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ぴょんちゃんが きたひ

「もよこさんとはなちゃんち」シリーズ

2.   『ぴょんちゃんが きたひ』

むかしむかし、
もよこさんが まだ
ちいさな こどもだったころの おはなしです。

あるひ、
かぞくで
ゆめのくにへ いく よていでした。

でも――

とうじつ、
おとうとたちが
ねつを だしてしまいました。

おかあさんは かんびょうのため
うちに のこらなくてはなりません。

小さなもよこさんは
おとうさんと ふたりきりで
でかけることに なりました。

はじめての
おとうさんと ふたりたび。

ちょっぴり ふあんで、
でも ちょっぴり
とくべつな きもちでした。

ゆめのくにには、
たくさんの  かわいい ぬいぐるみが
ならんでいました。

タキシードすがたが すてきな ねずみくん。
みずたまもようの あかいワンピースをきた
おしゃれな ねずみちゃん。
きらきらして、
だれもが しっている スーパースターです。

おとうさんは いいました。

「おみやげに どれか すきなのを
かってあげるよ」

もよこさんは、
しばらく みていました。

ふと、
ひとつの ぬいぐるみに
めが とまりました。

それは、
うさぎの ぬいぐるみでした。

しろくて ちいさくて、
やさしい かおを した、
すこしだけ しずかな かんじのする こでした。

もよこさんは、
そのこを てにとり いいました。

「もよこ、この うさぎちゃんが いい」

おとうさんは
ちょっと びっくりして いいました。

「え? こっちの じゃなくて?」

もよこさんは
くびを ふりました。

「このこが いいの」

そのこは、
ぴょんちゃんと
なまえを もらいました。

それから ながいこと、
ぴょんちゃんは ずうっと
もよこさんの そばに います。

もよこさんが、
おとうさん、おかあさんといたころも
いまの おうちでも
ぴょんちゃんは
しずかに くらしています。

あるひ、
ぬいぐるみたちが きて

「ねーねー
おばあちゃん」

ぴょんちゃんに ききました。

「おばあちゃんって、
どこから きたの?」

ぴょんちゃんは、
いつものように
おちついた こえで いいました。

「ディズニーランドよ。
ミッキーマウスの おともだち だったの。
まいにち おしろを みていたわ。」

みんなは、
きょとんと しました。

「えっ?」

「ほんと?」

「ミッキーの なかまなの?
でも、ぴょんちゃんみたいなこ
みたことないよ。」

ひそひそ、
ざわざわ。

なかには、
「おばあちゃんだから むかしすぎて
わすれちゃったのかな……」
と おもう こも いました。

でも、ぴょんちゃんは
すこしも かわらず、
しずかに すわっていました。

そして、
そっと いいました。

「ほんとうよ」

そのこえは、
とても やさしくて、
とても たしかでした。

「もよこちゃんが、ディズニーランドで
“わたし”を えらんでくれたの。
ミッキーでも、ほかのうさぎでもなく ね。」

「みんなも そうでしょう?
みんな、このうちのこは
もよこちゃんとはなちゃんに
ちゃあんと 選ばれてきた だいじなこ」

そのことばを きいたとき、
みんなは すこしだけ
しずかに なりました。

ぴょんちゃんが
ミッキーのなかまか どうかなんて、
もう どうでも よくなっていました。

ぴょんちゃんも みんなも、
あたりまえのように このうちにいて、
かぞくとして くらしています。

でも、じつは
ちゃんと えらばれて やってきた
だいじなこ ばかり だったのです。

みんなは
かおを みわあせて
ちょっと てれくさそうに
でも ほこらしそうに
にこにこしました。

もよこさんは、
ぴょんちゃんを
そっと だきしめました。

あのひの ことを、
すこしだけ
おもいだしながら。

ぴょんちゃんは、
なにも いいません。

でも、ふたりのあいだの
しずかな ぬくもりは、
むかしと かわらず
そこに ありました。

おしまい

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