【書籍紹介】「ブラック・スワン」ナシーム・ニコラス・タレブ著
こんにちは。合同会社マルセロ 代表の駒瀬です。経営者、事業責任者に対する事業及びマーケティングの伴走コンサルティング、壁打ち、月額制顧問等のサービスを提供しています。
先日、「今話題のエフェクチュエーションとは?」という記事で紹介させて頂いた書籍。
2009年発売なので、今から14年前の書籍。人間の認知機能の限界から起きる様々な事象を解説した書。そして、エフェクチュエーションに代表される「未来は予測不可能であり、起きた事象をコントロールする」重要性が叫ばれる、今こそ読むべき本であると思います。
以下に概要をお伝えいたします。
正規分布的発想で、概ね予測可能で、異常値も全体の中に吸収されて、想定外のことは、まず起きない「月並みの国」と、一握りの極端な事象(異常値)が、従来型で積み上げてきた、予測の範囲内には収まらず、壊滅的な影響を及ぼし、勝者総取りの法則が働く「果ての国」。ブラックスワンが現れるのは、決まって「果ての国」。
でも、人間は、「追認バイアス」「講釈の誤り」「生き残りバイアス」等、認知機能に欠陥を抱えている(あくまで抽象的思考において)ので、ブラックスワンの出現は予測できず、翻弄される...
認知機能の欠陥を示す典型例は「プラトン性」。人間は、抽象的な物事は理解しにくい特性があるので、純粋で理解のしやすい概念に意識が集中し、複雑で扱いが難しい問題は無視してしまう。すべて「イデア」という理路整然とした世界に閉じ込めてしまう。
「追認バイアス」とは、自分が信じていること、自分に都合の良いことを支持する事例ばかり探し、理論構築してしまうこと。1000日間の間、餌を与え続けられた七面鳥は、まさか、1001日目に自分が殺されて食卓にのぼるということは想像できない。
「講釈の誤り」とは、連なった事実を見ると、何かの説明をせずにはいられない人間の習性のこと。無理矢理であれ、因果関係で説明されると安心する。すべての物事には、因果関係があると信じている。因果関係で説明できないことは、想像できない。つまり、存在しない。
このように、人間の認知機能は欠陥だらけなので、その隙をついてブラック・スワンは現れる。ブラック・スワンが象徴するのは、理論というものを「検証」することは非常に難しく、「反証」することは非常にたやすい、ということ。ベル型カーブ(正規分布)では説明できない、「外れ値」が存在することを想定し、それに備えるべし。「外れ値」は、フラクタルで拡張性がある為、正の方向に拡張すれば、無限大に近い利益が得られる。
それを応用したのが、「バーベル理論」だ。ポートフォリオの大部分はアメリカ短期国債のような超安全な資産に投資しつつ、残りの10~15%をあらん限りのレバレッジを効かせたハイリスクな資産に投資する戦略。
「外れ値」であるブラック・スワンは、事前に予測・特定できないので、ランダムにはるしかない。無限大の可能性を求めて、理屈抜きで、積極的に機会に対してエクスポージャーする。これは、投資に限った話ではない。
逆に、ノーベル賞を受賞した「天才集団」により運営されたLTCMは、ベル型カーブですべてのリスクが計算できると過信し、過剰なエクスポージャーに曝した為、ブラック・スワンの到来と共に崩壊した。
世の中の構造は、複雑で、ランダムで、予測不能である。だから、どんなに高度な科学・数学・物理学を駆使しても、完璧な理論武装・モデル化は不可能である。
崇高な学者は、理論化・モデル化に没頭するあまり、さまざまな前提を張り巡らし、自分のモデルが機能するように、現実世界を作り変えてしまう。まさに、プラトン化の極みだ。だから、予測が外れたら、それは、前提が異なっていたからだと言い訳する...
世の中は、所詮、ランダムで不完全であることを認め、幅広い事象にわたって、おおざっぱに正しいことを目指す。正の方向のブラック・スワンに対しては、拡張性に対応できるように、きちんとエクスポージャーする。負の方向のブラック・スワンに対しては、起きうるということをきちんと認識し、過剰なリスクは取らず、柔軟に構える。それが、今日的な生き方である。
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