【創作大賞感想】フルレットの魔法を半年間味わっていた。
終わってしまった。この約半年間、私は、巽と今日子の二人を見守っていた。一話目からずっと読んでいる。ずっと見守ってきていた。巽と今日子の半年間というより、私とこの物語の半年間というべきかも知れない。
作者のフルレットが、この作品をどう自分で評しているのか知らないが、私はこの作品を大好きだ。
こういう気持ちになる作品に出会えること自体があまりないのだが、この小説は今まで読んできた恋愛小説とは少し違う気がする。そもそも、恋愛はすることが好きで、小説として多くは読んできていないが、「恋愛小説何が好き?」と聞かれたら、この作品を提示すると思う。
紹介した私の好感度さえも上がる気がするのだ。
恋愛にも起承転結があるならば、この物語は「起」の部分の「起承転結」を物凄く繊細に丁寧に描いているとしか思えないからだ。
読み手である私も、恋愛ばかりして生きてきた。そして、恋愛を表現するのなら、大きな展開を描いてしまいたくなる。自分がいる世界は、ドラマに溢れていて、こんな恋愛したことないだろうと、魅力的に魅せたくなってしまう。
だけど恋愛では始まってしまえば、見落としがちになるキッカケがある。恋かすら分からない「はじまり」を大事にする気持ち。はじまってからが恋愛なのだと思っていたが、気持ちが交錯する瞬間、その瞬間を思考の思惑が支配して進めなかったりする。
そのはじまりの機微を、作者フルレットの魔法により、人間はこれだけ何気ないことでも、これだけ考え、ドラマみたいに生きているのだと、表現され伝えられ、その凄さを知ることになる。キッカケ、はじまりは些細なことでも、それは、ドラマだ。
人間が惹かれるという意味を紡いでくれている。
巽と今日子。進みそうで進まない展開は、半年間かけて連載されてきた。私は、一話読むたびに、心の通わせ方を迷う、今日子の恋する気持ちに、新鮮さを感じさせて貰っていた。
自分が知らない、女性の女性らしさを描かれている気がした。
今は自分に自分の気持ち認める段階。まずはそこから始めてみよう。
もしも…同じ気持ちならいつ会うかそのお誘いはして欲しいから、そこには触れず毎日ラインする口実を探してしまう。家にいても外にいても。そうしてる間も巽くんからのメッセージはこない。
無理して嫌いになったり諦めたりはしなくていいけど期待もしない。ただ好きいて、好きになれた自分が可愛いと思う、それでいい。見つめ返して欲しかった気持ちはそっと心にしまっておこう。
付き合いましょうとなったけど、一緒にいる時間以外は片思いと変わらない。
あげだすとキリがない。私がこの作品に、のめり込んだ理由が詰まっている。こういうことを世の中の女性が相手のことを考えながら、日々、一喜一憂していることを、もっと前から知っていたのなら、私の人生はもっと大きく違ってきている気すらしてくる。
誰もが感じているはずのキッカケや、心の恋の起こりは見逃しやすいはずだが、作者のフルレットは、どこまでも優しく丁寧に描いている。
恋とは、こうやって生まれてくるのかと感じる。
何かが起こるワケでもない、本当に普通の日常だ。でも、日常で恋をしているはずの私達は、こういう心の機微を感じながら、それを積み重ねていたはずなのに、すぐに忘れてしまっている。
そこを、表現されていることに惹かれる。
私は、この物語を本で欲しい。持ち歩きたい。忘れていたものがいっぱい詰まっている。いや、知らなかったことを教えてくれている気がする。
日常で、恋が始まると何もないのに物語になる。
半年間かけて、完成させてくれたことが先ず嬉しかった。そして、創作大賞に出してくれたこと。それも嬉しかった。
感想を書いて、人に薦めることで、かえって物語のハードルを上げさせてしまっているかも知れないが、読んで欲しい。説明すると、物語が薄れてきてしまう気がするのは、この物語が本当に「純粋」というものを、表現してくれているからだと思います。
優しい。人に薦めたい。
どうやって伝えれば良いのか悩む。溢れ出てくる下心や、邪な気持ちばかりを持っている自分が、純粋さを置いてきてしまったことを伝えてくる。
私は、この物語を半年間かけて一緒に読み、もう一度、一気読みをしなおしたのだが、心情を描く丁寧さが、より際立っている気がした。
恋には、始まる前にも起承転結が存在している。
それを知るには、充分に良い時間でした。
恋を思い出したい。恋に悩んでみたい。恋をしてみたいと思う人、恋を諦めてしまった人。下心しかない人。
色んな人にプレゼントしたくなるような作品だと思います。終始、不安と隣り合わせにいる今日子の心情描写は、誰もが経験して感じてきたことだとしたら、私は、初めて女性を知ったのかも知れません。
素敵な作品でした。伝えようとしても全部を伝えきれないもどかしさを感じているので、読み進めて、答え合わせをそれぞれがしてくれることを願います。
読めて良かったです。この作品は、誰かと語りたくなり、感想を伝え合いたくなるような力を秘めていると思います。ですが、お互いに純粋を忘れていたことに気付くことになるかも知れません。
まだまだ、人の機微を描いて欲しいです。多くの人へ届きますように。フフフ。
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