実は引用だった デモクラシーはワーストフォーム ガバメント
民主制(δημοκρατία)は普遍的制度か。民主制の手本とされるアテーナイ黄金期においてさえ、知識人たちはこれを「衆愚制(ὀχλοκρατία)」と呼んで蔑んだ。プラトーンは云った、「民主制の世の中では、驢馬でさえ道を譲ろうとしない」(Rep.VIII,563c)。これを読んだとき、どれほど共感したことか(^0^) pic.twitter.com/kVGRsfzVHs
— TOMITA_Akio (@Prokoptas) May 4, 2026

デモクラシーについて有名なチャーチルの名言
「民主主義は最悪の政治形態である。
ただし、これまでに試みられてきた他のすべての政治形態を除けば」
の前半部は引用でした。
出典(一次)として挙げられるのは、英国議会の公式議事録 Hansard(House of Commons)で、日付は1947年11月11日、議題は Parliament Bill(貴族院権限などを扱う法案の審議)です。(hansard.parliament.uk)
引用の定番表記は次の形になります(版によって表記ゆれあり):Hansard / Official Report, House of Commons Debates (5th Series), 11 November 1947, vol. 444, cols. 206–207(または c.207) (api.parliament.uk)
その中でチャーチルは「Indeed, it has been said that democracy is the worst form of Government…」という形で述べています(本人も “it has been said”=「そう言われてきた」と前置きしている)。(hansard.parliament.uk)
補助(一次に当たりやすい公開版):UK Parliament の Hansard(現行UI)でも同日の該当箇所が閲覧できます。(hansard.parliament.uk)
旧 “Historic Hansard” 相当(api.parliament.uk)でも同じ審議が閲覧できます。(api.parliament.uk)
なお、**このフレーズ自体はチャーチルの完全なオリジナルというより「既に流通していた言い回しを彼が広めた」**という整理もあります(彼が “it has been said” と言っている点と整合)。(quoteinvestigator.com)
結論だけ先に言うと、チャーチルが「誰それの言葉」として特定の人物を引用した形跡は、1947年11月11日の議会発言(Hansard)本文からは読み取りにくいです。彼は “Indeed, it has been said …”(「そう言われてきた」)と前置きするだけで、出典名を付けていません。(英国議会API)
そのうえで「では何を引用した(つもりだった)可能性が高いか」を、現在拾える証拠の範囲で並べます。
1) 一次史料(確実に言える範囲)出典:UK Parliament / Hansard(House of Commons Debates)、1947年11月11日、議題 Parliament Bill の討論
当該箇所:“Indeed, it has been said that democracy is the worst form of Government except all those other forms that have been tried from time to time …”
特徴:ここには**「誰の言葉か」や「どこからの引用か」への手がかりが付いていない**(英国議会API)
なので、「チャーチルはXを引用した」と断定するには根拠が不足しがち、という形になります。
2) では「その言い回し」はどこから来た可能性があるか(傍証)
引用元を名指しできない代わりに、チャーチル以前に“ほぼ同形”が印刷物に出ているかを見ます。Quote Investigator の調査だと、チャーチル以前の“近い一致”として、1946年5月のカナダ(ノヴァスコシア州)成人教育報告(Guy Henson)に
“it has even been called the worst form of government, except for all others which have been tried”
という文が見つかった、とされています。しかもここでも **匿名(誰の言葉とも書いていない)**扱いです。(quoteinvestigator.com)
QIはこの点から、「チャーチルは既に流通していた言い回しを使った可能性があるが、起源は匿名のまま」と整理しています。(quoteinvestigator.com)
ここまでが、現状いちばん“堅い”線です。ただし、チャーチルがこの文書を読んだ証拠までは(少なくとも上の一次・二次範囲からは)出ていないので、「1946年のこれを引用した」とまでは言いにくい、という距離感になります。
3) さらに前の“近縁”表現(思想の系譜)
同じQI記事の時系列だと、もっと前から「民主政は最悪になりうる/最高にもなりうる」系(古典由来)
「民主政は(他より)least bad / least worst」系(1920年代〜)
「民主政は最悪だが…」系(1919年 Briffault など)
みたいな似た発想が散発していて、1946〜47の定型句はそこから“結晶化”した可能性が示唆されています。(quoteinvestigator.com)
暫定回答チャーチルが「誰」を引用したか:Hansard上は不明(本人が名指ししていない)。(英国議会API)
「何(どの言い回し)」を引用したか:QIの調査では、少なくとも1946年5月の文書にほぼ同形があり、当時すでに**“言い回しとして流通”**していた可能性が置かれる。ただし起源は匿名のまま、という整理。(quoteinvestigator.com)
もし「起源(最初の発明者)をさらに詰めたい」なら、次の2つが作業手順になります(ここからは方法論):1946年のHenson文書の前後(同シリーズの教育行政文書・新聞・雑誌)で同句が出るかの網羅検索
英語圏の新聞アーカイブで “worst form of government except” などのフレーズ一致検索(1946以前)
必要なら、こちらで検索語(複数パターン)と当たりやすいコーパスの当て方を、チェックリスト化して出します。
