16年のスタートアップ経験で組み立てた、チームを強くするマネジメントの仕組み
スタートアップで組織が大きくなるにつれて、部署ごとに抱える悩みも少しずつ変わってきます。
特にスピード感をもって事業を前に進める現場では、「判断の軸が揃わない」「役割や期待値が人によって違う」といったズレが、気づかないうちに積み重なっていくことも少なくありません。
movでも事業の拡大に合わせて、チームの動き方やマネジメントのあり方を都度見直してきました。
その中で今回は、口コミコムを展開する店舗支援事業本部を率いる執行役員の赤司に、”今現在の”マネジメントのポリシーについて、インタビュー形式で話を聞いていきます。
■Profile
株式会社GENOVAにてWebコンサルティング事業部長として事業統括・新規事業立ち上げ等を経験した後、ランサーズ株式会社にてデジタルマーケティング支援事業の事業部長、セガ社とのJV事業責任者、子会社ボードメンバーとして複数の新規事業立ち上げ等に従事。
その後SaaSスタートアップ2社にてSaaS事業のビジネス部門のマネジメントを担当し、前職Repro株式会社では新規事業の責任者として従事。2023年9月より株式会社movに参画。
――今日は赤司さんが日頃どのようにマネジメントを考えているか、率直に伺えたらと思います。
よろしくお願いします。偉そうに語れるほどのものではないのですが、僕自身が16年間スタートアップで試行錯誤してきた中で、「今はこういう考え方がしっくり来ている」というものがあって、それを正直に共有できればと思っています。これから一緒に働くかもしれない方が、「赤司と仕事をするとこういうスタイルなんだな」とイメージしやすくなれば嬉しいです。
■ マネジメントを構成する3要素
――まず最初に:赤司さんのマネジメントの“全体像”を教えてください
僕のマネジメントは、単発のテクニックというより、3つの要素を組み合わせた“仕組み”として考えています。コンピューターを例にするとわかりやすいと思うのでそれで説明しますね。
OS:迷いをなくす土台
エンジン:チームのグッドサイクルを回すための関係性の質
インターフェース:目的とメンバー個々に合わせたコミュニケーション

簡単に言うと、
「OS:役割と責任の明確さ」「エンジン:信頼と安心がベースの関係性」「インターフェース:一人ひとりの強みを生かす会話」
この3つの要素を組み合わせていく、という話なんです。
これは僕の経験から「こうするとチームが良い状態で動ける」と実感した理論と実践を形にしたものです。
■ OS:迷いをなくすための基本ルール
――では、ひとつずつ伺わせてください。まずOSとは?
組織の“土台”の部分です。
僕は「識学(しきがく)」の考え方を取り入れています。これは、組織で余計な迷いを減らすための“整理整頓”に近いイメージです。
自由な社風は良いことですが、「誰が何を決めるのか」「どこまでが自分の責任か」が曖昧だと、自由というより混乱になってしまうんですよね。
だから、以下を丁寧に揃えるようにしています。
それぞれのメンバーに期待される役割を明確にする
負った責任にふさわしい権限を渡す
その役割に対する結果責任にフォーカスする
強い言い方に聞こえないように補足しておくと、これは「厳しさ」ではなく、むしろメンバーが“迷わず動ける状態をつくる”という意図です。
誰の顔色を伺うでもなく、純粋に仕事と向き合える環境を整えることが重要だと考えています。
■ ENGINE:信頼を土台にした「成功循環モデル」
――土台が整ったら、次はエンジンですね。
はい。安定した土台(OS)があっても、それを動かすには“エンジン”が必要になります。ここではダニエル・キム教授の「成功循環モデル」を取り入れています。
結果が出ないと、つい「なんでできていないの?」と詰めてしまうことってあると思います。しかしそれって成果が出るどころか、メンバーが一層萎縮してしまうことが多く、組織を良くしようとしているのに、結果としてバッドサイクルに陥ってしまう、もったいないマネジメントスタイルだなと思っています。
ですので、僕はその問いから始めることはありません。持続的な成果を生み出すグッドサイクルを組織にもたらすために、次の流れを意識してコミュニケーションを行っています。
関係の質を整える:1on1などで相互理解と信頼性を構築して安心感を作る
思考の質を上げる:メンバーが課題や悩みを率直に話せるようになる
行動の質を上げる:メンバー間の協力や改善が自主的に生まれる
結果の質につながる:チーム全体のパフォーマンスが向上し成果に現れる
関係性が更に向上する:成功体験をベースにサイクルが加速する
例えば1on1で「最近どう?」と対話して相互理解を深めたり、お互いに安心して本音を話せる状況を作ったり。
結局ここが整っていないと、どんな戦略も動いていかないんですよね。

■ INTERFACE:一人ひとりに合わせた“使い分け”
――そして最後がインターフェース。これは“個別最適”のイメージでしょうか?
そうですね。全員に同じ接し方をすれば公平に見えるかもしれませんが、実際には人それぞれ強みも得意なコミュニケーションも違います。
だから、1:n(全体)と1:1(個別)で接し方を変えています。
● 1:n(全体の場)
リクルート流の「賞賛」と「機会」を参考に組織全体の士気を高めることを意識しています。
成果を出したメンバーをみんなの前で具体的に賞賛することで「何が良い仕事なのか」を組織内で共有したり、「どんな機会をつくりたい?」と問いかけて挑戦を促したりしています。
● 1:1(個別の対話)
識学ではルールは公平ですが、会話まで公平である必要はないと思っています。
強みを理解するためにストレングスファインダー®も使い、
達成欲や責任感の志向性が高い人には、責任と権限を渡す
最上志向が高い人には、現状をより良くしてもらうプロジェクトを任せる
収集心や学習欲といった着想が高い人には、調査やアイディアのアウトプットを意図的にオーダーする
などその人の志向性やタイプに合わせて、コミュニケーションも任せ方も調整しています。
全員を“画一的に平等に扱う”よりも、“その人が最も力を発揮できる関わり方をする”というほうが自然だと思うんです。
■ まとめ:強くしなやかな組織をつくるために
――これらの3要素で、どんな組織を目指しているのでしょう?
カリスマがいないと回らない組織ではなく、“仕組み”でちゃんと動き続けられる組織ですね。ジム・コリンズの「ビジョナリーカンパニー」の思想に共感していて、目先の成功だけでなく永続して成長し続ける組織を目指しています。
クールな論理
ホットな人間関係
一人ひとりの強みを活かすコミュニケーション
一見すると矛盾しそうですが、スタートアップのような不確実な環境では、この3つを“AND”で両立させること”が本当に大事だと思っています。

ただ、これらを語ると「すごく体系化している人」みたいに見えるかもしれません。実際は、16年間の成功も失敗も全部ひっくるめて、その中から少しずつ形になってきただけなんです。
僕自身もまだまだ試行錯誤の途中なので、一緒に働く人たちとブラッシュアップしていけたら嬉しいですね。
――最後に読者へメッセージをお願いします。
もしこの話を読んで「なんか面白そうだな」「自分の強みを試してみたい」「この仕組みで成長していく事業に関わってみたい」と思っていただけたら、ぜひ気軽に声をかけてください。
XのDMでも、Wantedlyでも、Youtrustでも大歓迎です。美味しいお酒を飲みながら、ざっくばらんに話せたら楽しいですね(笑)。
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