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フジテレビは、なぜ説明するたびに問われるのか――情報を“信頼回復の物語”に変換する技術~不祥事会見・謝罪文・社内説明・広報・noteにも使える「伝わる構成」の作り方~

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〜9月3日 19:00

フジテレビは、なぜ説明するたびに問われるのか

フジテレビが、また説明を求められています。

今回は、ドラマ制作現場をめぐる出演者間のトラブルです。

報道によれば、フジテレビは7月7日、「当社ドラマ制作に関するご説明」と題した書面を公表し、報道やSNS上の投稿をきっかけに、関係者への誹謗中傷や、憶測・事実誤認に基づく情報発信が広がったとして、主演俳優2人に大きな負担と心労をかけている状況を謝罪しました。また、二次被害を防ぐため、事実関係や同社の対応を正確に伝える必要があると判断した、と説明しています。

この件について、誰が悪いのかをここで論じたいわけではありません。

出演者同士のいざこざを、面白おかしく取り上げたいわけでもありません。

私が考えたいのは、別のことです。

なぜ、フジテレビの説明は、ここまで厳しく見られるのか。

そして、信頼を失った組織は、何を、どの順番で、誰に向かって語るべきなのか。

これは、今回のドラマ制作現場だけの話ではありません。

フジテレビをめぐっては、元タレントの中居正広氏と女性との間で生じた事案について、第三者委員会の調査報告書が公表されています。報告書は、女性が性暴力による被害を受けたと認定し、フジテレビの業務の延長線上における重大な人権侵害と位置づけました。また、フジテレビ側の対応についても、番組出演継続の判断や、被害者に寄り添わない二次加害にあたる対応が指摘されています。

つまり、いまフジテレビの説明は、単なる個別トラブルへの対応としてだけではなく、

この組織は、本当に人を守る判断ができるのか

という文脈で見られています。

だから、同じ説明でも、以前とは受け取られ方が違う。

事実を説明しても、
経緯を説明しても、
謝罪しても、
「本当に変わったのか」という問いが残る。

ここに、危機広報の難しさがあります。

説明しているのに、なぜ信頼は戻らないのか

不祥事やトラブルが起きたとき、組織は説明します。

事実関係を説明する。
経緯を説明する。
調査状況を説明する。
再発防止策を説明する。
関係者に謝罪する。

一見すると、これは正しい。

しかし、説明しているのに伝わらないことがあります。

むしろ、説明すればするほど、

「守りに入っている」
「本質をずらしている」
「誰に向かって話しているのか分からない」
「結局、何を変えるのか見えない」

と受け止められてしまうことがあります。

なぜなのか。

私は、その原因のひとつは構成にあると思っています。

多くの会見や説明文は、会社側の頭の中の順番で作られています。

会社側は、こう考えます。

まず事実を整理しよう。
次に経緯を説明しよう。
そのうえで調査状況を伝えよう。
最後に再発防止策で締めよう。

しかし、聞き手はその順番で聞いていません。

被害を受けた人は、
「この会社は本当に人を守るのか」と見ています。

社員は、
「自分が同じ立場になったとき、会社は守ってくれるのか」と見ています。

スポンサーは、
「この会社と関わり続けることが、自社の信頼を傷つけないか」と見ています。

視聴者は、
「他人の問題を報じてきたメディアが、自分たちの問題にはどう向き合うのか」と見ています。

つまり、組織の説明は、単なる情報提供ではありません。

信頼を失った組織が、

誰を守るのか
何を間違えたと認識しているのか
なぜ、その判断が起きたのか
これから何を変えるのか
その変化をどう検証できるのか

を示す場です。

ここがずれると、どれだけ長く説明しても、信頼回復にはつながりません。

情報は、そのままでは「意味」にならない

多くの説明が伝わらない理由は、情報不足ではありません。

むしろ、情報は出ています。

でも、その情報が、聞き手にとっての意味になっていない。

たとえば、

「事実関係を確認しました」
「経緯を説明します」
「調査結果を受け止めます」
「再発防止に努めます」
「ガバナンスを強化します」

こうした言葉は、危機対応の場面でよく使われます。

しかし、聞き手が知りたいのは、そこだけではありません。

聞き手が本当に知りたいのは、

「結局、何を間違えたのか」
「なぜ止められなかったのか」
「同じことが起きたら、誰が守るのか」
「その約束は、本当に検証できるのか」

です。

だから、情報をそのまま並べても足りません。

情報は、問いを通して選び直す必要があります。
選んだ情報は、順番を変える必要があります。
順番を変えた情報は、意味に変換する必要があります。
意味は、最後にメッセージへ着地させる必要があります。

この変換がないと、説明は説明のままで終わります。

この記事は、フジテレビ批判ではありません

最初に、この記事の立場を明確にしておきます。

この記事は、フジテレビを断罪するための記事ではありません。

特定の出演者や関係者を批判するための記事でもありません。

また、第三者委員会報告書を細かく解説する記事でもありません。

この記事でやるのは、構成の実演です。

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