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便利な駐車場が招く観光地の衰退

先日、とある観光地を訪れたときのこと。目的地の目の前に車を停めて、観光スポットだけを見てすぐ帰る――そんな流れが当たり前になっている現実に、どこか「もったいないな」と感じました。

せっかく遠くまで足を運んだのに、街を歩くこともなく、地元のお店にも立ち寄らず、そのまま車で帰ってしまう。本当はもっと魅力があるだろうし、少し離れた場所におしゃれなお店もあったはずなのに、それを味わうチャンスを自分から手放してしまったような、そんな後悔です。


駐車場に集う観光客、離れていく賑わい

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地方の観光地では、観光スポットのすぐそばやその周辺に駐車場が集中的に配置されていることが多くあります。そして、そこでは地元のおじちゃんやおばちゃんがウチワを振って熱烈歓迎してくれる姿を見かけます。

観光客の多くはできるだけ近く、便利な場所に車を停め、目的地だけを訪れてそのまま帰ってしまう――そんな“通過型観光”が定着しがちです。

この結果、本来なら賑わいの中心となるはずの商店街や飲食店には足を運ばず、地域全体にお金も人の流れも生まれない、“もったいない”状況が生まれています。

さらに、商店などの事業者側も“駐車場収入”に頼りすぎてしまう現象が広がっています。駐車場を運営することで安定した収入が得られるため、本来力を入れるべき「お土産販売」や「地域ならではの体験づくり」がおろそかになりがちです。その結果、観光地本来の魅力が伝わらず、観光満足度が下がる“負のスパイラル”が生まれてしまっています。

さらに問題なのは、観光スポットの近くの土地はすでに既存事業者の駐車場で埋まっているため、新しく商売を始めたい人や新規参入がしにくい状況になっていることです。これでは、地域の新陳代謝やイノベーションが起こりづらくなり、観光地全体としての持続可能性もどんどん下がってしまいます。

そうなってしまったのには理由もある

なぜ、こうした観光地が増えてしまったのでしょうか。

もともと観光地は、鉄道やバスなどの公共交通機関で訪れ、“歩く”ことを前提に空間がつくられていました。しかし、昭和のモータリゼーション(車社会化)が進む中で、観光客の多くが車で訪れるようになり、週末や繁忙期には渋滞や駐車場不足が深刻化しました。

本来なら、行政や地域が全体最適を考えて、早急に少し離れた場所に大規模な駐車場を計画・整備すべきでしたが、公共側の対応は遅れがちでした。その結果、個々の商店や事業者が「自分の店の前に駐車場を作る」ことで対応し、便利な場所に駐車場が乱立。その便利さが、“歩いて回る楽しさ”や“まち全体の魅力”を後回しにする構造ができてしまったのです。

オーバーツーリズムの課題と分散の必要性

さらに、近年は「オーバーツーリズム」、つまり観光地に人や車が集中しすぎて混雑やトラブルが発生する現象も、全国で深刻な課題となっています。

しかし、その解決策は「人を減らす」ことではありません。
むしろ、観光地の“広さ”や“深さ”を活かして観光空間そのものを広げ、観光客を分散させることが重要です。

たとえば、駐車場を少し離れた場所に整備し、そこから街を歩いてもらうだけでも、観光客は新しい発見や出会いを楽しみながら回遊できるようになります。こうした“歩く観光”は、混雑の分散や滞在時間の延長、地域全体の経済効果を高めることにもつながります。

歩く旅が満足度も上げてくれる

「歩いて回遊する」「その土地の魅力を深く味わう」ことは、単なる“消費”としての観光を超え、その町の空気や暮らし、歴史、人々との出会いなど、より豊かな体験をもたらしてくれます。車では気づかない小さな風景や、路地裏のお店、ふとした会話や偶然の出会い――歩くからこそ、旅が一層“自分だけのもの”になるのです。

そして時には、歩きながら「どうしてこんなレイアウトなんだろう?」「もっと良くできそうなのに」と感じる“もったいなさ”や“町のしくじり”に気づくこともあります。でも、そうした疑問や発見も含めて、町や地域を深く知るきっかけになり、旅の思い出として心に残るはずです。

歩いてこそ出会える発見、考えたくなる謎――そうした経験が、観光地も、旅する自分自身も、より豊かにしてくれます。

その一歩は、あなたの選択から

便利さに流されず、ほんの少しだけ遠くの駐車場に停めて、ゆっくり街を歩いてみる。その小さな選択が、観光地の未来をより豊かにし、あなた自身の旅の価値も大きく変えるはずです。

「もったいない観光地」を、「また来たい場所」に変える力は、実は観光客一人ひとりの手の中にあります。


最後に この記事の教訓

  1. 便利さだけを求めると、旅も観光地も“もったいない”ものになる

    • 近くて便利な駐車場に頼ると、町の賑わいや新しい出会い、地域全体の持続可能性が損なわれてしまう。

  2. 少し歩くだけで、旅も町もぐっと豊かになる

    • 自分の足で町を巡ることで、地元の人やお店、景色や“しくじり”にも出会い、より深い体験や新しい発見を得られる。

  3. “失敗”を見つけて楽しむのも旅の醍醐味

    • 町の“もったいなさ”や「なぜこうなった?」という問いに気づくことで、旅の思い出や学びがより印象的になる。

  4. 事業者は“目先の駐車場収入”より、観光空間全体の価値向上を目指してほしい

    • 歩行空間や回遊性の整備、本業(お土産・体験など)への注力、新規参入が生まれる仕組みづくりによって、観光地の未来と持続可能性が高まる。

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