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楽天のAI戦略:AI大国ニッポンへの挑戦と民主化への道

AIに関する私の見立ては、汎用モデルの性能競争は行き着くところまで行き、どのモデルを使っても十分に満足できるという世界に到達する。そうなると、「どんな素材を食わせるか?」の勝負となる。

そうなると、楽天IDに紐づいた膨大なデータを保有する楽天は有利なポジションを獲得できるはず。

現時点では、各社、華々しくAIを打ち出している中、正直、地味な印象を拭えない同社(すみません)。

膨大なデータ資産をどう活用していくのか?という視点で今後の同社の動きに注目していきたいと思います。

楽天のAI戦略:AI大国ニッポンへの挑戦と民主化への道

近年、AI技術の進化は目覚ましく、多くの企業がその導入を検討していますが、日本では特に中小企業におけるAI活用がまだ十分に進んでいないのが現状です。楽天は、この現状を打破し、日本をAI大国へと導くための独自かつ野心的な戦略を推進しています。

■楽天が目指す「AIの民主化」とは?

楽天グループは、これまでEC、Fintech、そしてモバイルといった分野で「民主化」を掲げ、サービスを広く普及させてきました。そして今、同社が4度目の「民主化」のテーマとして掲げているのが「AIの民主化」です。これは、単に事業者がAIを活用するだけでなく、一般のユーザーも含め、誰もがAIを利用し、さらには自分でも使えるような環境を目指すものです。

楽天は、日本の社会をエンパワーメントし、人々の生活をより豊かにするという企業の目標を掲げており、AIはそのための重要な手段と位置付けています。人口減少が進む日本において、AIを活用して簡単な業務を機械に任せることで、全体の生産性を底上げし、楽天のサービスを利用する店舗や施設、そして一般ユーザーにもAIを広く使ってもらうことを目指しています。

■楽天の強力なアセット:膨大なデータとエコシステム

楽天がAI領域に大規模な投資を行う意義は、そのグループ全体が持つ膨大なデータアセットにあります。70以上のサービスから得られる消費記録や楽天IDの情報など、多様なデータを組み合わせることで、AIを活用したより良いサービスや機能を提供できると考えています。

■社内改革:「AI-nization」で生産性を向上

楽天は、全社員がAIを活用して業務を行う「AI-nization(AIナイゼーション)」という取り組みを推進しています。これは、2012年から進められた社内公用語の英語化「English-nization」に続くもので、社員全員がAIを使いこなすことを目指しています。

具体的には、社内向けAIツール「Rakuten for Rakutenians(楽天フォー楽天ニアン)」を開発し、1万3000人以上の社員が日常的に利用しています。このツールでは、翻訳やメール作成・要約など多様な機能が提供され、特に業務に特化した1万6000以上の「カスタムAI」が社員によって作成・共有されています。これにより、例えば開発において、要件定義からプログラミング、テストまで、AIを活用することで作業工数を最大80%削減する事例も生まれており、大幅な生産性向上に繋がっています。

楽天グループの三木谷社長自身も、「No AI, No Future(AIなくして未来なし)」と社内で明言し、月に2回AIに関する役員会議を開催するなど、AI戦略を強力に推進しています。朝会でのAIに関する情報共有や、AI活用状況のKPI化など、組織全体でAIへの取り組みを加速させています。

■独自LLM開発と外部パートナーとの連携

楽天は2023年にOpenAIとの協業を発表し、最先端技術を活用しています。しかし、それだけでなく独自のLLM(大規模言語モデル)の開発も進めている点が注目されます。これは、楽天が保有するデータを活用してAIを育成することに加え、最新技術をキャッチアップし、社内開発部隊の知識や技術力を高めるためでもあります。また、オープンソースとして公開することで、日本のAI業界全体を盛り上げていきたいという強い思いも背景にあります。日本語に最適化された独自LLMは、日本企業にとって大きな選択肢となり得ます.

■楽天経済圏におけるAI活用事例

AIは、楽天の主力サービスにおいて、すでにユーザー体験とビジネス効率の向上に貢献しています。

  • 楽天市場(Rakuten Ichiba)

    • 店舗向け: AIアシスタントが店舗運営を支援。商品画像の背景自動生成、商品説明文の自動作成、顧客からの問い合わせメールの自動生成などにより、店舗の業務効率化とコスト削減に寄与しています.

    • ユーザー向け: セマンティック検索を導入し、ユーザーの入力した文章の意味を理解して商品検索結果を返すことで、検索ヒットしない率を大幅に減少させ、最大98.5%までヒット率を向上させています. これにより、ユーザーはより効率的に求める商品を見つけることができ、流通の活性化に繋がっています. また、レコメンデーション機能や広告へのAI適用により、最適な商品や広告をユーザーに提示し、購買体験を向上させています.

  • 楽天トラベル(Rakuten Travel)

    • AIを活用したコンシェルジュ型の予約体験を提供. ユーザーが「どこで何をしたいか」といった曖昧な要望を入力するだけで、AIが最適なホテルを提案します. 今後は、周辺の観光情報やレジャー施設も組み合わせた旅行プラン全体を提案するナビゲーション機能の開発も進められています.

楽天グループ全体では、これまでに35以上のAI関連商品やサービス、機能をリリースしており、毎月のようにアップデートが行われています.

■「Triple 20」:利益創出への貢献

楽天は、AI活用を通じて「Triple 20(トリプル20)」という目標を掲げています。これは、マーケティング効率、オペレーション効率、クライアント(ビジネスパートナー)効率の3つの側面で、それぞれ20%の改善を目指すものです。

AIによる効率化は、コスト削減や作業時間の短縮に大きく貢献しており、これによりすでに約105億円の利益を創出しています。2025年にはこの利益を倍増させることを目指しており、楽天のAI戦略は単なる技術導入に留まらず、明確なビジネス成果に繋がるものとして推進されています。

■楽天AIオプティミズム:AIの今と未来を体感するイベント

楽天は、これらのAI戦略の全貌を公開し、AIの可能性を体感してもらうための大規模イベント「楽天AIオプティミズム(Rakuten AI Optimism)」を開催します。イベント名の「オプティミズム」は、楽天の「楽」を意味し、前向きな姿勢を表しています.

2024年7月30日から8月1日までの3日間、パシフィコ横浜で開催されるこのイベントでは、三木谷社長の基調講演をはじめ、AIに関連する楽天グループのビジネスアップデート、各業界の著名人によるセッションが行われます。特に注目すべきは、楽天が開発したAIサービスや機能を実際に見て触れて体感できる展示ブースです。

AI活用に課題を感じている企業やビジネス関係者、そして楽天サービスを利用しているユーザーにとって、このイベントはAIの具体的な活用方法や、楽天がAIで何を成し遂げようとしているのかを深く理解する絶好の機会となるでしょう。


■楽天オプティミズム(7/30~8/1)

この豪華司会者陣に魅せられて、私も除きに行く予定です。

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駒瀬元洋 | ひとりで決めている人の、思考の伴走者 いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。