ノルウェー式やタバタ式。結局どれをやればいい?|目的別HIITの選び方
ノルウェー式HIITの記事を出してから何度か聞かれた。
「結局、自分はどれをやればいいんですか?」
4分×4本のノルウェー式HIIT。20秒動いて10秒休むタバタ式。10分前後で終わる全力スプリント系。YouTubeで見る家トレのHIIT。
全部まとめてHIITと呼ばれているけど、中身はずいぶん違う。動く時間と休む時間の比率だけでも、30秒動いて90秒休む、40秒動いて20秒休む、4分動いて3分休む。組み合わせは無限にある。比率が変われば、きつさも、続けられる時間も、効くところも変わる。
同じ「HIIT」でも、目的が違えば選ぶ組み合わせは別物になる。
自分も昔は何も考えずにやっていた。20秒動く。10秒休む。息が切れる。脚が焼ける。床に転がってピクピクする。これで「今日は効いた」と思っていた。
今思えば、あれはHIITというより、ただ追い込んで満足していただけだった。外来や経営者の健康相談で見ていると、過去の自分のようなもったいない組み方によく出会う。
心肺機能を上げたいのに、ゆるい有酸素だけで、息が上がる刺激を一度も入れていない。運動習慣がないのに、いきなり全力スプリントから入る。筋トレで脚を追い込んだ翌日に、その上から高強度バイクを重ねる。
どれも運動そのものが悪いわけじゃない。ただ、目的とずれていたり、入れる順番がもったいなかったりするだけだ。
HIITは、きつさを競う運動ではない。目的に合う方法を選ぶ運動だ。
心肺機能を上げたいのか。時間がない中で最低限の刺激を入れたいのか。減量の補助にしたいのか。筋トレと両立したいのか。
ここを切り分けないまま追い込むと、かなり頑張っているのに体は変わらない。疲れているだけになる。
この記事では、HIITを細かく全部分類するのではなく、どんな種類があって、自分はどれを選べばいいのかがわかるようにする。

HIITは一種類ではない
HIITという言葉は広く使われているけれど、運動生理学の細かい分類を全部並べても仕方ない。まず、自分の最初の一手を間違えないところだけに絞る。だから、一部はあえて省いた。(専門的にはSIT、RSTのように分類はもっと細かい¹⁾。)実用上は、まず次の4つを知っておけば十分だ。

短いHIIT:15〜60秒くらいの高強度をくり返す。初心者や忙しい人向け
長いHIIT:2〜10分くらいの高強度をくり返す(代表は4分)。心肺機能を上げたい人向け
REHIT(時短HIIT):数分のインターバルを挟んで20秒前後の全力スプリントを2本だけ入れるだけ。時間が本当にない人向け
タバタプロトコル:20秒運動、10秒休憩を超高強度でくり返す。形は家でもできるけど、本気は上級者向け
ノルウェー式4×4は、長いHIITの代表的なプロトコルだと思ってもらえばいい。
REHITとタバタは、少し系統が違う。全力に近いスプリントを使う代表的なやり方だ。タバタは全力で追い込む前提だからここに入れているけれど、強度のとらえ方しだいで短いHIIT寄りに分類されることもある。同じ全力スプリント系には、SITやRSTもある。ただ、一般的な健康目的の読者が、最初からそこを主役にする必要はあまりない。
ざっくり覚えるなら、短いHIITと長いHIIT。タバタとREHITは、条件が合う人向けの応用枠として扱えば十分だ。
HIITが一番効くのは、脂肪燃焼ではなく心肺機能
HIITは「最強の脂肪燃焼メニュー」として売られがちだけど、自分はその言い方をあまりしない。
HIITが一番効くのは、心肺機能への刺激だ。
2024年のアンブレラレビューでは、成人の心肺体力を高める方法としてHIITは一貫して有効と整理されている。非運動対照と比べるのはもちろん、多くの場合で中強度の持続運動より改善しやすいという方向だった²⁾。
体脂肪「だけ」に絞ると、話は少し変わってくる。過体重・肥満成人を対象にしたメタ解析では、HIITと中強度持続運動の体組成改善はおおむね近く、HIITの強みは「短い時間で近い効果を狙える」点にある³⁾。
HIITは魔法ではない。でも、時間効率のよい心肺刺激として、かなり効く。減量でHIITに頼りすぎると、頑張っているのに体重が落ちない、疲労だけ増えるパターンに入りやすい。
正直、自分も「これさえやれば痩せる」と思って毎週HIITを足していった時期がある。体重はほとんど動かず、筋トレの重量だけが落ちた。減量で頼るべきは食事と筋トレ。 HIITは最強の脇役くらいに思っておくと、ちょうどいい。
忙しい人は、短いHIITから考える
時間がない人の第一候補は、短いHIITだ。短いHIITは、15〜60秒くらいの高強度運動をくり返す方法だ。たとえば、30秒きつく動いて、60秒ゆっくり動く。これを6〜10本。これだけでも、息は上がる。
初心者や忙しい人には、4分間ずっと高強度を保つより、30秒や40秒の反復のほうが入りやすいことが多い。
自分も、HIITの中でいちばん続いているのは短いHIIT。いちばんの理由は気楽さだ。ジムのトレッドミルなら、30秒速く走って90秒ゆっくり歩く流れを先に設定しておける。あとはスタートを押すだけで、機械が勝手に切り替えてくれる。考えるのは目の前の30秒だけだ。30秒ならなんとかなる。この「とりあえず30秒」の入りやすさが、自分には合っている。
エアロバイクがあって、運動にある程度慣れているなら、REHITも候補になる。
時間が本当にない人は、REHIT
運動にある程度慣れているなら、REHITも候補になる。
REHITという言葉は、まだほとんど知られていないと思う。
Reduced-Exertion High-Intensity Interval Trainingの略で、努力量を大きく減らした高強度インターバルという意味だ。名前のとおり、きつい部分を思い切り削った時短HIITだと思ってもらえばいい。
短いHIITでもREHITでも、高強度の運動は誰でも同じように始めていいものではない。胸の痛み、強い動悸、説明のつかない息切れがある人は、まず医療機関で相談してほしい。心疾患の既往や運動制限を言われている人も同じだ。運動の最中に胸の痛みやめまい、いつもと違う強い息切れが出たら、その場でやめてほしい。
🚩ここから先はメンバーシップ限定です。目的別の選び方。REHITの具体的なやり方と効果、心肺を本気で上げる4×4、誤解されがちなタバタ、筋トレとの組み合わせや、適切な頻度などを書きました。
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