光を滲ませる「NOKTON classic 35mm F1.4 SC」

Leica M10を肩に下げて鬼怒川へ行ってきました。
今回のお供は、コシナの「Voigtländer NOKTON classic 35mm F1.4 SC (VM)」。
最新の解像力を追い求めるのとは少し違う、いわゆる「現代のオールドレンズ」的な立ち位置の一本です。
あえてコーティングを簡略化した「SC(シングルコート)」モデルです。
「MC(マルチコートモデル)」もラインナップされていますが、MCの方がより現代的な写りをするようです。
この組み合わせで撮る鬼怒川が想像以上に楽しく、すっかりこのレンズに魅了されてしまったので、その魅力を少し深掘りしてみようと思います。
1. 鞄の隅に収まる、F1.4という自由
まず、手にした瞬間に感じるのがその「小ささ」と「軽さ」です。 F1.4という大口径レンズでありながら、重さは200gを切るほど(約189g)。Leica M10に付けると、驚くほど収まりが良いんです。

散策したりする時、この軽さは本当に正義だなと感じます。首から下げていても苦にならず、気になった景色があればスッとカメラを構えられる。この軽快さこそが、シャッターチャンスを増やしてくれる一番の要因かもしれません。
2. シングルコート(SC)が描き出す、柔らかな光
前述のとおり、このレンズには「MC(マルチコート)」と「SC(シングルコート)」の2種類がありますが、私は迷わずSCを選びました。
今のレンズは「いかにフレアやゴーストを消すか」に心血を注いでいますが、このレンズはその逆を行きます。逆光気味に撮ると、画面全体にふわっと光が回り、シャドウ部が優しく浮き上がってくるんです。

記憶の中にある風景のような写りをしてくれます。パキパキに写りすぎない、この「心の余裕」みたいな描写がたまらなく好きです。
3. 絞りで変わる、二つの顔
面白いのが、絞り値によって性格がガラリと変わるところです。
開放のF1.4では、ピント面は繊細ながらも周辺に甘いボケが残り、少しドラマチックな表現になります。ところが、少し絞り込んでいくと、驚くほど現代的でシャープな一面を見せ始めるんです。



















1本のレンズで、絵画のような柔らかい表現から、緻密な描写まで楽しめる。この使い分けができるのが、単焦点レンズを操る醍醐味だなと改めて実感しました。
4. 手が届きやすい「最高の一本」
これだけ質感が良く(金属鏡筒のヒンヤリ感や、フォーカスリングの滑らかさは格別です)、唯一無二の写りをするレンズですが、価格もお手頃です。

新品でも6万円前後。 この金額でこれほど豊かな撮影体験を味わえるのは、買って損は無いでしょう。35mmの入門としてもおすすめです。
最後に:不完全であることの美しさ
Leica M10とNOKTON classic 35mm F1.4 SC。 このセットで歩いた鬼怒川は、ただの観光地の記録ではなく、その場の空気感や光の温度まで持ち帰れたような気がします。
「完璧に写ること」だけが写真の良さではない。そんな風に考えている方には、ぜひ一度手に取ってみてほしい一本です。



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