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クレアチンを飲んだら、健診で腎臓の数値が悪くなった?

「クレアチンを飲んだら、健康診断で腎臓の数値(クレアチニン)が悪くなりました」
「クレアチンって、腎臓に悪いんですか?」

クレアチンについて発信していると、よく聞かれる。自分も17年、クレアチンを飲んできた。当然、安全であってほしいと思っている。

だからこそ、安心できる論文だけを選ぶわけにはいかない。自分に都合のいい研究だけを拾うことを、チェリーピッキングという。研究の限界や反対方向の報告を外すのは、医学的に誠実な態度とは言えない。

クレアチンの効果について書いている以上、腎臓への不安にもきちんと向き合っておきたい。この記事では、クレアチンと腎臓の関係を、いまの研究と自分の検査値から考えてみる。

まず要点から。

  • 「クレアチンを飲んでいて、クレアチニンが上がった。だから腎臓が悪くなった」と決めるのは早い。

  • 「クレアチンを飲んでいるから、クレアチニンが上がっても大丈夫だ」と決めつけるのも早い。

クレアチンを飲むと、腎臓の働きが落ちていなくてもクレアチニンが高くなることがある。その結果、健康診断で腎機能が悪く見えることがある。でも、そこで「クレアチンのせいですね」と片づけるのも危ない。クレアチンとは別に、本当の腎臓病が隠れていることもあるからだ。


クレアチンでクレアチニンは上がる。でも腎機能低下とは限らない

まず、クレアチンとクレアチニンは別物だ。クレアチンは筋肉や脳でエネルギーを使うときに働く物質で、その一部が代謝されてクレアチニンになる。クレアチニンは老廃物と考えてもらってよく、主に腎臓から排泄される。

クレアチンからできた老廃物がクレアチニン

普通は、血液中のクレアチニンが高ければ「腎臓からゴミが十分に捨てられていないのでは」と考える。健康診断で測定するeGFR(腎機能の指標)も、血液中のクレアチニン、年齢、性別から計算される。

だからクレアチニンが上がると、通常は腎臓の働きが悪くなっているのではないかと考える。

ただ、クレアチンを飲んでいる人では話が少し変わる。クレアチンは、体の中で代謝されてクレアチニンになる。腎臓の働きが落ちていなくても、クレアチンを飲むことで血液中のクレアチニンが増え、それで計算したeGFRが低くなることがある。

見かけ上は腎機能が落ちたように見えても、実際には計算に使うクレアチニンが増えただけで、腎臓そのものは悪くなっていない可能性がある。見かけの低下と本当の低下は、分けて考えたい。

こうした見方を支える研究もある。2026年、クレアチンと腎機能を調べたメタ解析が報告された。人を対象にした比較試験をまとめたもので、

  • クレアチンをとった群ではクレアチニンが平均0.13mg/dL上がっていた。

  • ただし、クレアチニン以外の腎機能の指標(GFR、尿素)は変化なし。

クレアチンを摂取するとクレアチニンは少し上がった。でも、それだけで腎機能が落ちたとは言えない、という結果だった。¹⁾

クレアチニンではなく、実測GFRやシスタチンCで測った試験、複数のメタ解析でも、クレアチン摂取によるはっきりした腎機能悪化はなかった²⁾³⁾⁴⁾⁵⁾。

これは安心材料になる。ただし、研究参加者の多くは、もともと腎機能に大きな問題がない人だった。また、1年を超える試験は少なく、まれな副作用や何年も先の影響まではこの研究では分からない。

すでに慢性腎臓病がある人、尿蛋白が続いている人、腎臓に影響する病気や薬がある人には、健康な成人の研究をそのまま当てはめることはできない。慢性腎臓病の患者さんが自己判断で飲んでよいと示すデータはない。

腎機能に大きな問題がない人を中心とした比較試験では、クレアチンによる腎機能低下は確認されていない。というのが現時点での結論だ。

何年飲んでも全員大丈夫、という意味ではない。

健診のeGFRだけでは判断しにくい人がいる

健康診断に出てくるeGFRは、腎臓の濾過能力を直接測った数字ではない。あくまでクレアチニンや年齢、性別から計算した推定値だ。eGFRが58だからといって、「腎臓が58%しか働いていない」という意味でもない。

ここでさらにややこしいのが、筋肉量だ。クレアチニンは主に筋肉で作られるゴミなわけだから、筋肉量が多い人は、体内で作られるクレアチニンも多くなりやすい。採血前の高強度の運動や、脱水、食事内容も影響する。

つまり、クレアチンを飲んでいる人、筋肉量が多い人、採血前に強い運動をした人では、健診のeGFRだけでは判断しにくくなる。

KDIGOの2024年ガイドラインでも、高強度の運動をする人やボディビルダーでは、クレアチニンを使ったeGFRが不正確になりうるとしている。クレアチンも、腎臓の濾過能力とは別の理由でクレアチニンを動かす条件に含まれている。²⁾

このときに役立つことがあるのが、シスタチンCという検査だ。これも血液検査で測れて、クレアチニンよりクレアチンや筋肉量の影響を受けにくい。

筋肉量が多い人やクレアチンを飲んでいる人では、クレアチニンで計算したeGFRに加えて、シスタチンCで計算したeGFRも確認すると、本当に腎機能が落ちているのかを見極めやすい。

ただし、シスタチンCも完璧な正解ではない。炎症や甲状腺機能など変化することがある。これが正常でも、それで安心とは限らない。

🚩ここから先は、自分の実際の検査値と、それでもクレアチンをやめていない理由、クレアチンだけでは説明できない危険なサイン、健診で医師に何をどう伝えるかまで、外来で話しているとおりにまとめました。メンバーシップ「Dr.もさりラボ」で読めます。過去記事もすべて読み放題です。

自分の腎機能も、測り方で58と95に分かれた

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