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夢見るキリン(ショート)

私は休みの日、よく7時間弁当屋の前に並ぶ。
7時間かけて目的の弁当が手に入れば上々。
たまに9時間30分並んで、妥協して別の弁当を買わなければならない時がある。
そういう際も買う弁当は決まっている。
二軍の弁当、三軍の弁当も用意しないと、すぐに精神が参ってしまう。
正確な精神の健康さを保って生きるには、妥協って魅力的。
幸福を1つに絞って定義化すると簡単に奈落の底。

だから私は
二軍の弁当『生きたキリンのコブ刺身調理券』でも、あれば買う。
これは実際にアフリカに行って、弁当屋『スティーブジョブズはやっぱり天才コカイン』と提携を結んでいる密漁グループ『塩を見つけた奴はともかく、胡椒を使い始めた奴は天才どすけべ団』に券の入った弁当箱を見せると、すぐに罠で捕まえたキリンのところに連れていってくれる。

でも私は行ったことがない。
キリンが不憫だから行かない。実際に二軍の弁当を買ってキリンのコブを刺身にして食べた人のブログは読んだことがあるし、おいしかったみたいだけれど、この券を使う気にはならない。
『キリンのコブはねぇ、珍味も珍味、味はカバの爪と似ていました、南無』
カバの爪も食べたことないし、私ってキリンが動物の中で一番好きなのよ。
小学校の卒業文集にだってキリンのことを書いたんだから。

ーー私は大きくなったらキリンと暮らします。私はキリンが大好きです。私がキリンを大好きと言うと、いつもママとパパは理由をしつこく聞いてきます。私のパパとママは私がキリンを好きな理由を好きだからです。私がキリンを好きな理由は、長い首をぶんぶん回してケンカするところがヘンテコで面白いからです、ずっと見ていられます、笑いが止まらなくってしまうのです。だから私はずっとしあわせにたのしく生きるために、キリンを二頭飼ってずっとケンカさせますーー

まだキリンは飼えないけれど、休みの日はいつもお腹が空いているけれど、
いつかこんなつまらない社畜みたいな生活を抜け出して、キリンを二頭飼うんだ。
広い所で、ケンカさせて、そうすれば、また私は笑っていられるような気がするから。
でもいくらお腹が減っていたって、キリンのコブを食べるなんて行為は、食文化が飽和した現代社会の闇って感じがして気味が悪い。

キリンの舌って、ヘンテコよね、なんでかしら。


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