日本人は「頑張れ」、英語は「力を抜け」?言葉に表れる文化の差
日本人が日常的に、まるで口癖のように使う言葉に
「頑張って」
があります。何をどう頑張るのかを具体的に言わなくても、別れ際や試験の前、そして困難な状況にいる人になど、あらゆる場面で使えるとても便利な表現です。
ところが、この「頑張って」が英語だと真逆の意味になってしまうケースがあります。その理由は、日本語と英語圏の文化の違いにあります。
●「頑張る」に対する文化の違い:
日本では、大切な場面や、困難な状況では「気合を入れて頑張る」「肩に力を入れて努力する」ことが良いこととされ「大事なときほど力を入れる」文化です。反対に、「力を抜く」「気楽にやる」という姿勢は、
なまけている
真剣ではない
と受け取られることもあります。その結果、「もっと頑張らなければ」と、ますます力が抜けなくなることも少なくありません。
一方、英語圏では少し考え方が異なります。
大切なときに肩に力が入りすぎていると、実力が発揮できない、視野が狭くなる、と考えられています。そこで使われるのが、
Take it easy.(気楽にいこう / 力を抜いて)
という表現です。これは、リラックスした状態のほうが、
本来の力が出る
落ち着いた、余裕のある人として評価される
という価値観が背景にあります。この努力に対する考え方の違いが、日本語の「頑張って」と、英語の全く違う言い回しを生み出しているのです。これを「緊張文化」vs「弛緩文化」と読んでいる研究者もいます。
例えば、試験やプレゼン、面接に向かう人へ。
Take it easy. You’ll be fine.
(落ち着いて。大丈夫だよ=頑張って)
Take it easy and just be yourself.
(力を抜いて、いつも通りやればいいよ)
Take it easy. One step at a time.
(無理しすぎないで、一歩ずつね)
なんてよく耳にしますね。また、別れ際の一言で、これから大変な行事があると分かっている相手に。
Take it easy! See you later.
(頑張ってね。またね)
※「うまくいくといいね」という気持ちが込められている表現。
さて、日本語の「頑張って」は万能ですが、英語では状況ごとに表現を使い分けるのが普通です。ここからは、具体的な場面別に見ていきましょう。
① 試験・面接・本番前の人に
状況
「これからTOEICの試験を受けに行く」という友人に。
👉 Good luck!
(うまくいくといいね!)
※ 成功を祈るニュアンスで、日本語の「頑張って」に最も近い定番表現。
② 苦しい状況で踏ん張っている人に
状況
マラソンで、今にも抜かれそうなランナーに。
👉 Hang in there!
(踏ん張って!/あきらめないで!)
※ 「今はつらいけど、耐えて」という意味合い。
③ 順調に成果を出している人に
状況
課題が予定よりも早く、順調に進んでいる部下に。
👉 Keep up the good work.
(その調子で続けて!)
※ すでに「頑張っている」人への評価と励まし。
④ 緊張しすぎている人に
状況
全重役の前でのプレゼンを控え、ガチガチに緊張している同僚に。
👉 Relax. You can do it!
(落ち着いて。君ならできるよ)
※ 日本語の「頑張って」とは逆に、「力を抜く」ことを勧める表現。
⑤ 長期的につらい状況にいる人に
状況
天災に遭った被災者や、困難な状況にいる人へ。
👉 Keep your spirit up.
(気持ちを強く持って)
※ 心の支えを意味する「頑張って」。
⑥ あと一歩で達成できそうな人に
状況
ゴール目前、成功まであと少しの人に。
👉 Come on!
(いけ!/もうひと踏ん張り!)
※ とてもシンプルですが、これも立派な「頑張って」です。
このように、英語では「何を頑張るか」によって使われる表現が違ってきます。日本語の「頑張って」は便利ですが、英語では
努力してほしいのか
力を抜いてほしいのか
成果を認めたいのか
を状況ごとに言葉で表すわけです。「頑張って」を英語でどう言うか迷ったら、まずはこう考えてみてください。
この人には、
・背中を押したい?
・気持ちを楽にさせたい?
・努力を認めたい?
それが分かれば、ぴったりの英語表現が自然に選べるようになります。
Keep up the good work with your English!
(英語学習、その調子で頑張って)
P.S. 応援・励ましのニュアンスで使いました。
