見出し画像

BCGガザ案件:コンサル業界史上“最悪の汚点”と言われ...

FT

はじめに

2025年8月14日FTは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が関与したガザ人道財団(Gaza Humanitarian Foundation, GHF)プロジェクトの初期段階でスタッフ4名が相次いで離脱していた事実を報じました。

3名は参加翌日に、1名は数週間後に辞任。その理由はイスラエル当局との調整義務や、軍事経験を持つ民間警備業者の利用への懸念だったようです。

この時点で現場では、何かしらの違和感、危機感があり、やがてコンサル業界史上“過去最悪の汚点”と呼ばれる大事件へとつながっていったのでしょうか。

※過去にnoteも多くの方に購読いただいたので紹介しておきます。



ガザ人道財団(GHF)とは

ガザ人道財団(GHF)は、米国とイスラエルの支援を受けて設立された人道援助機関です。

その構想は、国連が主導してきた従来の救援体制を迂回し、イスラエルの監視下にある限られた配布地点で援助物資を提供するというものです。警備は、軍事経験を持つ人員を含む民間業者に依存したようです。

この仕組みは、援助の中立性や独立性といった国際人道原則に反するとされ、国連や主要な国際援助団体から強く非難されています。国連専門家はガザ人道財団の即時解体を要求するという声明を8月に出しています。

ガザ保健当局によると、配布拠点へ向かう途中で少なくとも740人が死亡し、約4,900人が負傷しました。複数のメディア報道によると、この配布方式や運営の設計・管理に、BCGが関与していたと指摘しています。

また、国境なき医師団(Médecins Sans Frontières=MSF)は下記のように報じています。


プランの中身

人口移転シナリオと政治的リスク

BCGのプロジェクトチームは、戦後ガザ復興の財務モデルを作成し、その中にパレスチナ人をガザから他国(例:ソマリア)へ移住させるシナリオが含まれていました。

そして実際に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、住民の受け入れ先に関して、アフリカなどの複数カ国と協議を進めています。

イスラエル高官がCNNに語ったところによると、協議を行っているのはアフリカの南スーダン、ソマリランド、エチオピア、リビアとインドネシア。ガザの住民200万人の一部を受け入れることと引き換えに、各国は「多額の金銭的・国際的補償」を求めているという。

CNN, August 15, 2025

なぜ問題なのか?

国際人道法では、戦争や占領下での強制的な人口移転は重大な人権侵害にあたり、場合によっては戦争犯罪と見なされる可能性があるためです。

一般的に、復興支援の名目でこうした計画を含めることは、援助を政治的・軍事的目的に従属させる行為と解釈され、国際社会からの非難を招きます。

BCGの関与と否定

BCGは公式声明で、元パートナー2名が無断で進めたと主張し、組織としての関与を否定していました。

  • 2024年10月、米国警備会社オルビス(Orbis)からプロボノ支援依頼を受けたのが発端。

  • 2025年5月、承認回避が発覚し、立ち上げ前日に中止。

  • 2025年6月、関与したパートナー2名を解雇、関連幹部2名も職を辞任。

  • 「報酬は一切受け取っていない」と説明。

しかし、複数の内部文書や関係者証言は、より深い組織的関与を示唆しており、公式説明との乖離が浮き彫りになっていることが引き続き報じられています。

被害と責任の不可分性

ガザ当局の発表によれば、援助拠点に向かう途中での死傷者は数千人規模。

BCGのプロジェクトが関与した財務モデルや計画がもとで物資到達が困難となり、危険な移動を余儀なくされた住民が犠牲になったのが真実であれば、設計段階の関与であったとしても、結果責任と無関係ではない、という理屈になります。

GHFの運営設計(配布地点の制限、警備形態など)は、BCGが作成した財務モデルや計画に基づいていたと報じられています。

The Gaza Strip & West Bank
(BCGとは無関係です)

おわりに

コンサル史上最悪?

現場の懸念の無視と隠蔽、国際人道原則の違反、大規模の死傷者が発生していることなど、スキャンダラスな話は盛りだくさんです。

もちろん、過去のnoteでも論じたように、真偽は表に100%出てくることはなく、個々が見極める必要があると思います。

ただ、このような前例はほぼないことから、コンサル業界史上“最悪の汚点”として報じているメディアすらあります。(Arab  news: Why BCG’s involvement in Gaza marks an all-time low for consulting firms)

国連高官は、GHFを「イスラエルの戦争目的の隠れ蓑」と呼び、主要援助団体も協力を拒否しました。8月に入り、即時解体を要求するなど、BCGの否定コメント後も、関与を裏付ける証言や文書が報じられ、国際的な批判はエスカレートしているように思います。

イスラエルは孤立する?

BCGへの批判は、イスラエルへの国際的な批判に伴う副次的なものという見方もできるでしょう。事実、イスラエルそのものに対しては、口頭の非難だけでなく行動を伴うものも増えてきているようです。

8月、ドイツは支持をしてきたイスラエルへの武器の輸出を一部停止しています。


総額1兆9,000億ドル(約282兆円)を運用

世界株式の約1.5%を保有するノルウェー政府系ファンド、NBIMは長年にわたり政治的中立の維持を掲げてきましたが、パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐる投資への批判が高まる中、今回、イスラエル企業11社からの投資を全て引き揚げ、さらにイスラエル国内の外部運用業者との契約も打ち切りました。


いいなと思ったら応援しよう!

MR. Insider いただいたチップは取材費用や資料購入に使わせていただきます!