【創作大賞感想】みくまゆたんの小説は、内面を知れる近道
みくまゆたんの小説を何度か読み返した。書きたい、伝えたいメッセージが何個も埋もれているようにも思えた。そして、読むたびに私の中で感じることが変わっていった。
結果、この物語は、現代の人間の危うさの延長戦を描いていて、人間は、あやふやで脆いことを様々な角度から伝えている。人間の存在そのものが、もう危ういところまで来ていて、人間というものの価値が、変化していることに気付いていった。
メッセージを伝える手法に、ミステリー要素、空想の世界を舞台にしているなかに、今生きている現代の感覚が散りばめられているので、物語とメッセージとのコントラストが伝わりやすく、言葉が真っ直ぐ入ってくるので、凄く考えることになった。
舞台こそ、少し先の未来だが、起きていることは、現代の闇が主役となり、価値観が失われ、ひっくり返っている世界だ。人間は、感情を忘れていく。それは、感情すらもAIに教えて貰うようになるからだ。
誰もが、効率を求めた結果、外に人がいなくなる。
少し、近付いてきているのではないだろうか。手間だったものが、どんどん楽になってきている分、その悩む感覚や感情を忘れてきてしまっていないだろうか。
賞金首を作ることまでして、感情を取り戻そうとする人間の滑稽さも感じる。主人公や、手を貸す人、犯罪をした人、ここに描かれている、本来なら闇の部分の人達の方が、人間らしく光に見えてくるのは、普段からやはり、冷静に人間を見ているからなのだと思う。
みくまゆたんの、普段の活動は、noteやXからしか知らない。だけど、普段から私に理解出来るのは、書くことに対して、冷静で忠実だということだ。感情を置いてこれるプロだと思っている。
だから、普段から感じている危惧を小説として昇華させて書いているのかも知れない。このまま行くと価値観がひっくり返るぞと、静かに警鐘しようとしている気もする。
物語の正義は、正義ではなく、完全にひっくり返っている。決断を迫られることを拒み、人に委ねる。短絡的な快感でしか感情を思い出せない。自分は、何者なのか分からない。
取り残された、危うい人達の方がずっと人間的で、思いやっている。これを感じて、少数派の未来が、当然訪れることを受け入れてしまえる自分が少し怖くなってしまった。
目を引く題材にしておいて、潜ませているメッセージがどんどん伝わってきてしまう。物語の舞台を楽しんでいる自分は、どの感情なのだろうと突きつけられてしまう。もう半分、自分も感情を失ってきているのではないかとも思ってしまう。
あり得そうなことを、読み手にあり得るなと納得させるには、普段から世の中を見ていないと出来ないと思う。きっと、人が思う以上に、みくまゆたんは、世の中を俯瞰で見ることが出来る人なのだと思う。
ただ、そういう部分を普段から一切見せない。これが、たぶんプロなのだと思う。
自分に忠実に書ける人は、自分以上に周りを見ている。だからこそ、自分を貫けるのだと思う。きっと、小説にすることで、普段は出せない感情を描けるのではないかと思います。そして、それは、読み手にとって、本当に知りたい話です。
小説になると、普段の記事とは違い、明らかに感情面、人間について描こうとしている。その線引き、壁を越えて楽しむことで、表現出来るのは羨ましいです。
書くことを、拒んでない。カッコよく見える。
どうしても、自分の言葉や表現を追いたい自分にとって、どちらも行き来出来る羨ましさを感じてしまいます。
少しだけ未来の設定にして、今ある危険性を滲ませるのは、エンタメとして最高だと思います。本当は、何が見えているのか気になります。
かなり、考えました。文体が簡潔でいて、それなのに、多くのメッセージが入っていて、それが物語の非現実とは違い、ストレートに真実なのではないかと入ってくる。物語の設定よりも、登場人物の感情が先に伝わってくるので、ここで描いている、人間が感情を失う危惧の危うさ、この先の世界の不安など、普段の記事とは違う、内面の感情を描き、みくまゆたんの思考を知れる。これは、楽しかったです。特に、
AIが進化した今。ゲーム、ドラマ、漫画、映画など。今は娯楽のすべてが、AIで創造できる世界となりました。AIによって、人々は効率を求め、思考を放棄しました。
この場面の描写、これを読み、そうだろうなと納得する人が大半だと思います。直近の現実でそうなる気がするをピンポイントで提示して、納得させてしまう。その視点が、凄い。その結果、
佐々木は首を小さく横に振る。そして、人差し指を大塚の口元に当てた。
感情を一緒に失ってしまっている私は、こんな些細な場面でも、少しドキドキしてしまう。もう何かを失っていることに気付いてしまった。ウフフフフ。
もっと書いて欲しい。
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