怪奇!ケーキ男
雲ひとつない快晴で、
駅までの足取りも軽かった日のこと。
歩道の先のほうから男性が歩いて近づいてきた。
男性「こんにちはー」
緑色のエプロンをつけた、中年男性だ。
(え、話しかけられた。)
ネズミ「こんにちは。」
男性「あの、私ケーキ屋でして、、」
(道案内か)
男性「ケーキ、いかがですか?」
何て?
その男性の荷物を見るとスーツケースの上に
クーラーボックスを乗せているようだ。
そこにケーキが入っているのか?
ネズミ「あの、私仕事で急ぐので。では。」
気持ちを読み取られないよう、
ゆっくりと歩いて通り過ぎた。
なんだよあれ。
動揺していると、歩道沿いにある家の門から、
おばあちゃんがでてきた。
「ねぇねぇ、さっきの人、何だった?
何度もここの道を行ったり来たりしてるのよ。」
私はやりとりを話した。
変わってんなー
2人で首をかしげながら、
小さくなった男性の後ろ姿を見送ったのだった。
私は彼のことをを「ケーキ男」
と心に刻んだ。
それから、数日後のこと。
友人と喫茶店にいった時、ケーキ男の話題になった。
友人「で、で、どんなケーキだったの?」
ネズミ「…見てない」
友人「え〜なーんだぁー」
残念がる友人の反応をみて、
激しい後悔の念が押し寄せてきた。
きっと、
ケーキの底には丸いギザギザのアルミが敷いてあり、上からラップで包んである、
手作り感満載のケーキなのである。
私が、1つ下さいなと言うと、ケーキ男は
見合わない値段をふっかけてくるが、
私は物ともせず買うのだ。
ケーキをさげて、いつも通り会社へむかう。
私は、道端で売りつけられたケーキをさりげなく
デスクに置くと、同僚が箱にに気づくのだ。
これはねぇ、…と私。
あ、もちろん食べはしないよ。
沢口靖子さんあたりにお願いして、
成分を調べてもらい、
怪しい添加物を特定してもらうつもりです。
指紋からケーキ男は探し出され、御用となる、
そういう算段なのだから。
やれお手柄だ、勇敢だとたたえられ、
いちやく、時の人になることだろう。
イメトレがバッチリな私は、
次の機会を待つことにした。
しゃーいつでもこい。
それから、毎日のように駅まで歩いている。
数ヶ月たったが、
ケーキ男はいっこうに姿を現さない。
あれ?気づきましたか?
ガラガラガラと、
緑色のエプロンつけて、
今日もどこかでケーキを売る。
そう、
今日はあなたの街に来ているかもね。
