっぽど指摘しょうかと思いましたが、経営陣がとうてい聞き入れそうになかったのでやめました。
(だから辞めました。笑)



2. 声を上げることは「建設的な行動」である


制度を活用する上で最も重要であり、同時に最も心理的ハードルが高いのが、「声を上げる(アラートを出す)」勇気を持つことです。

日本のビジネス社会には、今なお「辛くても耐えるのが美徳」という同調圧力が根強く残っています。
しかし、心身に明らかな不調を感じているのにそれを隠して働き続けることは、自分自身を追い込むだけでなく、長期的に見れば会社にとっても「突然の休職」や「労働生産性の低下」という甚大な損失をもたらします。

特に「産業医面談」は、医師の守秘義務によって相談内容が本人の同意なく上司へ伝わることはなく、厳格に法律で守られています。
安心して自分の現状を吐露し、業務量の調整を専門家から会社へ勧告してもらえる貴重な機会です。
また、匿名性が担保された外部のカウンセリング窓口を設置する企業も増えています。

「もう無理かもしれない」と思った時、それを組織に伝えることは、決してあなたの「弱さ」ではありません。
あなた自身を守り、ひいては職場全体の労働環境を健全化していくための「建設的で勇敢な行動」なのです。


3. 保育の現場で痛感する、大人の健康がもたらす周囲への影響


私は現在、これまでの多職歴を経て、パート保育士として保育の現場に立っています。
この環境に身を置くことで、私は「大人が健康で生き生きと働くこと」の真の意味を、より深く痛感させられることになりました。

保育の現場において、子どもたちは大人の表情や空気感を驚くほど敏感に察知します。
大人が過度な業務で余裕をなくし、ピリピリしていると、それは一瞬で子どもたちの不安へと伝播してしまいます。
私たちが健康で笑顔を絶やさずにいられる環境を整えることは、目の前の仕事を全うするためだけでなく、子どもたちの安心できる環境を守るという、プロとしての「責任」そのものなのです。

これはあらゆる職場で言える真理ではないでしょうか。
もし今、あなたが職場で過度な負担を強いられ、心身のSOSを感じているのなら、一人で抱え込まずに、まずは信頼できる人や会社の制度を活用して声を上げてみてください。


最終回となる次回の【後編】では、こうした防衛策を超えて、日々の生活を軽やかにドライブさせていくための「攻めのセルフケア」としての趣味の力についてご紹介します。


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